刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

カテゴリ: 広島県

 ふくやま美術館の「阿部家ゆかりの日本刀」展に行ってきました。直前になって京都にも行きたいということになったので、今回も広島と京都を移動するという少し強引な行程でした。京都では、大覚寺、京都国立博物館、二条城と今回もたくさんの刀剣に出会う旅になりました。

《行った場所》
○二条城
 とても混雑するので朝一番に行ってきました。思っていたよりは平気でしたが、団体客が多いので全体的に見て回るだけでも進みが遅くなっていました。今まで行ったお城だと団体客はあまり多くないので、やはり京都といった雰囲気でした。昔は京都の観光地だと二条城が好きだったのですが、他のいろいろなお城や御殿を見すぎたせいか、昔より感動が薄くなったのを感じました。ただ、意外と近年修復をあまりしていないのか古くなっている箇所が多いなというのがわかりました。
 刀は京都の不動産会社の社長さんのコレクションだそうで良いものばかりでした。展示場所も二の丸御殿の中ですが思っていたより広々としたスペースで、人の流れを見て空いてるときを狙えばばじっくり観察することもできました。ただ光は弱くて刃文や細かい造りはあまり見えません。銘が読み取れるぐらいですが展示の仕方にあまり期待はしていなかったので思っていたよりは見られるかなという具合です。二条城での刀剣の展示が今まであったのかどうかはわかりませんが、普段刀をあまりみない人の目にもとまるというのは良いのかなと思いました。
主な刀剣
・刀 銘 孫六兼元 金象嵌銘 笹の露 個人蔵
・太刀 金象嵌銘 正宗 本阿弥(花押) 個人蔵
・太刀 銘 来国俊
・刀 銘 長曾根興里入道虎徹 寛文十二年と九月十一日二ツ胴切落 山の勘助十郎久英(花押)
・刀 銘 村正

○大覚寺
 今年一年間度々展示されていた膝丸ですが、しばらく展示されないとのことなので見納めに行ってきました。大覚寺は初めて行きましたが、とても広くで驚きました。紅葉の時期ということで人が多くにぎわっていました。大沢池のところでは紅葉をみながらお茶と和菓子をいただけました。とてもいいい景色が見られてよかったです。
主な刀剣
・太刀 銘 □忠(号 薄緑膝丸))重要文化財

○京都国立博物館
 坂本龍馬展の最後の土日ということもありとても混雑していました。展示品を全部じっくり見ているととても時間がかかるというのはあらかじめ聞いていたので、流すように見ていきました。刀剣の展示場所も最前で見る場合は並びますが、比較的じっくり見られました。
主な刀剣
・短刀 銘 濃州住兼涌 高知県立歴史民俗資料館蔵(高知県)
 武市半平太が佩刀していた刀です。重ねがかなり厚めだなと思いました。
・刀 銘 吉行
 2回目ですが、以前見た時よりも反りのないまっすぐさが強く感じました。
・刀 銘 山城國西陳住埋忠明寿作
 彫物がとてもきれいで明寿らしさを感じました。
・脇差 銘 備前国住長船二郎左衛門尉勝光左京進宗光 永正二年八月吉日 個人蔵
・刀 銘 筑前住源信国重貞 個人蔵
・脇差 銘 備州長船住忠光 個人蔵
・刀 銘 國廣
・刀 銘 兼元 霊明神社蔵(京都)


○ふくやま美術館
 福山に移動して、美術館へは朝の開館時間めがけて行きました。10分前で30人ほど並んでいました。入ってからクリアファイルや図録を並ぶための列に並び、その後入館券を買って見ました。最初は全員順番に並んで見ていくので進みはかなり遅いですが、次の部屋からは自由な順番で見られるのであまり並ばずに時間がかからず見ることができました。展示内容はとにかく豪華で、地域と年代ごとになってるのも違いがわかりやすかったです。図録の写真がかなり大きめで見やすいのも良かったです。
 展示された刀剣の数も多ければどれも指定文化財ばかりという豪華さなので、一度見たことあるもの以外を記録しました。所蔵が書かれていないものはすべてふくやま美術館寄託の小松コレクションです。
主な刀剣
・太刀 銘 久国 国宝、文化庁蔵
・短刀 銘 吉光(名物 岩切長束藤四郎重要文化財、東京国立博物館蔵(東京)
・太刀 銘 定利 国宝、東京国立博物館蔵
・短刀 銘 光包 重要文化財
・太刀 銘 包永 東京国立博物館蔵
・太刀 銘 大和則長作 東京国立博物館蔵
 他の包永の刀と同じように茎の尻ぎりぎりのところに銘がありました。銘が完全になくなるまで磨り上げられるものも多いのに展示で見る包永はぎりぎり残しているものばかりなのはおもしろいなと思いました。
・太刀 銘 正恒 国宝
・太刀 銘 備前国長船住左近将監長光造 正応二年十月日 重要文化財、林原美術館蔵(岡山)
・太刀 銘 備州長船住景光 延慶二年七月日 重要美術品、東京国立博物館蔵
・太刀 銘 備州長船兼光 延文三年二月日 重要文化財
・刀 無銘 伝長義
 全体的にとても好みな姿をしていました。新しく小松コレクションに加えられた刀で、阿部家に渡った経緯も近年わかったようで図録に細かく書かれていました。
・太刀 銘 備前国住長船盛景 重要文化財
・脇指 朱銘貞宗 本阿(花押)(名物 朱判貞宗重要文化財
・刀 無銘 志津(名物 分部志津重要文化財、個人蔵
・短刀 銘 兼友 重要美術品 刀剣博物館蔵(東京)
・刀 銘 和泉守藤原兼定 石破渋谷木工頭明秀 (金象嵌)二胴切落 伊勢山田是作 永正十二二年二 佐野美術館蔵(静岡)
・刀 銘 兼元

○福山城
 新幹線から見えていつも気になっていたのですが、やっと行くことができました。想像以上に近くてびっくりしました。全体的に岡山城に似ているなと思いました。中は展示物があまり多くないのもありとても広々としています。


《感想》
 今回は行く先々で刀剣の展示があってとても濃い旅行になりました。また、それぞれの施設でコラボグッズやポストカードなどいろいろな関連商品を買うことができました。あとから旅行の記録を書いていても、目録や図録があるだけで、そのときの記録の残り方が全然違います。最近は見るのが2回目以上のものが増えてきました。博物館などで気づかずこの記録を書くのに一覧表と照らし合わせているときに気が付くことが多いです。もっと一つ一つを大事に見ていきたいなと思いました。


《今回の一振》
 今回は初めて見た朱判貞宗です。朱判貞宗は幅広で大きな短刀という印象が物吉のような貞宗らしさの刀だなと思いました。どちらかというと短刀に見られる小さめな貞宗の刀のほうが好みですが、刃文はこれぐらいおだやかなものがいいなと感じました。

 広島県立美術館で5月29日まで徳川名宝展を開催中です。各地の博物館などの所蔵品を集めた特別展で、今まで行った場所のものもあれば、行きたいと思っていた場所の所蔵品も見ることができました。
 初めて広島に行ったので、今回は行きたかった観光地も見てまわりました。

《行った場所》
○宮島
 昼に行ったときちょうど干潮の時間だったので、大鳥居の近くまで歩いて行くことができました。18時ぐらいのときはかなり潮が満ちていましたが、厳島神社はそこまで海につかってなかったので、うまく設計されているなと思いました。
○弥山
 ロープウェイを乗りついで頂上近くまで行き、そのあとは山登りをしました。登る予定ではなかったので靴はパンプスだったのですが、特に問題なく登りきることができるぐらいの道のりでした。途中の道は景色があまり見えないところが多くそこまでといった印象ですが、登りきった頂上からの景色がとてもすばらしかったです。
○厳島神社・宝物館
 初めて行きましたが、神社というよりも舞台がメインのように感じました。もっと常に水につかってるものかと思っていたので、1日のほとんどの水から出ているというのが意外でした。
 宝物館は、常に刀剣の展示があるようです。国宝や重文のものは出ていなかったのですが、有名な刀工のものが多く、とても良かったです。
主な刀剣
・短刀 銘 国光
 国の字に目釘穴がかぶっていました。元就の重臣である桂元澄が納めたそうです。厚みがあって相州っぽさを感じました。
・短刀 銘 天國
・短刀 銘 相州住綱広
 彫られた省略した倶利伽羅龍(草の倶利伽羅だそうです)がおしゃれでとてもよかったです。
・大太刀 銘 三州高力住長吉作 万治三庚子年三月吉日
 すごく大きくて幅がある刀です。鎺に見慣れない家紋が彫られていて気になりましたが、高力氏の紋の鳩字紋というそうです。
・太刀 銘 末行
 生ぶの茎で、鉄鎺も作刀時期と同じ南北朝から室町当時のもので貴重とのことです。
・太刀 銘 国綱 
 鍛えに京鍛冶らしさを感じることができました。

○広島県立博物館
 開館に合わせて行ってきました。音声ガイドは声優の山下大輝さんです。静岡県出身で徳川ゆかりの地だからというつながりでの音声ガイドだそうです。音声ガイドの長さはまちまちですが、刀剣だけは展示品のほとんどにガイドがついており、さらにとても長くて明らかに他との違いを感じました。展示が若干下のほうにあり刃文が少し見ずらいように思いました。刀剣以外の展示も盛りだくさんで、展示室が広いのもあり、屏風や障子絵などかなり大きな展示品が多かったです。
主な刀剣
・槍 銘 南無八幡大菩薩 徳川ミュージアム蔵(茨城)
 以前羽田空港の美術館で見たものと同じものでした。
・太刀 銘 宗近村上 東京国立博物館蔵(東京)
・太刀 銘 来国光 附黒漆打刀拵 重要美術品、徳川記念財団蔵・東京国立博物館寄託(東京)
 家康の代表する刀剣の一つだそうです。現在は67.8cmだけれど、元々はかなりの長さがあったとのこと。シンプルな拵は家康の特徴的なものだそうで一緒に展示されていました。
・刀 金象嵌銘 正宗 本阿(花押) 本多中務所持(名物 中務正宗) 国宝、文化庁蔵
 展示の目録では名物について書いていませんが、解説では言っていました。中務正宗は桑名正宗ともいうそうですね。磨りあげられてかなり短めだなと思いました。
・刀 金象嵌銘 光忠 本阿(花押) 重要文化財、東京国立博物館蔵
 まだ見たことのなかった光忠の刀ですが、ずいぶん幅が広いなと思いました。刃文がかなり派手で見応えがあってよかったです。
・太刀 銘 筑州住左(名物 江雪左文字国宝、ふくやま美術館寄託(広島)
 昨年九州国立博物館で見ましたが、そのあとも何度か展示していました。去年みたときは刀を見はじめた頃だったのであまり気になりませんでしたが、かなりの長さがあるのだと気づきました。宗三左文字ほどではないですが相州っぽさを少し感じました。


○広島城
 建造物は再建のものもほとんどありませんが、敷地はとても広く平城としてなかなか雰囲気がありました。
 つい最近まで刀剣展をしていたようですが、常設のみでも意外と多くの刀剣が展示されていました。
主な刀剣
・脇差 銘 播磨守輝廣作
 この輝廣作の刀は、脇差2、刀1、短刀1が展示していました。
・脇差 銘 大山住宗重
 こちらは赤羽刀で、ほかにも赤羽刀がいくつか展示していました。
・刀 芸州住藤原兼光 寛文四年甲辰三月日 個人蔵
・刀 丹波守吉道 重要刀剣
・太刀 銘 雲次 重要刀剣
・刀 無銘 伝兼長


○広島平和記念資料館
 広島が初めてなのでこちらも初めて行ってきました。資料館という名のとおり、残ったものをもとに起きた出来事を、経過や結果など淡々と解説していました。感情で訴えてくるような体験記や映像作品と違い、冷静に考えさせるような展示方法だと感じました。展示室が新しくてきれいなのと、室内が明るめの照明だったのも意外でした。来館者は外国の方がほとんどで、とても混雑していて展示がじっくり見られないほどでした。展示品の一部にある体験者の直筆の文字などは訳されていないので、そちらのほうが心にきたので外国の方が読めないのはもったいないなと思いました。昔からこんなに外国の方が多かったのかどうかはわかりませんが、みなさんとても真剣に見ていました。
 

《感想》
 意外と多くの刀剣を見ることができました。厳島神社や県立美術館は解説も充実していたのでよかったです。
2日間とても天気が良く暑いほどでした。広島は繁華街がコンパクトで便利だなと思いました。路面電車は都内やこれまでの旅行で見たものはどれも一両編成なので、二両以上あるのも便利で良いなと思いました。


《今回の一振》
 今回は中務正宗です。広島県立美術館はあまり刃文が見やすいようになっていなかったのですが、中務正宗は見やすかったです。意外と刀身が短く切っ先も長めでかなり磨りあげられているような印象です。

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