今日から歌仙兼定をはじめ刀剣の展示が始まった永青文庫に行ってきました。展示替えが年数回しかないので、いつ展示されるのかあまり期待はしていなかったのですが、こんなに早く特集展示をしてくれると思いませんでした。今回のための図録も大満足なもので、すばらしい展示でした。

《行った場所》
○永青文庫
 今回初めて訪れました。目白駅からバスに乗り、特に迷うことなく到着すると待機列が少しできていました。期間が長いこともあってそこまでの混雑はないかなと思い初日に行きましたが、雨にもかかわらず列は開館時間までにどんどんのびていました。
 受付で入館券と一緒に図録や季刊誌を買い、寄付をして刀剣シールもいただきました。一連の流れを行うので窓口は大変そうです。受付にこういった寄付の箱があるとお金を払ったついでに気軽にさっと寄付できるので良いと思いました。
 展示室は4階から順番に見ていきますが、とにかく内装がどこもおしゃれでアンティークな造りでした。展示ケースも博物館の見やすさ重視の明るい照明だけではなく、雰囲気重視な落ち着いた明るさの場所もありました。全体的に解説が多く、詳しくなくても楽しめるようになっていると思います。刀の展示は若干位置が高くなっています。そのためかどの刀剣も数字より長く大きく感じました。太刀も刀の展示方法をとりつつ、銘は全て見えるように展示されていました。肥後拵を中心とした拵もいろいろ展示してありましたが、全体的に落ち着いた色合いでわびさびを感じました。

主な刀剣
・刀 金象嵌銘 光忠 光徳(花押)生駒讃岐守所持(号 生駒光忠国宝
 ずっと見たかった光忠の刀です。昨年度の備前刀剣王国の図録を持っていたので、事前に見てから行ったのですが、実物は迫力もあり華やかさをとても感じました。意外と長く幅が広い印象をうけ、磨りあげてあるので元々はかなりの長さがあったのかなと思いました。

・太刀 銘 守家造 重要文化財
 蛙子丁字の刃文が腰元で特にわかりやすくはいっていました。銘が小さくきっちりと細い線で刻まれているのが印象的でした。富山の森記念秋水美術館にあったものもそうですが、今まで見た守家の刀は4口すべてが重要文化財に指定されていて、それだけすばらしい刀工なんだなというのがわかりました。

・刀 金象嵌銘 兼光磨上光徳(花押)
 前の2つと比べると刃文が少しわかりずらいのですが、片落ち互の目の典型的な造りだそうです。銘の花押の部分が少し消えているようでしたが、象嵌はどのぐらい維持できるものなのでしょうか。金を埋めるというのは改めて考えるとすごいことをしているなと感じました。

・太刀 銘 備州長船家助
 かなり変則的でバラエティにとんだ刃文です。見る場所によって印象が全然違うのでおもしろいなと思いました。

・脇指 銘 備州長船経家 永享九年二月日
 今までの刀が長く感じられるものばかりだったので、刀身が短めな印象をうけました。かなり変わった刃文をしていて、見ただけではなんという刃文なのかわかりませんでした。

・刀 銘 濃州関住兼定作(号 歌仙兼定
 切っ先にかけて細身になっていき、全体的にも細さを感じました。直刃がきれいで腰元だけ大きく変化しているのがよくわかります。また、刀身や茎の鎬が不思議と目につきました。刃文や造りがシンプルだからなのでしょうか。拵も思っていたよりシンプルな色合いで、解説に渋いとありまさにその通りだなと思いました。

・脇指 銘 信長
 当麻の刀工だということで初めて見ました。すごく細身の脇指で、刀をそのまま縮小したような印象です。細身なのに樋があり、かなり独特な形をしているなと感じました。

・刀 無銘 志津 金象嵌 海賊
 今までのものが備前のものが多く峰も小さめがほとんどで、それが護立氏の好みなのかなと思いましたが、こちらは大峰で他とは印象が違いました。大峰で幅広ですが短めなのでかなり磨りあげられてそうだなと思いました。今回手に入れた図録や冊子の中には、海賊の意味は書いてなかったのですが、どんな経緯で彫られたのでしょうか。

・太刀 銘 豊後国行平作 国宝
 古今伝授の太刀と言われて、こちらもとても見たかったものですが、かなり細身で驚きました。特に茎の細さがすごく印象的です。こちらだけ3階に展示されていて混雑もなくすみずみまでじっくり見ることができたのですが、展示してある場所の照明が暗く、刃文や銘などが若干見づらかったです。真横からも見られたのですが、厚さもかなり薄く、やはり写真からうける印象とはかなり変わるなと思いました。


《感想》
 今回の展示は号のついた3口以外何が展示されているのかわからなかったのですが、とても良い展示内容でした。刀剣以外にも、武具を記録した書物や蒔絵など良いものをたくさん見ることができました。御家名物之大概という本の歌仙兼定がのっているページには、大三原や相州秋廣の刀剣も紹介されていました。永青文庫にあとどれくらい刀剣が保管されているかわかりませんが、国宝の包丁正宗をはじめ他のものもいつか見られたらいいなと思います。
 入口に歌仙兼定が表紙の刀剣春秋6月号が置かれていましたが、出口のあたりには12日から徳川美術館で展示が始まる鳥飼国俊が表紙の7月号も置かれていました。コラムでは骨喰藤四郎についても書かれています。
 今回パネル展示には行きましたが、それ以外の場所は雨も降っていたこともあり隅々までは見なかったので、永青文庫は会期中あと最低でも一回は行きたいのでスタンプラリーが始まったらそれも合わせて楽しみたいなと思います。


《今回の一振》
 今回は永青文庫のアンケートでも書いたのですが、生駒光忠が一番印象に残りました。まさか展示の一番最初に置かれているとは思いませんでした。ずっと見たかったものだけあって見た瞬間とても感動しました。刃文がとにかくよく見えるように展示されていて、沸も板目もよくわかりました。