刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

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 山口県岩国市で国宝の狐ヶ崎為次が展示されるということで、シルバーウィークを利用して行ってきました。ちょうど石切劔箭神社の宝物館も公開されるということで、前回見られなかったので大阪にも行くことにしました。

《行った場所》
○錦帯橋・岩国城
 新幹線で新岩国へ行き、最初に着いた錦帯橋ですが、岩国へ行くことになってから、初めて知りました。とても大きなアーチ状の橋で、見ても楽しめるし、渡っても楽しめる橋です。天気もよかったのですばらしい景色でした。錦帯橋を渡った先は、きれいに整備された、まるで映画のセットのような街並みです。とにかくきれいで驚きました。川で分断されているからこそ維持できた街並みだなと思います。
 岩国城は、下から見たときは、とても小さくお城が見えたのですが、登ってみるとそこそこの大きさがありました。中には、新刀中心ですが驚くほど刀剣がたくさん展示されています。刀工に関する解説も充実していました。
主な刀剣
・御太刀 銘 陸奥守藤原包保作 於好以南蛮鉄鍛之
・脇差 銘 上野守吉国
 陸奥守吉行の兄と書かれている説明文が比較的新しそうだったので、もしかしたら刀剣乱舞が始まって以降に作られたものかもしれません。
・刀 銘 肥前國忠吉
・脇差 銘 備前國長光 永仁三年
・脇差 銘 備州長船祐定作 永正十年八月日
・刀 銘 近江守久道
・刀 飛騨守藤原氏房
・刀 銘 越前住相模守藤原国綱
・刀 (菊花紋)一 山城守藤原國宗
                        他多数


○岩国美術館
 行く予定に入っていませんでしたが、ポスターに刀剣展示と書かれていたため、ホイホイと入ってしまいました。入ってよかったと思える展示内容でした。解説は大きさや造りがとても細かく書かれていました。職員の方に話かけられ、刀を見に来たと伝えたところ、館長がいれば刀を出して触らせてあげられたんだけどとのことでした。館長さんはとても刀が好きだそうです。今回は残念ながらお会いできませんでしたが、また機会があったら訪れたいと思います。
主な刀剣
・短刀 銘 安吉 重要刀剣
・脇指 無銘 雲重 重要刀剣
・刀 銘 肥前国住近江大掾藤原忠広 重要刀剣
・脇差 銘 肥前国忠吉 重要刀剣
・脇差 無銘 信国 重要刀剣
・太刀 銘 豊後州高田庄住藤原友行 重要美術品
・刀 銘 長曾根興里入道帍徹
・刀 長州住二王方清作 元禄三庚申午年二月日
・刀 銘 濃州関住人兼光作


○吉川史料館
 今回のメインです。展示物はかなり少なめですが、量より質といった様子です。刀以外では、吉川家の家訓が書かれた本の展示が興味深かったです。本の冒頭が読めましたが、とても真面目な印象を受けました。毛利家とのエピソードを聞いても、やはり真面目な印象を受けます。
 狐ヶ崎については、本当に吉川家でとても大事にされてきたのだなとわかりました。約800年同じ家から離れていないというのは、なかなか無いのではないでしょうか。鑑賞した後、刀を見に来たとわかったのか、職員の方に一般販売前だった、学研マーケティングの日本の美 日本刀を見させていただきました。狐ヶ崎の写真を提供したためだと思いますが、一足先に見られてよかったです。本は写真がとても大きく、きれいに載っています。自分が好きな刀だけを集めた大きな写真集が欲しいと思いました。
主な刀剣
・太刀 銘 青江為次(号 狐ヶ崎国宝



《感想》
 長くなりそうなので、今回は岩国のみです。本当に予想外にたくさんの刀を見られました。岩国城はロープウェイで皆がまとまって登るため、展示の部屋も人が比較的いますが、ゆっくり見られます。岩国美術館はとても広い館内ですが、人が少ないのでじっくり鑑賞できました。記録が大変でしたが、他の方の邪魔になる心配がないというのはとてもやりやすいです。
 岩国は、外国人観光客が多かったです。昔ながらの景色がとても良いからかなと思いますが、こういった、日本全体から見ると少しマイナーな場所に来る方というのは、有名どころは行きつくしたような方なんでしょうか。
国内旅行を続けていると、国内の観光地も行ったことのない場所がまだまだあり、国内でこれだけ楽しめるというのは幸せなことだなと思います。





 愛知県まで車で出かける用事ができたので、途中、静岡県の行きたかった場所に寄ってきました。

《行った場所》
○久能山東照宮・博物館
 家康の遺体が埋葬された久能山東照宮に行ってきました。東照宮の宝物を見るのはこれで3つ目です。今回は日本平からロープウェイで行きました。ロープウェイの天井に大きな葵の紋がはいっていたり、外装が籠にみたててあったりと、凝ったロープウェイです。博物館には多くの刀剣が所蔵されているようですが、今回展示されていたのは少なめでした。
主な刀剣
・太刀 銘 国宗 重要文化財
・大太刀 銘 備中国住恒次
・刀 銘 肥前國河内守正廣
・太刀 銘 (葵紋)藤原是一

○掛川城・御殿
 平成になって再建された新しいお城です。木造のため小さいけれど雰囲気があります。中も狭いですが、木造らしく靴をぬいで入るところがいいですね。狭いため中に展示はあまりありませんが、代わりに隣にある御殿でいろいろと展示されていました。御殿は広くきれいで、部屋もたくさんあります。人が少ないのもあってとてもゆったりできました。
 お城の近くに鎧屋さんという戦国関連の商品を販売するお店があります。刀剣乱舞関連のグッズもたくさん置いてあり、特に模造刀がたくさん売られているのが良かったです。模造刀は別で注文しているものがあったため買いませんでしたが、模造の鍔が売られていたので、つい買ってしまいました。鍔だけでも見ていると楽しいので、ぜひ本物を手に入れたいものです。お店の方はとても気さくで優しそうな方々でした。


《感想》
 久能山東照宮はずっと気になってはいたものの、なかなか行く機会がなかったので、行けてよかったです。山の中腹にあり、麓からも頂上からも行くのが大変ですが、神職・巫女の方々は毎日麓の参道を歩いて登るというのを聞き、大変だなと思いました。
 掛川城は思っていたよりも趣のある造りで良かったです。周りも整備されて観光地らしくなっていました。これぐらいの規模の天守がこれからも各地で再建されると良いのになと思います。意外と各地で天守再建のはたらきかけが出ているのを見られますしね。

 今回の旅行で、7年ぶりに父の実家を訪れたのですが、母屋の屋根に家紋入りの瓦があるのをみつけました。今までの観光で家紋入りの瓦はよく見ましたが、自分の身近なところにもあったのだとわかり、少しうれしくなりました。また、同時に我が家の家紋の「下がり藤」が、小さいころは顔に見えてとても不気味に思っていたことを思い出しました。石切劔箭神社に下がり藤の紋がありましたが、やはり今でも顔に見えてしまいます。各地を旅行して家紋にも少し詳しくなったような気がします。刀の拵に家紋が入っているものを見られると、少しうれしくなりますし、もっと勉強したいなと思いました。


《今回の一振》
 今回は青江派の恒次作の大太刀です。大太刀といってもそこまでの大きさではないですが、銘がしっかりはいっていました。青江派の刀は今まであまり見られていなかったので、恒次の刀が見られてよかったです。南北朝と書かれていたので、恒次の作だとしたら後期のほうの作なのでしょうか。

 刀剣乱舞開始すぐから話題になっていたさむらい刀剣博物館に、やっと行くことができました。県はまたぎますが、結城市と近かったので一緒に行きました。

《行った場所》
○さむらい刀剣博物館
 今回も移動は電車です。栃木県真岡市にある久下田駅から歩いて茨城県を通りぬけ、真岡市のさむらい刀剣博物館へ行きます。久下田駅は無人駅なのでSuicaは使えませんでした。刀剣巡りを始めてから無人駅に行くことが増えましたがなかなか慣れません。
 博物館は個人経営でとてもアットホームです。今まで行った博物館とまったく雰囲気が違いました。展示もですが、刀剣に触れることとお話しがメインのようでした。展示されている刀は100以上あります。解説の書き方がバラバラなので、少しずつ展示が増えていったのかなと思いました。9時すぎに着き1時間ほど写真を撮り続けたあと、鑑賞解説会が始まり、その後は電車の時間がなかったこともありますが、13時ごろまでのんびりと滞在しました。また、帰りは駅まで車で送っていただきました。いろいろと驚かされます。
主な刀剣
・太刀 無銘 伝西蓮 特別貴重刀剣
・太刀 銘 豊後国行平 重要刀剣
・太刀 銘 備前国包平
・刀 無銘 伝村正
・脇差 朱銘 貞宗
・脇差 無銘 伝高木貞宗
・脇差 備前国長船住祐定作 同清光 同忠光 天正十三年八月日
・脇差 銘 左 八月吉日
・脇差 銘 兼元
・脇差 銘 平安城長吉
・太刀 無銘 貞綱
・刀 銘 宇多国久
・長巻直し 無銘 伝尻懸
・太刀 銘 力王        他多数

触らせていただいた刀剣
・脇差 無銘 伝青江 特別保存刀剣
・脇差 銘 粟田口近江守忠綱 保存刀剣
・刀 無銘 末左 保存刀剣
・刀 無銘 千代鶴 保存刀剣
・脇差 銘 大和守安定 金象嵌銘 寛文元年十月二日 山野加右衛門永久(花押)貳ツ胴裁断
・脇差 銘 清光


○結城蔵美館
  御手杵で話題になった茨城県結城市へいきました。駅前はきれいに整備されていて観光地という雰囲気がありました。蔵美館は本当に蔵を改装した造りでおもしろかったです。中はとてもきれいで芸術品だけでなく歴史資料も置いてあります。御手杵のレプリカは蔵の2階にありますが、御手杵だけを展示していて専用の部屋という感じでした。

○つむぎの館
 蔵美館の方に教えていただきすぐ近くにある結城紬の展示を見に行きました。係のお姉さんが丁寧に解説をしてくれました。着物は買う予定がないので勉強で話を聞くだけですが、特に気にせず教えていただけます。結城紬という名前自体を知らなかったので、この機会に知ることができてよかったです。


《感想》
 さむらい刀剣博物館は、常連の方が多いようで、みなさん、館の方と気さくに話をされていました。行った日は比較的来館者が多かったようですが、じっくり刀を手にとって鑑賞できてとても勉強になりました。ぜひまた行きたいと思います。展示の仕方は少し見づらいものもありましたが、とても広い部屋の中に本当にたくさんの刀剣、刀装具、甲冑が並べてあり良かったです。
 結城市は残念ながら時間がなくなりあまり見ることができませんでしたが、とにかく蔵がたくさんあり、日本家屋や蔵が好きなので見ていて楽しかったです。


《今回の一振》
貞宗作の脇差です。朱銘ということでしたが、残念ながら銘は見られませんでした。貞宗は脇差や短刀でも樋がはいっている作品が多い気がします。
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 日光の神社に大太刀が複数展示されているということを知り、青春18きっぷを利用して日帰りで行ってきました。予想外にたくさんの刀が展示していました。日光駅からは二荒山まで行くならば中善寺温泉までのバスのフリーパスで安く行けます。

《行った場所》
○神橋
 東照宮に行く前の坂下にある橋です。橋をわたるのは有料ですが、赤い橋は背景の山と合わさってとてもきれいでした。

○輪王寺宝物殿
 輪王寺は本殿が工事中でしたので、宝物殿に行ってみました。徳川家ゆかりの品がおいていますが、掛け軸や書物、寺の宝物殿らしく仏具が多く置かれていました。

○東照宮
 10年以上行っていなかったので、あまり覚えてなく初めて来たような気分で回っていました。奥宮もいきましたが予想以上に階段がつらかったです。天気が悪かったのと朝が早かったため、人ごみがそこまででもなかったのはよかったです。

○東照宮宝物館
 新しくてとてもきれいな建物でした。シアターがあったので見ましたが、CGもアニメーションも映像のクオリティがなかなか高くておもしろかったです。
主な刀剣
・太刀 銘 一 重要文化財
・太刀 銘 家次 栃木県指定有形文化財
・短刀 銘 越前康継 栃木県指定有形文化財
・大太刀 銘 三代目下坂康継 
・太刀 銘 肥前住播磨大掾藤原忠国  栃木県指定有形文化財
・太刀 銘 助秀
・太刀 銘 和泉藤原大掾國輝
・大剣 銘 二荒山時明治十有三年第七月納之
・太刀 銘 藤原貞行

二荒山神社・宝物館
 行くまでのいろは坂が長くて乗り物酔いをしやすい自分にはつらいものでした。中善寺湖が神社のバス停の前に広がっていてとてもきれいでした。バスは本数があまり多くないので注意が必要です。
 東照宮の宝物館とは違いとても古い建物でしたが、展示内容はとてもすばらしくて来たかいがありました。作者不明のものは、説明で書かれていたものを採用して書かせていただいています。
主な刀剣
・大太刀 銘 備州長船倫光 国宝
・大太刀 無銘(号 祢々切丸重要文化財
・大太刀 無銘(号 瀬昇太刀重要文化財
・大太刀 無銘(号 柏太刀) 豊後国高田
・大太刀 無銘 伝志津 
・大太刀 無銘 大和国千手院
・刀 大磨上無銘 寛文十年奉納中丸勝政


《感想》
 たくさんの刀が展示されていて、さらにのんびりと見られたのでよかったです。二荒山神社は本当に大太刀だらけでした。祢々切丸は3m越えということで、本当に大きいです。幅もあるので迫力がすごかったです。茎だけで普通の刀の長さはありました。どの大太刀も樋がほぼ刀身全体にわたって入っているので、やはりかなりの重さなんでしょうね。
 きれいさという面では、大太刀は傷があったり欠けてたりするものが多かったので、あまりきれいという感じではないのですが、国宝の倫光の大太刀はきれいな状態で展示されていてさすが国宝だと感じました。
 また、男体山の頂上にあったという明治時代に作られた9mを超える刀が、東日本大震災で折れ、二荒山宝物館で展示されていて触ることができました。ずっと雨風にさらされていたため全体が錆びついていましたが、刀の形をしていました。こんなに大きなものをよく作ったなという印象です。


《今回の一振》
 国宝の長船倫光作の大太刀です。他の大太刀が無銘で作者が正確にわからなかったり、傷が目立つのに対してとにかく良い状態で残っています。ぱっと見た感じからして美しさが他と違いました。三鈷剣に龍の彫刻もとてもきれいでした。解説では、むらのない板目鍛えに乱れ映りが立ち、互の目に丁子を交えた刃文とあります。


 徳川美術館の特別展に行くことになったので、前回見られなかった場所を中心に名古屋周辺を移動しました。とにかくたくさんの刀剣を見たので、とても記録しきれませんが、一部をのせていきたいと思います。

《行った場所》
○犬山城・城とまちミュージアム・からくり展示館
 国宝である犬山城に行ってきました。昔の造りのままの天守閣なだけあって、階段がとても急です。天井が低かったり部屋の中が明るくなかったりと決して優しいとは言えない造りが、城本来の姿なんだと感じられました。階段を上りきった先の木曽川の絶景がとてもよかったです。
 犬山城のすぐ下にある城とまちミュージアムは、バラエティにとんだ展示内容でした。刀剣が置いてあるとは思っていなかったので見られてよかったです。
主な刀剣
 ・刀 無銘 左 犬山城白帝文庫蔵(愛知)
 ・脇指 銘 国広鎌倉住人 元享二季十一月日 犬山城白帝文庫蔵

○関鍛冶伝承館
 入口に張り紙が貼ってあるほど刀剣乱舞を意識している博物館ですが、とにかく展示数が多いです。今までで一番の数でしたが、写真撮影OKなおかげで、記録はまだ楽でした。関市は電車の本数が少ないので電車での移動はあまりお勧めできませんでした。
 関市所蔵の刀剣の図録を販売していますが、それなりのページ数があるのにとっても安いです。買うと市役所の袋に入れてもらえるので、市で作っている分安くなるということでしょう。写真も大きくて見やすいのにとにかく考えられない安さだったので迷わず買いました。
主な刀剣
 ・刀 無銘 伝金重 関市重要文化財、関市蔵(岐阜)
 ・脇指 銘 兼光 特別保存刀剣、関市蔵
 ・刀 銘 和泉守兼定 重要刀剣 
 ・刀 銘 兼元作 関市蔵
 ・刀 銘 兼吉 関市蔵
 ・刀 銘 日本鍛冶惣匠伊賀守藤原金道 (菊紋)雷除以南蛮鉄造之 天明五歳八
                  他多数

○明治村
 刀はまったく関係ありませんが、近いということで行ってみました。夜は花火をやっているため、浴衣で来ると安く入れるとのことでしたが、あいにく持っていなかったのでそのまま入りました。明治時代の建物を再現、移築しているということでどんなものかと思っていましたが、よく辺鄙な場所にこんな施設を作ったなという感想です。雰囲気はとても良いです。完全に世間と隔絶されている気分を味わえました。


《感想》
 関鍛冶伝承館は、歴史から刀の作り方までとにかく展示量が多いです。赤羽刀についても説明も多くあります。半分ぐらいは関市が所蔵しているので、おそらくほとんどが赤羽刀でしょう。家族連れなど観光できた人が多そうな様子でした。電車の便以外では、とてもすばらしい博物館だと思います。


《今回の一振》
今回は二代目和泉守兼定、之定の刀です。写真ではわかりずらいですが、銘もしっかり切られています。

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