昨年に引き続き、今年も土方歳三の和泉守兼定を見に行きました。また、八王子にある東京富士美術館が近い距離にあるので、合わせて行ってきました。東京富士美術館は15日までが前期の展示で、18日からは後期の展示内容になります。


《行った場所》
○土方歳三資料館
 昨年12月の1日限定公開のときに初めて見た和泉守兼定ですが、今年はこのGWの時期に行きました。ひどい混雑はありませんでしたが、ひっきりなしに人が訪れるといった感じでした。前回来たときは刀以外の展示をあまり見られなかったのですが、今回は時間をかけてじっくりと見ることができました。ちょうど刀を見ているときに、解説の時間になったため、目の前で解説を聞くことができました。昨年の展示のときも解説は聞けていたのですが、やはり持ち主の方から直接話を聞くことができるのはとてもありがたいです。
主な刀剣
・刀 銘 和泉守兼定 慶應三年二月日 日野市指定有形文化財
・十文字槍 銘 助宗
・槍 無銘


○東京富士美術館
 八王子の東京富士美術館でザ★刀剣展を開催中です。以前、文化財登録されている刀剣を所持している施設を書き出していたときに知った美術館ですが、常設展での展示がなかったためあまり深く調べていませんでした。今回の展示もかなり貴重な展示のようで、初公開のものがたくさんありました。写真撮影も可能でしたがまさかのカメラを持参するのを忘れてしまいました。同行者に撮ってもらいましたが、そのため今回の記事に写真はありません。今回の特別展は、図録ではなくパンフレットのようなものが販売しており、とても安かったので写真を撮れなかったのもあり買ってきました。
 とてもたくさんの刀が展示されていたので、印象に残ったもののみ記録をしています。
主な刀剣
・刀 無銘 伝正宗(名物 武蔵正宗重要美術品、刀剣博物館蔵(東京)
 昨年4月に初めて刀剣博物館に行ったときに見た正宗の刀です。これが初めて見た正宗の刀で、この後金沢で太郎作正宗を見たことで本格的に正宗の刀や相州の刀に興味をもったので思い出深い一振です。他の正宗の刀をたくさん見たあとでは、刃文が他とは少し違う印象をうけました。
・刀 銘 村正 刀剣博物館蔵
 こちらも昨年4月に武蔵正宗と一緒に展示されていた刀です。

・刀 折返銘 正恒
 平安・鎌倉前期の古い刀工のなかでも、正恒の刀は見る機会が比較的多いです。文化財登録されているものもたくさんありました。以前別の施設でも折返銘の正恒の刀がありましたが、そうまでして残したいという現れでそれほど名刀工だったという証拠だと思います。
・刀 無銘 伝助真
 刃文がとても派手です。刃文が見やすく研がれているというのもあると思いますが、鎬地のほうまで広がっていると一瞬かなり異様に見えます。
・短刀 無銘 行光
・脇指 銘 兼洞 刀剣博物館蔵

・太刀 銘 有綱 重要文化財
 細さや反り方、峰の小ささから一目で平安の刀とわかる見た目をしています。安綱の刀は何度か見ましたが、有綱のほうが珍しい気がします。この時代の刀のわりに銘が読みとれるぐらいに茎がとてもきれいな状態というのがすごいと思います。
・太刀 銘 一 重要文化財
 一文字らしいとても華やかな刃文です。これら重要文化財三振は、押型が表裏のものが展示してあり、この一文字の刀は表裏の刃文の違いがとてもわかりやすく、両方を見比べられておもしろかったです。
・太刀 銘 備前國長船近景 建武二年五月日 重要文化財
 光忠や長光と関連した解説が書かれていましたが、それらとは刃文の雰囲気はだいぶ変わるなと思いました。

・刀 銘 長曽根興里入道乕徹 (金象嵌)寛文五年十二月十六日 山野加右衛門六十八歳永久(花押)四ツ胴截断
 展示は表の銘が見られるほうでしたが、鏡で裏の金象嵌銘も見えるようになっていました。虎徹は刃文というよりいつも銘に注目して見てしまいます。
                               他多数
                                     


《感想》
 東京富士美術館は、交通の便はバスの本数が少なく若干悪いのですが、広い施設にほどほどの人出でとても見やすい展示でした。解説がかなり少ないので各刀についてもう少し詳しく知りたいなと思いました。個人で買い取ったものなのでだれが所持していたなどはわからないのかもしれませんが、著名な刀工の刀もあって趣味で集めた所蔵品としてはかなりすごいと思いました。


《今回の一振》
 今回は良いものがたくさんあったのですが、個人的に行光の短刀がとても印象に残っています。行光の刀は今までほとんど見たことがなくかなり楽しみでした。とても相州らしさを感じ、なんとなく三井記念美術館で見た日向正宗に似た印象をうけました。刃文は帽子のところも特徴的で見ていて飽きないかなり好みな刀でした。