刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

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 羽田空港にあるディスカバリーミュージアムで、徳川ミュージアムの所蔵品展が13日の日曜日まで開催中です。毎週水曜日にミュージアムトークが行われていたので、ミュージアムトーク最終日に行ってきました。

《行った場所》
羽田空港美術館
 初めて行きましたが、とてもおしゃれな空間でした。新幹線ばかり使って羽田空港を利用する用事がなかったので、今回は美術館のために行ってきました。無料で見られてとても良いのですが、飲食店をぬけた一番奥まった場所にあるため、普通の人はなかなか訪れないのではないのでしょうか。駅を降りてから、探しながら歩いたのでけっこう時間がかかりました。
 同じようにミュージアムトークに合わせて来る方が多かったので、人は多かったですがじっくり見ることができました。今回のミュージアムトークは、徳川ミュージアムの学芸員の方が解説をしてくださいました。最後だからということで、美術的な説明だけでなく、個人的な思いを多く語っていただけたのが良かったです。

主な刀剣
・刀 無銘 光忠(号 燭台切)徳川ミュージアム蔵(茨城)
・太刀 銘 包永(号 児手柏)徳川ミュージアム蔵
・槍 銘不明
家康から水戸徳川へ贈られたもの。南無八幡大菩薩の文字。


《感想》
 水戸のほうには2回行ったので、そこで見たものも多かったのですが、今回は写真撮影も可能ということで、思う存分堪能することができました。今週いっぱいで羽田での展示は終わりですが、来年からまた水戸で焼刀も展示されるとのことで楽しみです。今回、燭台切を見たときに、以前より白っぽく見えるなと思いましたが、解説で照明の関係だと教えていただきました。展示方法を変えると、これだけ見え方が変わるのだと実感したので、来年水戸で刀掛けにたてて展示されるのなら、どのように変わるか楽しみです。来年以降も動きがたくさんあるようで、本当に目が離せないなという思いです。


《今回の一振》
 前回は写真で残すことができなかった児手柏と燭台切です。
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比べると児手柏はかなり反りがあるように見えます。武庫刀纂では七分=2cmちょっととのことです。
児手柏の銘は見やすく残っています。
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児手柏と比べると燭台切のほうがきれいに残っているなという印象です。
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前回写真が撮れないためがんばって写した武庫刀纂の刃文もこのような感じです。
児手柏は刃文の記録が残されていないということで、とても残念です。

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 今日から1月23日まで、特別展「三井家伝世の至宝」が開催中です。初日ですがほどよい人出で見やすかったと思います。

《行った場所》
三井記念美術館
 今回の特別展では、他の施設が現在所蔵しているものも展示していましたが、刀剣に関しては現在三井記念美術館が所持しているもののみでした。今回展示していた刀剣の多くは、紀州徳川家から購入したものだそうです。以前、なぜ紀州徳川家には現在美術館などが設立されていないのか調べたことがありましたが、財政難で多くを売りに出したからだそうですね。各地の歴史博物館を見ると、どこの藩主もお金に苦労していましたし、現在も博物館の存続に当主は苦労されていることがわかります。しかし、御三家でもそこまで財政難になるというのには驚きました。
 美術館はビルの中にあり、ワンフロアに収まっていますが意外と広さがあります。展示品はそこまで多くないのでのんびり見て1時間ぐらいでした。茶道具が展示されている第一展示室は内装がとてもおしゃれで、部屋の中を見るのも楽しいです。刀剣以外の展示では、絵巻や屏風、切手コレクションなどが好みでした。また、蒔絵が施された水晶台がとても豪華できれいなのですが、三井炭鉱でとれた鉱石が埋め込まれているそうで、事業の手広さを実感しました。

主な刀剣
・短刀 無銘 正宗(名物 日向正宗国宝
・短刀 無銘 貞宗(名物 徳善院貞宗国宝
・太刀 銘 則宗 重要文化財
 とても細身です。幅のある徳善院貞宗の後に見たから余計にそう感じます。
・太刀 銘 助真 重要文化財
・刀 銘 国広(号 加藤国広重要文化財
 刃文が不規則かつ豪快でとても印象的です。鎺に下がり藤が彫られていました。加藤という姓を考えたら不思議ではありませんが、号の由来となった加藤清正自体は、調べたところ使用していたのは下がり藤以外の家紋だったようです。
・薙刀 銘 一 重要文化財


《感想》
 普段見に行く各地の歴史に根付いた博物館とは違い、個人のコレクションで手に入れた品々なので新鮮でした。佐野美術館や根津美術館なども同じ私立の博物館ですが、刀だけで言っても、これだけ文化財登録された個人のコレクションが見られるのはすごいことだと思います。刀剣は文化財登録されていても、比較的個人が持っている割合は高いそうですね。由緒ある刀も売りに出されたりというのは珍しくないですが、当時からの価値などを考えると、すごい財力を持っていたのだなと実感します。刀の持ち主の移り変わりを調べると、時代の流れと栄枯盛衰がうっすらとわかるのがおもしろいなと思います。しっかりと保管と管理できる人の手に渡ったからこそ、今もきれいな状態で見ることができると思うと、由緒ばかりにとらわれて現在の所蔵についてあれこれ考えるのは勿体ないとな感じました。


《今回の一振》
 今回は日向正宗と徳善院貞宗の二振です。正宗と貞宗の刀が並んで展示されるというのはあまりないと思うので、じっくり比べて見てみました。刃文がどちらもくっきりときれいに見られたので比べやすかったです。確かに刃文は貞宗のほうがゆるやかなでしたが、ほぼ梵字の彫物で貞宗と判断するぐらいしかできそうにもありませんでした。貞宗の短刀は彫物がたくさんあるので、にぎやかな印象をうけます。徳善院貞宗はとにかく大きくて驚きました。隣の日向正宗と比べると幅も長さも倍はあるんじゃないかと思うぐらいの大きさです。大きさも刃文も、隣同士で並んでいたおかげで見比べることができたのでよかったです。


 備前刀剣王国の第二期に行ってきました。第一期も行き、佐野美術館も行く予定なので今回は図録を購入しました。

《行った場所》
○刀剣博物館
主な刀剣
・刀 無銘 (金象嵌銘)波およぎ末代剱兼光也 羽柴岡山中納言秀口所持之(名物 波游兼光) 重要美術品/㈱ブレストシーブ蔵 
・刀 (金象嵌銘)基光 重要美術品/佐野美術館蔵
・太刀 銘 備州長船倫光 特別重要刀剣/個人蔵
・太刀 銘 備州長船住元重 建武元年九月日 特別重要刀剣/個人蔵
・薙刀直し太刀 銘 備前国長船住長義 特別重要刀剣/個人蔵
・小太刀 銘 備州長船家重 応永六年三月日 個人蔵
・太刀 銘 備州長船秀光 永徳□年八月日 重要刀剣 ㈱ブレストシーブ蔵
・小太刀 銘 備州長船自光 永徳二年二月日 重要刀剣/個人蔵
・太刀 銘 備州長船盛光 応永十二年八月日 特別重要刀剣
・刀 銘 備前国住長船与三左衛門尉祐定作 天文ニニ年二月吉日 重要美術品 個人蔵
・刀 銘 備前国住長船五郎左衛門尉清光 天文廿四年八月吉日
                
                      他多数

《感想》
 刀剣博物館は、刀剣を見られる博物館としては、一番好きかもしれません。今回は審神者らしき方は見かけませんでしたが、ほどほどの人出で見やすく、展示の数が多いので何度も足を運びたくなります。目録に刀剣の長さはありますが、反りが書いてないので、展示パネルにでも書いてあるといいなと思いました。
 受付のところに刀剣春秋の紙が置いてありました。以前致道博物館でもいただきましたが、展示情報や鑑定クイズなど読み応えがあるので、定期購読も考えます。最近鑑定も興味があるので、簡単なものだけでもわかるようになりたいなと思いました。


《今回の一振》
 今回は波游兼光です。図録にのっている写真もとてもよかったのですが、やはり実物は迫力がありました。剣に向かって彫られているのを下がり龍というのを初めて知りましたが、龍も細かく、大きく彫られていて良かったです。佐野美術館でも展示されるようなので楽しみです。隣に享保名物帳の波游兼光が載っているページが開いて展示されていたのですが、池田光忠などの刀がいくつか書かれているのが読め、他のページもぜひ読みたいと思いました。


 米沢の上杉博物館で五虎退が、鶴岡の致道博物館で信濃藤四郎が展示されるということで、両方行くことにしました。同じ山形県内といっても、とても離れているので日帰りで両方行くのは無理だったため米沢で一泊しました。というより一か月前だと米沢しか空いておらず、しかも米沢もホテルはほとんど埋まっていました。

《行った場所》
○致道博物館
 鶴ケ岡城の三の丸があった場所にいろいろな建物が移築されて博物館になっています。建物も展示内容もバラエティにとんでいました。
主な刀剣
・短刀 銘 吉光(名物 信濃藤四郎重要文化財
・刀 折返銘 備州長船住元重 金象嵌銘以下略(号 見返元重) 重要文化財、㈱ブレストシーブ蔵
・太刀 無銘 伝為遠 重要刀剣
・太刀 銘 一 備前国□□住人佐兵衛尉助次 延慶三年三月日 金象嵌銘 袖の雪 重要刀剣
・槍 銘 三条吉広(号 瓶通し

○鶴岡公園・荘内神社
致道博物館にある鶴ケ岡城跡の公園に行ってきました。お濠の名残が残っているだけでほとんどお城の跡はありません。周りは坂もないので完全な平城だったようです。

○鮨 よし遊
米沢へ移動して夕食は泥足プロジェクトに載っているよし遊さんに行きました。予約しないで行ったらギリギリ入れてもらえたのですが、すぐ満席になっていました。五虎退メニューを注文する人だけでカウンターにいたのですが埋まったのは初めてだったそうです。まだ2週目だったのでみなさん来る前だったのでしょう。あの後どうだったのか気になります。お寿司はすごくおいしくて、お店の方もとても気さくで楽しい時間を過ごせました。

○上杉神社・稽照殿
米沢の最初は上杉神社から始めました。本殿がずいぶん簡素だなと思いましたが、この後米沢の歴史を勉強したら納得がいきます。稽照殿は見応えがあってよかったです。
主な刀剣
・薙刀 無銘 伝則包 重要文化財
・太刀 銘 国宗 重要美術品
・剣 無銘 瓜実御剣 安則作

○上杉家御廟所
自転車をレンタルして回りました。受付のおじさんにお話をいろいろと聞くことができましたが、大木の維持は大変だということがよくわかりました。また、入口のところで休憩所ということで玉こんにゃくなどを無料でいただきました。とてもおいしかったです。

○林泉寺
上杉家の女性のお墓です。本堂の中も見学することができ、説明もしていただけます。こちらも住職さんがとても良い方でした。

○鷹山堂
五虎退をイメージしたどら焼きをいただきました。甘さ控えめでとてもおいしかったです。刀型のナイフも売っていたので買いました。

○上杉博物館
今回の旅行のメインです。人はそこそこといった感じで混雑はしていませんでした。明るく広々としていて、市民のための開かれた博物館といった施設でした。上杉家の歴史について一から学んできました。鷹山公の紹介シアターも見ましたが、鷹山公がについてよくわかる映像でした。
主な刀剣
・短刀 銘 吉光(名物 五虎退)個人蔵

○宮坂考古館
個人経営の博物館ですが、甲冑を中心に米沢ゆかりのものが多数展示されています。ここにも刀が展示されていた気がするのですが、残念ながら記録がみつかりませんでした。

○めーちゃん食堂
2日目の夕飯は、泥足プロジェクトに載っていた義経焼のお店に行きました。老舗で某方曰く他のお店で許されないことも、ここがやったといえば問題ないとのことです。いったいどういう意味なんでしょうね。一階が精肉店で、2階が食べられるようになっています。夜は予約で満席のようで、17時までならOKということだったので、新幹線までの時間で食べられました。羊肉はなかなか食べないので新鮮でしたが、国産肉はやっぱりおいしかったです。


《感想》
 同じ山形県ということで、最初は移動をなめていましたが、調べれば調べるほど大変だとわかりました。電車の本数が少ない電車同士の乗り換えなので、待ち時間が1時間を超えないよう念入りに調べて行きました。本当は時間があったら山形市に寄ってから米沢に行きたかったのですが、行きたい博物館がやっている時間に着けなさそうだったので、今回は諦めました。途中電車で最上川の横を通りましたが、大型の台風が過ぎたあとだけあって山の近くではものすごい濁流でした。しかし米沢のほうは水量が多いだけできれいでよかったです。


《今回の刀剣》
 今回はやはり五虎退です。前日に見た信濃藤四郎とそっくりな印象を受けました。作者が同じなので当たり前なのかもしれないですが、両方とも同じような護摩箸がはいっているからでしょう。少しだけ五虎退のほうが小さいそうです。たまたまですがこの2口を合わせて見られてよかったです。



 前日は移動だらけの1日でしたが、この日は名古屋を中心に見ていきました。

《行った場所》
○三河武士のやかた家康館
 岡崎公園は整備されたきれいな公園でした。先に家康館に行きましたが、開館したばかりの時間だったこともあり、のんびりとみられました。中は広くてきれいな博物館でした。展示は家康を中心に戦国時代全体の歴史が勉強できます。特別展で瀧山東照宮の宝物展を開催中でした。刀や槍の模造刀を持てたり体験できるものも多かったです。
主な刀剣
・太刀 銘 長光 重要文化財 瀧山東照宮蔵(愛知)
・短刀 銘 備州長船祐定 永正六年八月日 瀧山東照宮蔵
・槍 蜻蛉切(写) 龍城神社蔵(愛知)
・槍 銘 秋廣 主本多中務大輔忠勝所持 岡崎市蔵(愛知)

岡崎城・竜城神社
 中は博物館になっていて、比較的広々とした造りになっています。新刀メインですが、刀剣の展示がたくさんあって驚きました。三河で作られたものが多いようです。また、拵と一緒に展示されているものが多いのが特徴です。
主な刀剣
・刀 銘 兼元 竜城美刀会蔵(愛知)
・槍 三州田原住正眞 竜城美刀会蔵
蜻蛉切を作った人の作品のようです。
・槍 銘 信国 竜城美刀会蔵
・槍 銘 三州藤原来兼房 竜城美刀会蔵
                            他多数


○熱田神宮
 4月に続いて2回目でしたが、どんなに暑くても敷地内はひんやりしていました。人が多い場所ですが、特にアジアからの観光客が多いなという印象です。宝物殿は、刀剣がたくさんあるのですが、目録がなく、人もそこそこいるので、記録しながら見るのには向かない施設です。受付で熱田神宮所蔵の刀剣の図録があるので買いましたが、すべてが載っているわけではないので、やはり記録したいならがんばる必要がありそうです。
主な刀剣
 ・短刀 銘 国光 徳治三(以下切) 重要文化財
 ・太刀 銘 真長 重要文化財
 ・太刀 銘 国友 重要文化財
 ・脇指 銘 吉光 亀王丸(号 蜘蛛切丸愛知県指定文化財
 ・脇指 銘 相州住綱広
 ・太刀 銘 真利
 ・刀 銘 兼元
 ・剣 銘 国□ 伝国宗
                他多数


○徳川美術館
 今回の旅のメインです。2回目ですがここは常に人が多い気がしますね。刀剣乱舞にハマる前は博物館どころか日本史にすらあまり興味がなかった自分にとっては、大関ヶ原展のときもそうでしたが、美術館・博物館にこんなに人が来るのかと驚きます。今回は家康に関係した特別展でしたが、とにかく展示品が多く、最後まで見終わる頃には皆さん疲れた様子でした。来たかいがあって刀剣も貴重なものをたくさん見られました。
主な刀剣
・太刀 銘 長光(名物 津田遠江長光国宝
・脇指 銘 吉光(名物 鯰尾藤四郎
・短刀 銘 宗近(名物 海老名小鍛冶
・刀 銘 本作長義(以下58字略)重要文化財
・太刀 銘 備前国長船住守家(名物 兵庫守家重要文化
・太刀 無銘 一文字 重要美術品
・脇指 無銘 貞宗(名物 物吉貞宗重要文化財
・太刀 銘 国俊(名物 鳥養国俊) 重要美術品
・短刀 銘 吉光(名物 包丁藤四郎重要美術
・刀 無銘 一文字(名物 南泉一文重要文化財
・太刀 銘 来孫太郎作(花押) 正応五年壬辰八月十三日 国宝
・刀 無銘 兼永 重要美術品
・刀 無銘 正恒 重要美術
・刀 銘 以南蛮鉄於武州江戸越前康継 慶長十九年八月吉日
・短刀 無銘 正宗(名物 包丁正宗国宝
・短刀 無銘 正宗(名物 若江十河正宗
・短刀 銘 相州住正宗 嘉暦三年八月日(名物 大阪長銘正宗
                                     他多数


《感想》
 前日に引き続き1日でかなりの数の刀剣を見ることができました。熱田神宮と徳川美術館は人が多いので、一つの刀をじっくり見るのが難しいですね。遠方なので、人が少ない日や時間帯を狙って行くというのができないのが残念です。
 今回の旅行では、図録をたくさん買ってしまいました。写真があると、このように記録を書いていても、思い出し方が全然違います。名前だけだと思いだせないものばかりですから。写真が撮れない施設のほうが多いので、たくさん刀剣を所蔵しているところは、ぜひ所蔵刀剣を集めた完全版の図録のようなものを出してほしいと思いました。


《今回の一振》
 一番印象に残ったのは短刀の海老名小鍛冶です。海老名宗近と載っている本が多いですが、徳川美術館では小鍛冶となっていました。今回買った図録に写真が載ってなかったのが残念ですが、短刀ながら目釘穴が4つも空いていたり、彫物が茎まではいっていたりと、変わった姿をしていたので目を引きました。文化財指定されていないところをみると、美術的・歴史的価値はあまり高くないようですが、他と少し違った姿というのは、素人目にはわかりやすくてとても良いです。



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