刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

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 黒川古文化研究所で刀剣の展示が行われるのを昨年から待っていたのですが、今回他の旅行の予定もあり行くか迷いました。しかしやはり行かないと後悔するかなと思い、2日前にホテル、前日に新幹線をとり急遽行ってきました。せっかくなので姫路も一緒に行きました。

《行った場所》
○黒川古文化研究所
 新大阪から行きましたが意外と近くて交通の便は良かったです。博物館までは駅前からのシャトルバスを利用させていただきました。とても急な坂道が続き、慣れていないと車の運転も大変そうです。
 受付で単眼鏡を借りてみましたが、倍率が高いのではピントが合わせられないので短いのが使いやすかったです。今回は展示位置が比較的近いので、肉眼でも良く見えるのですが、単眼鏡を使うとさらにきれいに見られてよかったです。展示位置が離れてる展覧会などではぜひ活用したいです。展示については、刃文や造りについての解説があまりなかったので欲しいなと思いました。
 図録の他に美術関係の辞書などもあり、刀剣に関する初めてみる本もありました。合計で2時間ぐらい滞在してゆっくりさせていただきました。
主な刀剣
・刀 無銘 長谷部 金粉銘 国重 重要文化財
 すごくきれいで今まで見た中で一番好みな皆焼でした。
・刀 無銘 金象嵌銘 当麻 本阿弥又三郎磨上之(花押)
 形がとてもきれいでいいなと思いました。
・短刀 銘 来国俊
 幅が広めで短刀はこれぐらいの大きさのものが好みです。鎺がきれいで彫物がおしゃれでした。
・短刀 銘 鎌倉住新籐五国光法名光心 正和二二年□月十日
 単眼鏡で地鉄をじっくり見ましたが、やはり相州の刀は地がかなり好みです。
・短刀 銘 吉光
 細身ですごく吉光らしい短刀だなと感じました。
・脇指 無銘(名物 籠手切郷
 刃文はうっすら見えるという様子だったのですが、刃文が大きめで特に切っ先にいくほどかなり波うっていました。郷の刀はそこまで多く見てないうえに、写真で確認できるのが東京国立博物館で展示していたもののみなのですが、郷を見るときはいつも刃文が見えにくくて郷らしい刃文がまだよくわかっていないです。今回のはどうなのでしょうか。
・短刀 無銘(名物 伏見貞宗国宝
・刀 銘 一ツ葉葵紋 薩州住主水正藤原正清 享保十四年十一月
 どことなく美濃っぽい印象を受けました。


○湊川神社
 三宮周辺で刀を所持している場所を探しているときに見つけました。高速神戸駅の出口を出てすぐ目の前にあります。展示物は少ないですが楠木正成についての展示物がたくさんあり、普段と違う視点で歴史をわかりやすく学べました。
主な刀剣
・太刀 銘 国行
 初代の宮司が奉納したとのことです。刀身は77.6cmで迫力があります。健全できれいに手入れされているなと思いました。
・太刀 銘 於湊川神社 道政 昭和十六年二月吉日
 鎺に楠木正成の家紋の菊水紋が彫られていました。神社にもいたるところにこの紋がありとてもおしゃれだなと思いました。
・刀 銘 昭和十五年十一月吉日 日本製鋼所俊秀勤作 鍛錬湊川神社大前 紀元二千六百年奉祝祭
 こちらも鎺に菊水紋が彫られていました。どちらも現代の刀匠が打ったものですが、これですら70年も前のものと考えると、普段見ている刀がどれだけ昔のものなのかあらためて実感しました。
・脇差 銘 膳所住胤吉 慶応二年寅年四月
 胤吉は月山貞吉の門人だそうです。ものすごく幅広の造りでした。
・短刀 銘 於楠公神前 月山貞一錬之 明治二十八年四月
 冠落としか鵜の首造りのどちらかですが、違いがわかりませんでした。


○姫路城
 初めて行ってきました。朝早い時間だったのでそこまで混雑していませんでしたが、一方通行なので人が多いときは進みが遅くて大変だろうなと思いました。天守内は展示物などは置いてなく、木造の城らしさを感じる内装ですが、石内棚というロフトのような中二階造りになっているのが、他では見ないのでおもしろいと思いました。武具掛けもとてもたくさんありおもしろかったです。
 百間廊下には天守と違い展示がたくさんあり、長い建物なのでこちらのほうが見るのに時間がかかりました。姫路城というと、池田輝政の印象が強いのですが、姫路城はかなり城主がころころ変わっているのがわかりました。瓦には池田家の揚羽蝶の紋が多かったです。岡山城で多かった横向きの蝶よりも、正面を向いているものが多かったと思います。


○射楯兵主神社
 播磨国総社ということで姫路城のすぐ近くにあります。展示物が置いてある総社御門は、自由に入ることができました。刀剣も所持しているようですが、以前に東京国立博物館で展示をしたことがあるようです。ミミズクが神の使いということで、御門の中にいろいろなミミズクの置物が展示されていました。


○兵庫県立博物館
 刀剣の展示はありませんが、いつも各地の博物館を訪れているので、兵庫県の歴史を学ぶためにも行ってみました。企画展で偉人の肖像画など、絵画を中心に古代から順に展示していました。解説も詳しくてかなりわかりやすく歴史のおさらいができました。
 常設展は入館無料で、展示物は少ないですが凝ったものが多かったです。姫路城の紹介とともに他の現存天守の模型が一緒に置かれていましたが、この一年間の間に行ったものもいくつかあり違いがよくわかり楽しかったです。解説のボランティアの方の話をたくさん聞くことができました。
 資料室として各地の博物館の図録などがたくさん置かれていました。あまり珍しいものはありませんでしたが、かなり蔵書量は多いほうだと思います。つい夢中で漁ってしまいました。
 今まで行った博物館の資料室のなかでは、東京国立博物館を除けば大阪歴史博物館が一番図録などが豊富だったかなと思います。埼玉歴史と民族の博物館も古い図録などが読めておもしろかったです。東京国立博物館は平日利用できないので、都内では都立図書館や国立新美術館が図録を探して読むだけなら便利だなと思います。
 


《感想》
 今回は、新大阪→三ノ宮→姫路と兵庫県をほぼ横断するぐらいの距離を移動しましたが、電車でも意外と時間がそこまでかからないので便利だなと思いました。前回数珠丸を見に初めて兵庫県を訪れたときに山と住宅地が長距離間密接に続いていて驚きましたが、今回もその地形の面白さをとても感じました。また、明石城や須磨寺など今回行けなかったところはまだまだあるので、また訪れたいと思います。


《今回の一振》
 今回は伏見貞宗です。 貞宗の中では細身なほうかなと感じました。展示の位置や研ぎで刃文がとてもよく見えました。刃文が規則的でおとなしい印象をうけましたが、上品な感じできれいでよかったです。貞宗というといつもがっちりした印象もつのですが、今回は造りも刃文も全体的に線が細い印象です。単眼鏡で地鉄をじっくり見られたのもよかったです。


 にっかり青江を見に香川県へ行くついでに、岡山県を回ることにしました。たまたま文化の日の本興寺での数珠丸が展示されるのとかぶっていたのでそちらも寄ることができました。

《行った場所》
○丸亀城・丸亀市資料館
 丸亀駅から商店街を通って丸亀城へ行きました。日曜日だからなのかわかりませんが、商店街はほとんど閉まっていました。比較的きれいな街でお店もあるのに、驚くほど人が少なかったです。閉まったシャッターにきれいな絵を書いてる人は見かけました。まだ一部だけしか描かれていないようだったので、これから増えていくのでしょうか。
 丸亀城は天守に登ってから資料館へ行きました。天守への坂道は急ですが、距離が短いのでまだ楽だと思います。土産物屋にはにっかり青江のグッズが並んでいました。てっきり売り切れた後再販していないと思っていたので、驚きました。天守の中も木造の城らしく急こう配の階段で狭いですが趣があります。にっかりの展示してある資料館は、歴史資料の展示は少なめでしたが、無料で入れるのが良心的でした。展示室は比較的人が多いですが、タイミング良く見ればじっくり見られます。展示の仕方が良いのか、とてもきれいに見えました。
主な刀剣
・脇指 金象嵌銘 羽柴五郎左衛門尉長(名物 ニッカリ青江重要美術品



○備前刀剣博物館
 ずっと気になっていましたが、やっと行くことができました。刀剣の販売がメインで販売しているものは手にとれる場所に置いてあります。10万ぐらいからあり、意外とお手頃価格だなと思いました。買うならこれという気にいったものは、45万ほどの拵つきの刀でした。高価なものなど販売していないものを展示しているようです。展示はメインではないので、見ずらい位置に置いてあったり、解説がないものもありますが、展示数は多かったです。2階では新選組関連の刀を展示していました。店内には大和守安定の刀がいろいろなところに展示されていて多かった気がします。
主な刀剣
・太刀 銘 正恒 重要刀剣
・太刀 銘 国安
・刀 無銘 則重
・刀 無銘 高綱
・脇差 無銘 福岡一文字 重要刀剣
・小太刀 銘 光忠
解説のほとんどが燭台切光忠についてで、隣の写真は生駒光忠だったのでバラバラすぎてちょっと笑ってしまいました。
・短刀 朱銘 行光 本阿弥長織花押
・脇差 銘 津田越前守助広 延宝七年二月日 重要刀剣
・脇差 大和守安定 (金象嵌)万治三年八月五日 弐つ胴切落
          (金象嵌)山野加右衛門尉永久    重要刀剣
・短刀 無銘 左 重要刀剣
・刀 無銘 次吉
              他多数



○後楽園・岡山城
 どちらも行くのは2回目ですが、他の三名園やお城をしっかり見た後では、受けるイメージが変わりました。
 後楽園はそこそこの広さにちょうど良い人出でした。平日だったのもあるのでしょうが、お庭の雰囲気を味わうにはちょうど良かったです。敷地内に田んぼや茶畑があって、妙に生活感があるなと感じました。兼六園はあまり広くないからかいつも人が多いですし、偕楽園はほぼ市民公園と梅林なので他の庭園とは雰囲気が違うと思います。
 岡山城は内部にエレベーターがあり、完全に博物館化していますが、お城の外観がとても好きです。記憶よりも大きくて立派でした。城内の展示量はあまり多くありません。今回行ったときには、企画展で戦国武将の甲冑を展示していました。月見櫓が公開中でしたが、上にあがる階段がとにかく急です。階段というより梯子でした。上は縁側のように張り出していて、昔のままの造りが見られてとてもよかったです。

○備中松山城
 特に予定はしていなかったのですが、月曜日で博物館がまったく開いていないこともあり、観光案内でみかけて行くことにしました。岡山駅から在来線で1時間で行けます。備中松山城は現存する天守があり、現存天守の中で、もっとも標高が高い場所にあります。天空の城として紹介されていて、運が良いと雲海も見られるそうです。今回は時期はちょうど良かったのですが、朝雨が降っていたため、雨が止んで晴れた午後に行きました。岡山駅からの電車の眺めもとても良いです。八合目までは車で行けますが、その先は山登りです。お城までは20分ぐらいですが、かなり足場が悪いので、天気が良いときに行って正解でした。とにかく登っている最中も眺めがよくて気持ちよかったです。天守の中は展示物は少ないですが、当時天守が重要な象徴としての存在だったこと、捨て置かれていたため荒れ果てていたこと、山の上にあるため修復作業がとても大変なことなどがよくわかりました。平成の修復作業については、詳細な映像で学ぶこともできたのでとてもわかりやすかったです。

○倉敷
 刀もゆかりの地としてもあまり関係ありませんが、岡山の観光地といったらはずせない倉敷の美観地区も行ってきました。瓦屋根などをみるのが大好きなので建物を見ているだけで楽しいです。今回は初めて川の船にも乗りました。ゆるい船頭のおじさんの話はおもしろかったです。備前焼も少し興味をもったのでお店に入ってみましたが、思ったより手頃な値段だったのでつい買ってしまいました。

○本興寺
 岡山から新幹線で新神戸まで行き、そこから尼崎まで行き本興寺に行ってきました。事前に調べたところあまり人が多くないとのことでしたが、私が行った夕方は比較的多いときだったのではないかなと思います。宝物殿は小さいですが中はきれいな建物でした。数珠丸が展示されている2階はとてもにぎわっていました。展示は刀が低い位置に置かれていたため、刃文が少し見づらかったのが残念です。手入れもしているというお坊さんの話を聞くことができたのですが、美術品ではなく宗祖の日蓮大聖人の持ち物としての展示なので茎は見せない展示方法だったそうです。最近いろいろな施設から貸出の問い合わせがあるそうですが、神聖なものとして取り扱っているためか、あまり展示に前向きではないようです。正直、展示の仕方で受ける印象が大きく変わるので、もっと良い施設で展示しているのも見たいなと思いました。刀以外の展示では、多くの著名な武将が奉納した禁制が置いてあり興味深かったです。
 お寺の敷地内ではお坊さんをたくさん見かけました。特別な日だからか、みなさんとても親切に声をかけてくださり、展示の説明や道案内をしていただきました。重要文化財の建物である方丈はとてもきれいな襖があり良かったです。お堂からお経をよんでいるのが聞こえてきましたが、聞きなれないお経で不思議なリズムでした。
主な刀剣
・太刀 銘 恒次(号 数珠丸重要文化財
・短刀 無銘(号 長一丸
こちらも日蓮大聖人が所持していたそうです。無銘ですが郷義弘の作ではないかとのこと。切っ先が冠落しだったのと少し長め(29.4cm)だったのでパッと見で脇指かと思いました。


《感想》
 岡山は刀剣関係で行きたい場所が多いのですが、今回月曜日をはさんでいたので、県立博物館や長船刀剣美術館には行けませんでした。林原美術館も刀剣の展示はしていないようだったので、ぜひ機会を見てまた近いうちに岡山の刀剣旅行をしたいです。
 今回の旅行でお城を3つ回ったのですが、調べていてあらためて四国は良いお城が多いなと感じました。今回初めての四国上陸だったので、ぜひ他の3県も行きたいと思います。


《今回の一振》
 今回はにっかり青江です。幅も広くて厚みもあって脇差とは思えない迫力がありました。茎の形や鎺、樋の入り方も好みで、刀剣乱舞に登場したキャラも実物をたくさん見てきましたが、かなり好きな刀だと感じました。銘はものによって銀象嵌銘に見えるものもありますが、きれいな金でした。
 数珠丸は備前作ではないかともいわれていますが、にっかりも倉敷刀剣美術館で見た青江派の刀も直刃の似た雰囲気を感じたのでやっぱり青江派かなと思いました。


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