名古屋に2日間滞在するということで、足をのばして刀剣の展示がある伊勢神宮と岐阜市歴史博物館も訪れたいということになったのですが、時間が足りなさそうだったので3日間の旅行になりました。思いがけずたくさんの刀剣に出会うことになったのでよかったです。

《行った場所》
○伊勢神宮・神宮徴古館
 伊勢神宮は初めて訪れました。名古屋からの始発電車で行ったので、そこまで混雑もなく楽しむことができました。式年遷宮があったばかりだったのでまだとてもきれいな状態で、簡素な造りもあいまって他の神社とはまったく異なる雰囲気です。あまり下調べをしないで行ったので、建物の屋根の茅葺がとても厚みがありすごいなと思いました。神明造と言われる高床式の造りもとても興味深いものでした。20年で新しくするというのは、少しもったいないと思っていたのですが貴重な技術を継承しなければいけないということを考えると、それぐらいの頻度は必要だなと思いました。休憩所で見られる式年遷宮のビデオで詳しく解説をしていたのでとても勉強になりました。
 神宮徴古館は、外宮か内宮から歩いて行ける距離なのかなと思っていたら、ちょうど真ん中あたりに位置していてバスで行きました。バスは多くないですが、1時間に3本はくるのでまだ良いかなと思います。バス停から建物が見えないので少し迷いましたが、坂を登ったらすぐ目の前にあります。中はとてもきれいで、思っていたよりも展示物がたくさんありました。式年遷宮についてのこともたくさん展示していますが、休憩所で映像を見て勉強したおかげで頭にすっと入りました。
 刀剣の展示は、位置は少し低めですが展示の仕方がとてもよくて刃文もよく見えました。解説も詳しくて、造りについてイラスト付きで説明されています。他の施設でも同じような解説がほしいぐらいにわかりやすくてよかったです。

主な刀剣
・太刀 銘 吉信 重要文化財
 四代将軍家綱が奉納したもので、一文字派の作品らしくとても豪華な感じでした。長さが83cmあることもあり、とても存在感があります。奉納する刀なだけあって良いものだなと思いました。
・太刀 銘 次家 重要文化財
 五代将軍綱吉が奉納したものです。古青江の特徴で太刀だけれど裏に銘を刻んでいて、刀の置き方で展示しているというのを見てなるほどと思いました。以前どこかでも同じように展示して解説がされている場所があったような気がするのですが、忘れてしまいました。
・太刀 銘 俊忠 重要文化財
 こちらも古青江派の刀工の刀です。あまり聞いたことのない刀工だと思ったら、唯一の現存在銘刀だそうです。奉納されていたために唯一残ったということを想像すると歴史研究としても貴重な存在だなと思いました。
・太刀 (菊花紋)和泉守来金道
 沸出来という解説のとおり、沸がとてもよくわかります。刃文は互の目ですが皆焼も見られました。砂流しの部分もイラストでわかりやすく示されているので勉強になりました。
・太刀 (菊花紋)丹羽守金道
 さきほどのは三代目の作だそうですが、こちらは五代目の金道の作品です。独特の刃文である簾刃についての説明もあってなるほどと思いました。
・太刀 (菊花紋)伊勢守藤原清方
 匂い出来というのがよく分かりました。展示の仕方が良いこともあり、どの刀剣も沸や匂いが本当に見やすくて良いです。
・太刀 (菊花紋)伊豆守源鬼道
 こちらも沸出来です。初めて聞いた名前の刀工ですが、金道と同じ三品派の刀工だそうです。奉納される刀剣は有名な刀工の作品が納められていることもありますが、そうでないもののほうが多い気がします。美術的価値よりも信仰心の問題だからでしょうか。展示されるようなものは有名な刀工のもので、表に出ないだけでそれ以外のものもたくさん所持しているということもある気がします。



○岐阜城
 岐阜市には初めて行きました、街中に山がポンと置いてあるような地形でおもしろいなと思いました。山のぎりぎりまで家が建っていますが山肌にはあまりないのでそのコントラストが天気の良い山の上から見るとよくわかって良かったです。岐阜城は、休日だったこともあるのか親子連れもたくさんいました。ロープウェイを乗ったあとも道は舗装されていて歩きやいですが、意外と段差の高低差があって登りずらいので注意が必要でした。とにかく景色が良いのでおすすめです。
 展示物も刀剣や甲冑などの武器・武具を中心に意外と数多く展示されていました。写真撮影は可能ですが、展示位置がかなり低いのと照明が明るくガラスの反射もするので撮影は難しかったです。
主な刀剣
・脇差 銘 陸奥守藤原 兼信
・脇差 銘 尾州犬山住大蔦道幸作之 慶応三年卯二月吉日
 脇差ですが包丁正宗の写しのようです。刃文がかなりおだやかなので一番ちかいのは徳川美術館の包丁正宗でしょうか。
・脇差 阿州海部住氏吉作
・太刀 銘 國友
 こちらだけ他のものとは明らかに年季が違う姿でした。国友というと粟田口派の刀工で、今まで熱田神宮で重要文化財のものを見たことがありますがどうなんでしょう。
・脇差 銘 兼延
・脇差 銘 備州長船祐定作
                          他多数


○岐阜市歴史博物館
 特別展で徳川美術館のものを多数展示しています。2階の常設展には楽市を再現したスペースがあり親子向けの体験スペースがありました。図録などの書籍も常設展に置かれています。
主な刀剣
・刀 銘 本作長義 以下59字略 重要文化財、徳川美術館蔵(愛知)
・太刀 銘 則宗作 徳川美術館蔵
 まだ見たこのなかった刀です。一文字らしい刃文で、すらっとした姿でした。
・短刀 無銘 正宗(名物 包丁正宗国宝、徳川美術館蔵
 剣が透かし彫りにされているため、ほりぬき正宗とも呼ばれるそうです。沸がよく見える刃文で、かなりどっしりとした存在感があります。
・太刀 銘 光忠 重要文化財、徳川美術館蔵
 初めてみる光忠の刀です。久しぶりにみると、光忠の刀はけっこうどっしりした姿なんだなと思いました。
・短刀 銘 宗近(名物 海老名宗近)徳川美術館蔵
 去年見て、すごく変わった造りの短刀だなと思いましたが、今回はとても大きく見えました。
・短刀 無銘 正宗(名物 若江十河正宗)徳川美術館蔵
 刃文の焼幅が広くて、再刃でも正宗らしさを感じました。

・刀 銘 兼貞
 常設展にも2振展示されていました。造りの解説もあり、こちらは沸がよくついた小乱れの刃文だそうです。
・脇差 銘 駿河守盛道 
 こちらは二代目の盛道の作で、兼房乱れと三本杉がわかりました。


・大垣城
 岐阜駅から近かったのでこちらも寄ることにしました。公園の一角にたたずむようにありますが、周りの石垣などはなかなか趣がありました。中の展示は体験型のものが多く、槍や火縄銃を持つことができます。また、映像の展示が多く、関ヶ原を西軍視点で書かれているものが多いのがおもしろいなと思いました。展示されている刀剣は、おそらく大垣藩主で235年この地を治めた戸田氏の子孫の方から寄贈されたようです。
主な刀剣
・十文字槍 銘 大隈守藤原家信作
・十文字槍 銘 河内守国助作
・片鎌槍 銘 文珠包久作
・槍 銘 関兼定作
・槍 銘 美濃住清里作
・刀 銘 武蔵大掾是一作


・大垣市郷土館
 大垣城の近くにあり、かなりきれいで広々とした施設です。お庭もとても趣があります。大垣城と合わせて150円の入館料はとても安いと思いました。大垣藩の戸田氏について詳しく説明されています。常設展に刀剣が展示されていますが、年間予定を見ると9月17日~11月6日まで刀剣の特集展示を行うそうです。
主な刀剣
・大身槍 銘 助光
・脇差 銘 助宗
・刀 銘 備中国住家次
                   他多数 


《感想》
 3日間とても天気がよく暑い日が続いたのですが、伊勢神宮や岐阜城などですばらしい景色を楽しむことができました。一番暑い時間は博物館の中に避難することでができるので、博物館巡りが中心の観光は良いなと思います。しかし、やっぱり歩き回っていると夜になると疲労がたまるので、刀剣旅行は真夏と真冬は控えめになるなと思いました。
 最近は大きい博物館などを目指して刀を見に行くことが多かったのですが、今回のように予想外の場所で刀が展示されているととてもうれしくなります。このブログも、そういった刀剣を展示している施設や展示している内容をお知らせしたいという意味で作ったものなので、今後もそんな場所をたくさん紹介できたらなと思います。


《今回の一振》
 今回は、岐阜城に展示されていた被災刀です。

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一番上が長光の刀だそうです。写真でわかりずらいですが銘が読み取れます。

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発掘されたりしてボロボロの原型を留めていない状態の刀はときどき展示されているのをみますが、戦火によってこれだけ傷ついた刀を展示しているのはあまり見ない気がします。特に切っ先のほうはひどい状態でした。
きっと健全な状態だと良い刀だったんだろうなという印象をとてもうけたので、紹介したいと思いました。