刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

カテゴリ: 東京都

 刀剣博物館で特別重要刀剣に新しく指定された刀剣が展示されていたので久しぶりに行ってきました。
また、映画「日本刀~刀剣の世界」をまだ観ていなかったので席が空いていたので急遽行ってきました。

《行った場所》
〇刀剣博物館
 今回は新しく指定されたものの特集だったので、解説がありませんでした。やはり造りの説明がほしいなと思ったのと、普段の刀剣博物館の展示はちょうどよい量の解説があったのだと感じました。今回所蔵者も書かれていませんでしたが、すべて個人蔵というわけではないのでしょうか。
 展示されていたものは、無銘刀が多いですが有名な刀工のものも多くとても勉強になりました。特に印象に残ったものを紹介します。
主な刀剣
・短刀 銘 吉光(名物 鍋島藤四郎
 以前調べたときに行方不明とありましたが、鞘書もされていたのに行方不明というのは、ただ個人が持っていたということでしょうか。重要文化財などに登録されていると個人名や所在地までしっかり登録されるのでそうそう行方知らずにはならないと思いますが、刀剣の所持登録だけではそこまで正確に把握されていないということでしょうか。地鉄がとてもきれいで、吉光らしい小振りな短刀でした。
・刀 無銘 来国行
・刀 (朱書)国俊
・刀 銘 来国俊
・刀 無銘 来国光
 来派の刀が並んで展示をされていたのでそれぞれの刀工の特徴を比べることができました。刃文はかなり違いがあるというのがわかります。個人的には来国俊の刃文が一番来派のイメージでした。来国光まで時代が下ると地鉄が相州っぽいなと思いました。
・薙刀直し刀 無銘 伝正宗
 薙刀直しということで見た目のインパクトがとてもあります。正宗の薙刀は見たことありませんが、こちらも伝なので確定ではないということでしょうか。史料としておもしろい存在だなと思いました。
・刀 無銘 貞宗
 こちらは貞宗だそうですが、あまり貞宗っぽくない刃文だなと思いました。地鉄はそれらしいのでわかりますが、これを見ても貞宗と当てることはなかなか難しそうです。
・脇指 銘 相州住秋広 応安三
 特に帽子の部分の刃文が秋広らしいなと感じました。秋広の刃文はなかなか好みなので見られてよかったです。

・短刀 佐伯則重作 元応元年十一月日
 刃文がかなり広くて刀身の大部分を占めていて変わってるなと感じました。短刀で年季がしっかり入ってるのは貴重だなと思いました。
・太刀 銘 久宗
 古一文字の刀工だそうですが初めて見ました。細身でかなり古い時代に作られていそうです。一文字らしい姿だと思いました。
・短刀 銘 守家
 短刀にしてはあまり見ないめずらしい刃文で印象的でした。
・脇指 銘 備州長船倫光 延文三年二月日
 倫光というと日光二荒山神社にある国宝の大太刀ですが、こちらにも同じように彫物がたくさんありきれいでした。奉納用の刀という印象を受けました。
・刀 無銘 青江
 姿や地鉄の感じがにっかり青江そっくりでした。青江派の刀剣はあまりたくさんは見ていませんが、刃文以外は毎回受ける印象がかなり変わるので、今回は同じ青江派の作というのがしっくりきました。
・短刀 銘 筑州住左
 すごく見たことがあるような気がしましたが、おそらく土浦市立博物館の国宝の行弘の短刀か小夜左文字と似た印象だったのだと思います。特に帽子のあたりが特徴的だなと思いました。
・一竿子粟田口忠綱 雕同作
 忠綱らしくすごく細かい龍の彫物で火を吹いたデザインになっていました。
・刀 銘 繁慶
 地鉄がきれいでのたれの刃文もとても好みな造りです。


《感想》
 解説がないとやはりまだまだ刃文を詳しく言葉で書くこともできないというのがわかりました。今回久しぶりに刀剣博物館に来たら展示とガラスの位置が意外と離れているなと感じました。先日黒川古文化研究所で単眼鏡を借りてみて見ましたが、照明がみやすいだけに今回は欲しいと思いました。刀剣博物館は短刀の展示のときに寝かせる展示の仕方をよくとりますが、距離が近くとても見やすいので良いなと思います。
 見終わって時間がちょうどよかったので、日本橋で映画日本刀を観てきました。有名な刀剣が紹介されるというのに興味を持ちましたが、刀ができるまでを丁寧に映像に残されていたのがとてもよかったです。少し前に備前長船刀剣の里で鍛えを見学したばかりだったのもあり、とてもすんなりと頭に入っていきました。研ぎのようすもここまでじっくり映像で学ぶのは初めてで思わず研ぎ師を目指したくなるような作りでした。博物館の展示越しだったり映像が古いものを映画館のスクリーンで観るのはとても違和感がありもったいないなと思いましたが、テレビで観ればおそらくそこまででもないのでしょう。全体的にとても緊張感のある映像ばかりで、集中して観ていたために見終わった後に少し疲労感がありました。


《今回の一振》
今回は江の作といわれる刀です。伝江なので確実ではないのでしょうが、とてもきれいで良いなと思いました。刃文も江らしさを感じます。

 昨年に引き続き、今年も土方歳三の和泉守兼定を見に行きました。また、八王子にある東京富士美術館が近い距離にあるので、合わせて行ってきました。東京富士美術館は15日までが前期の展示で、18日からは後期の展示内容になります。


《行った場所》
○土方歳三資料館
 昨年12月の1日限定公開のときに初めて見た和泉守兼定ですが、今年はこのGWの時期に行きました。ひどい混雑はありませんでしたが、ひっきりなしに人が訪れるといった感じでした。前回来たときは刀以外の展示をあまり見られなかったのですが、今回は時間をかけてじっくりと見ることができました。ちょうど刀を見ているときに、解説の時間になったため、目の前で解説を聞くことができました。昨年の展示のときも解説は聞けていたのですが、やはり持ち主の方から直接話を聞くことができるのはとてもありがたいです。
主な刀剣
・刀 銘 和泉守兼定 慶應三年二月日 日野市指定有形文化財
・十文字槍 銘 助宗
・槍 無銘


○東京富士美術館
 八王子の東京富士美術館でザ★刀剣展を開催中です。以前、文化財登録されている刀剣を所持している施設を書き出していたときに知った美術館ですが、常設展での展示がなかったためあまり深く調べていませんでした。今回の展示もかなり貴重な展示のようで、初公開のものがたくさんありました。写真撮影も可能でしたがまさかのカメラを持参するのを忘れてしまいました。同行者に撮ってもらいましたが、そのため今回の記事に写真はありません。今回の特別展は、図録ではなくパンフレットのようなものが販売しており、とても安かったので写真を撮れなかったのもあり買ってきました。
 とてもたくさんの刀が展示されていたので、印象に残ったもののみ記録をしています。
主な刀剣
・刀 無銘 伝正宗(名物 武蔵正宗重要美術品、刀剣博物館蔵(東京)
 昨年4月に初めて刀剣博物館に行ったときに見た正宗の刀です。これが初めて見た正宗の刀で、この後金沢で太郎作正宗を見たことで本格的に正宗の刀や相州の刀に興味をもったので思い出深い一振です。他の正宗の刀をたくさん見たあとでは、刃文が他とは少し違う印象をうけました。
・刀 銘 村正 刀剣博物館蔵
 こちらも昨年4月に武蔵正宗と一緒に展示されていた刀です。

・刀 折返銘 正恒
 平安・鎌倉前期の古い刀工のなかでも、正恒の刀は見る機会が比較的多いです。文化財登録されているものもたくさんありました。以前別の施設でも折返銘の正恒の刀がありましたが、そうまでして残したいという現れでそれほど名刀工だったという証拠だと思います。
・刀 無銘 伝助真
 刃文がとても派手です。刃文が見やすく研がれているというのもあると思いますが、鎬地のほうまで広がっていると一瞬かなり異様に見えます。
・短刀 無銘 行光
・脇指 銘 兼洞 刀剣博物館蔵

・太刀 銘 有綱 重要文化財
 細さや反り方、峰の小ささから一目で平安の刀とわかる見た目をしています。安綱の刀は何度か見ましたが、有綱のほうが珍しい気がします。この時代の刀のわりに銘が読みとれるぐらいに茎がとてもきれいな状態というのがすごいと思います。
・太刀 銘 一 重要文化財
 一文字らしいとても華やかな刃文です。これら重要文化財三振は、押型が表裏のものが展示してあり、この一文字の刀は表裏の刃文の違いがとてもわかりやすく、両方を見比べられておもしろかったです。
・太刀 銘 備前國長船近景 建武二年五月日 重要文化財
 光忠や長光と関連した解説が書かれていましたが、それらとは刃文の雰囲気はだいぶ変わるなと思いました。

・刀 銘 長曽根興里入道乕徹 (金象嵌)寛文五年十二月十六日 山野加右衛門六十八歳永久(花押)四ツ胴截断
 展示は表の銘が見られるほうでしたが、鏡で裏の金象嵌銘も見えるようになっていました。虎徹は刃文というよりいつも銘に注目して見てしまいます。
                               他多数
                                     


《感想》
 東京富士美術館は、交通の便はバスの本数が少なく若干悪いのですが、広い施設にほどほどの人出でとても見やすい展示でした。解説がかなり少ないので各刀についてもう少し詳しく知りたいなと思いました。個人で買い取ったものなのでだれが所持していたなどはわからないのかもしれませんが、著名な刀工の刀もあって趣味で集めた所蔵品としてはかなりすごいと思いました。


《今回の一振》
 今回は良いものがたくさんあったのですが、個人的に行光の短刀がとても印象に残っています。行光の刀は今までほとんど見たことがなくかなり楽しみでした。とても相州らしさを感じ、なんとなく三井記念美術館で見た日向正宗に似た印象をうけました。刃文は帽子のところも特徴的で見ていて飽きないかなり好みな刀でした。



 桜がかなり咲いてきたこの時期に行ってきました。天気が良い昼間だったので上野駅はものすごい人混みでした。人を避けたいのであれば桜の時期は鶯谷から行ったほうが良いでしょう。博物館内も全体的に人が多かったのですが、刀剣の展示場所だけを見ればいつもよりじっくり見る人が少ないため空いている印象です。

《行った場所》
○東京国立博物館
・直刀 無銘(号 水龍剣重要文化財
 奈良時代に作られた直刀です。直刀は神社の宝物館などでたまに錆びついたものを見かけますが、きれいな状態を見られるのはあまりないのでとても良かったです。鎺の造形がきれいでした。
・太刀 銘 康次 重要文化財
 古青江派の刀工の作品でかなり長い刀です。縮緬肌が特徴ということで、地鉄はまだまだ理解できていないのでとても興味深く見られました。
・太刀 銘 国安
 後鳥羽院の番鍛冶だった国安の貴重な在銘作品らしく、価値のあるのになぜ文化財指定がされていないのかなと少し疑問に思いました。
・太刀 銘 包永 重要文化財 個人蔵
・太刀 銘 吉宗 重要文化財、筑波山神社蔵(茨城県)
・太刀 銘 長光(号 大般若長光国宝
 丁字刃に互の目交じりの刃文がとてもわかりやすいです。以前見た蜂屋長光もですが、全体に対して茎が短めなため、全体的に短い印象をうけます。
・刀 無銘(名物 観世正宗国宝
 正宗の刀らしくとても迫力を感じました。刃文がくっきりと見えすぎて逆に違和感を感じるぐらいです。鎺の梅(桜?)の彫物がとてもきれいでした。地鉄にうずまき状のものが見られました。以前このうずまきができたものはあまり良くないと聞いたことがあるのですが、あいまいです。
・刀 無銘 郷義弘 重要美術品
 以外と見る機会が少ない郷の作品です。のたれの刃文ですが不規則でどこを見てもおもしろいと思いました。
・太刀 銘 備中住守次作 延文二年十二月日 重要文化財
 かなり長く迫力もあり、磨りあげられていない南北朝の刀というのがよくわかりました。茎がかなりカーブしているのが特徴的です。
・脇指 銘 南都住金房兵衛尉政次 天正十八年八月吉日
 皆焼の刃文でとても派手です。
・刀 銘 上総介藤原金重 寛文八月十一月吉日 個人蔵 
 数珠刃風の互の目とありました。写真が禁止だったのが残念ですが確かに数珠っぽいと思いました。
・刀 銘 川部儀八郎藤原正秀 (花押)寛政十年二月廿九日

・太刀 銘 弘 重要文化財
 弘はあまり聞かない名前ですが、一文字派の刀工と考えられているそうです。反りがかなり強くみえます。
・太刀 銘 雲生
 こちらも備前の刀工である雲類の作品です。きれいに銘がのこっていて雲という字もよく見えます。小さくて丸っこくかわいらしい銘だなと思いました。
・短刀 銘 備州長船住兼光 重要文化財
 島根県の津和野藩亀井家が鳥取県にある大神山神社に奉納した刀だそうです。


《感想》
 東京国立博物館は、刃文がとても見やすく研がれていて、解説に刃文や地鉄のことをのせているのでとても勉強になります。さらに一部を除いて写真にも残せるということで、うまく撮れれば後から解説と写真を見比べることもできます。刀剣鑑賞初心者が気軽に訪れて勉強するにはもってこいだなと思います。
 昨年の29日に初めて刀剣を見に博物館を訪れ、ちょうど一年が経ちました。東京国立博物館はこの一年で数えられないほど訪れましたが、今年も年間パスポートを使い気軽に訪れ勉強したいと思います。


《今回の一振》
 今回は手掻派の包永の刀です。
佩表が細直刃、佩裏が乱刃で展示で見られたのは乱刃でした。裏ものぞいてみましたが、光が当たらないため刃文はほとんど見られませんでした。包永の銘があり、徳川ミュージアムの児手柏とほぼ同じ位置でした。

児手柏
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今回展示している太刀
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児手柏は刃文の記録が残されていないそうですが、表裏の刃文が違うのも同じなので、児手柏が燃えていなかったらこのような姿だったのかなと思いました。反り方がかなり違うのでそこも興味深いです。

天下五剣の一つ、童子切安綱の展示が今日まででしたので最後に行ってきました。
今まで平日の夜に行っていたのですが、1・2月は金曜も17時までだったのですっかり行き損ねていました。3月からはまた開館時間を延長していただけるので、また頻繁に訪れられそうです。
前回の獅子王展示のときの記録を書き忘れていたので、一緒に書いておきます。

《行った場所》
○東京国立博物館
・太刀 銘 安綱(名物 童子切安綱国宝
・太刀 銘 正恒 重要文化財
・太刀 銘 久国(花押)国宝、文化庁蔵
 長めの刀身に比べて茎が少し短めですが、見た目のバランスが良い感じでした。解説で刃文が上品とかかれていましたが、確かにそんな印象です。
・太刀 銘 一(号 今荒波重要文化財
 刃文が見やすいように研がれているからか、一文字らしい刃文がわかりやすくて良かったです。
・太刀 銘 備前国長船住人平真長造 嘉元三年十月日
・刀 金象嵌銘 城和泉守所持 正宗磨上 本阿(花押) 国宝 
 東京国立博物館に来ると毎回正宗か貞宗の刀が置いてある気がしますが、こちらも無銘で金象嵌銘でした。正宗の中でものたれが大きめの刃文でしょうか。やはり厚みがある印象を受けました。
・短刀 銘 相州住秋広 応安三 重要美術品大倉集古館蔵(東京)
 大倉集古館は多くの刀剣を所蔵していますが、残念ながら現在長期の改装工事中です。昨年調べたときは既に工事していたので、このように他の施設に委託して展示していただけるととてもうれしいです。撮影禁止でしたが、短刀ながらすごく難しそうな刃文をしていて見応えがありました。

・太刀 銘 兼氏 重要文化財個人蔵
 幅が広くて峰が大きくてかなり攻撃力がありそうな刀だなと思いました。
・太刀 銘 備州長船盛光 応永廿三年八月日
 こちらも幅が広いですが、峰が小さめで丸い印象を受けます。刃文はすごくくっきりと見えて豪快でした。
・刀 銘 国安 重要文化財
・刀 銘 貞享元年十月吉日 奥州岩城平住人 (菊紋)根本和泉守藤原国虎

・太刀 銘 吉家作
・太刀 銘 一(号 上杉太刀国宝
・太刀 銘 国広 重要文化財、金剛峯寺蔵(和歌山)

前回の展示期間中に2階展示室で見られたもの
・太刀 無銘(号 獅子王重要文化財
 かなり反りがあり、腰反り高いというのはこういうことだなわかりました。
・太刀 銘 助真 国宝
・脇指 無銘 貞宗(号 石田貞宗重要文化財
 

《感想》
 今回童子切を見られたおかげで、天下五剣も残り鬼丸国綱のみとなりました。さすがになかなか見られないものだとは思いますが、いつかどこかで展示されたらぜひ見に行きたいです。今まで見た4振の中では、個人的にがっちりした武骨っぽい印象の刀が好きなので大典太が一番好みかなという感じです。
 最初に刀を見に行ったのがちょうど一年ぐらい前なのですが、なかなか刀剣の美術的評価基準というものは理解できていません。極めようと思っているわけではないので、今までどおりふらっと見に行ってちょっとずつ理解できれば良いかなと思います。東京国立博物館の来年度の年間展示予定も出ました。他の施設についても、この一年間よりは行く頻度が落ちるとは思いますが、行きたいと思ったところには積極的に行きたいと思います。


《今回の一振》
 今回は童子切安綱です。刃文は今回見られた他の刀よりすこし見ずらい感じでしたが、直刃と小互の目がわかりました。銘がかなり鎺よりに彫られているなと気になりました。銘は意外ときれいに残っていて、読みやすくてよかったです。厚みはあまりなくて反りが高く、平安らしい刀だなと思いました。

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 3月27日まで、刃文特集の展示を行っています。多少の混雑を避けるために、平日の夕方、閉館前に行ってきました。来場者はそこそこいましたが、ゆっくり見ていられるぐらいでした。閉館時間が早いので、15時ぐらいには着いておいたほうが良いと思います。
 今回は、通常の目録の他に、一部の刀剣の押型が載ったリーフレットも配られていました。展示されている刀と比べて見ると、刃文がとてもわかりやすく勉強になります。

《行った場所》
○刀剣博物館
主な刀剣
・太刀 銘 国行(号 明石国行) 国宝
 明石国行と言われる来派の太刀です。刀剣博物館の目録に号は載っていませんが、展示の解説に明石松平家伝来と書かれていました。
・刀 無銘 行光 特別重要刀剣
 相州らしい地鉄の黒っぽさと厚みだと思いました。
・薙刀直し脇指 銘 真利 重要美術品
 直刃に逆足があるとのことで、押型にも刃文が載っています。逆足は腰元のあたりがわかりやすかったです。
・刀 無銘 青江
 こちらも逆刃がありますが、全体的になっていてわかりやすいです。
・短刀 銘 近江大掾藤原忠広 重要刀剣
 短刀の短い刀身にこれでもかと細かく倶利伽羅龍が彫られていて、すごくきれいでした。

・脇指 銘 長曽祢興里虎徹入道 寛文元年霜月廿五日 
 金象嵌 山野加右衛門六十四歳永久 花押 腋毛貳ツ胴度々三ツ胴裁断
 銘に書いてあることがすごいのと、峰がすごく大きくてびっくりです。
・刀 金象嵌銘 助真
 派手な丁子刃ですが、幅広でよけいに派手で目立つ刃文でした。
・刀 銘 長幸於摂津国作之 以幡州完栗鋼鉄作之
 丁子は丸っこいイメージしかなかったのですが、こちらはすごくトゲトゲとした丁子です。

・刀 銘 津田越前守助広 寛文七年八月日
 初めて見るぐらいすごく大きなのたれでした。
・脇指 無銘 伝正宗 特別重要刀剣
 なんとなくの印象ですが、三井記念美術館で見た日向正宗に似てるなと思いました。
・脇指 銘 大和州住人九郎三郎重国居 駿河州後於紀伊州明光山作之 
 羽掃為都筑久太夫氏勝作之 元和八年戌八月吉日
 龍の彫物がすごいです。
・刀 津田越前守助広 延宝九年八月日
 すごく助広らしい濤瀾刃が見られました。
                              他多数


《感想》
 今回は刃文に着目した展示内容と展示方法だったので、刃文が見やすく展示されていたと思います。研ぎ方について順を追って説明している展示では、仕上げ研ぎをしない状態の刃文もありました。確かに仕上げ研ぎまでしないで展示している博物館や美術館もある気がします。少し見ずらいと思ってしまいますが、それも自然で良いのかなと思いました。研ぎの段階によって全然刃文の見え方が違うということがわかりました。


《今回の一振》
 今回は、国宝でもある明石国行です。薄い印象を受けるのが来派っぽいなと思いました。国行の刀は以前も見たことがありますが、博物館でよく見かける来派は国俊と国光なので少し珍しい気がします。三鈷剣の彫物がきれいで、かなり反りが強い印象をうけました。

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