刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2017年05月

 宮崎県立美術館で久能山東照宮の所蔵品特別展ということで、ソハヤノツルギを見に行ってきました。こんな機会でもないとなかなか宮崎に行くことはないので、行くきっかけができてよかったです。今回は宮崎市内だけでしたが、宮崎の観光の見どころはかなり遠くにばらけているので、いろいろな場所に行きたいと思ったらかなり大変だなと感じました。

《言った場所》
○青島
 宮崎空港は市内からとても近くて便利でした。空港を挟んで宮崎駅と反対側にある青島は、昔からとても有名な観光地だそうです。鬼の洗濯板と呼ばれる自然にできた奇妙な形の岩が周囲を囲っていますが予想以上に広範囲に広がっていてすごく不思議な光景でした。島の中にある青島神社の元宮へと続く道は神秘的な光景が見られきれいでとてもよかったです。

○こどものくに
 青島の横にある入場無料のテーマパークです。バラがちょうど見頃の時期だったので行ってきました。色とりどりの様々な種類のバラをみることができました。宮崎は街中で見られる植物が都心とは全然違うので面白いです。

○宮崎駅周辺
 市内に戻って街中を散策しました。宮崎駅から繁華街はけっこう離れていますが繁華街はかなりコンパクトにまとまっているので、買い物は楽そうだなと思いました。宮崎駅周辺はすぐに住宅街が広がっていたり、オフィスビルと一緒にマンションがたくさんあったりするのも少し他と違う街並みでおもしろいなと感じました。
 宮崎県庁はゴシック様式でとても県庁とは思えないような雰囲気でした。周辺も独特な雰囲気がただよっています。他の九州をあまり知らないからかもしれませんが、街並みを見ていると宮崎はかなり独自性があるなと感じました。スーパーに寄ったときは、宮崎県産の食品の多さに驚きました。食料自給率が高いということはなんとなく知っていましたが、ここまで実感できるものだとは思っていなかったのでおもしろかったです。


○宮崎県立美術館
 日曜日限定で先着でポストカードがもらえます。電車の時間もあって約1時間前に着きましたがかなり前のほうでした。開館時までにはかなり並んでいて100人以上はいたと思います。地元の方らしき家族連れなどいろいろな年齢層の方がいました。前売り券があるとかなり早く展示室に行けるので良いですが、展示室内は比較的自由に何度も同じ展示を見ることができるので、混雑もあまり気になりませんでした。
主な刀剣
・太刀 無銘 光世作 重要文化財、久能山東照宮蔵(静岡県)
・太刀 銘 國行 重要文化財、久能山東照宮蔵
 肌がきれいで好きな姿な国行の刀だなと思いました。刃文がかなり見づらかったのですが直刃調でも変化にとんでる刃文でした。
・槍 銘 長吉 久能山東照宮蔵
・薙刀 無銘 直江志津 久能山東照宮蔵
・太刀 銘 高實 重要文化財、久能山東照宮蔵
 おそらく初めてみる名前ですが古備前の刀工だそうです。とても細身で古備前らしい腰反りの姿でした。こちらも刃文はみずらいですが、細身なわりには焼幅が広めでどちらかというと派手な印象です。


○宮崎神宮
 伊勢神宮に似た雰囲気でとても神聖な空気を感じました。かなり広い敷地で、建物もたくさんあるので見ごたえがありました。宮崎にはいたるところにヤシの木がありますが、神宮の敷地内でも他の植物にまじっている姿が見られました。
 
○宮崎県立総合博物館
 神宮の敷地内にある自然博物館と歴史博物館が融合した総合施設です。動物の剥製など立体的な展示が多くかなりのボリュームでした。山や海の様子が上からのぞけるようになっていたり、1階にいる動物を2階にいる原始時代の人間が狙っている展示、九州地方で起きた地震を位置と深さが同時にわかるようにした模型など、普段あまり見ない展示方法が多かったので楽しかったです。歴史の展示では、宮崎県が設置されてから一度鹿児島県に併合されたというのは、知らなかったので驚きました。いつでも調べることができる歴史ですが、旅行に行った先の博物館で学ぶと受け取る印象や記憶への残り方も変わるなと実感します。


《感想》
 今回は初めて行く場所だったので、刀剣展示めあてですが観光が中心の旅になりました。美術館でのポストカードの配布が日曜日限定だったのと、美術館近くに神宮や博物館など見るものが固まっていたので、1日目はどこに行くか迷いました。都城や綾、飫肥や霧島などおもしろそうなところはあっても、飛行機で到着してからの1日ではどうしても無理なので今回は市内のみになりました。観光の内容としては物足りないですが、いろいろな驚きがあるおもしろい旅になりました。このようなコラボ展示が今後もあるのかはわかりませんが、美術館の職員方は歓迎ムードで受け入れていたので良かったです。


《今回の一振》
 今回はソハヤノツルギです。前回久能山での展示のときは行かなかったので初めて見ましたが、身幅の広さに驚きました。写っている図録を持っていなかったので写真でも刀身はあまり見慣れていませんでしたが、ここまで印象が変わるとは思いませんでした。山姥切を見たときも思っていたよりずっと身幅が広くて驚きましたがソハヤはそれ以上でした。重ねはあまり厚くないので迫力があるというよりすごいバランスだなと感じました。大典太を見たのはだいぶ前になりますが、無骨な印象でも不思議なバランスの刀だなと思った記憶があるので、おそらく同じなのかなと思います。写真や文字で思い描く姿とまったく違う印象を受けることがあるので、やはり一度は本物を見に行くのがいいなと思いました。


 和歌山県立博物館で始まった紀州東照宮の文化財展に行ってきました。紀州徳川家の宝物は売り払われているものが多く、残ったものは紀州東照宮にあるというのは以前調べていたときに知ったので気になっていました。紀州東照宮には宝物館など展示施設はなかったので県立博物館での展示が主のようです。
 和歌山には行ったことがなかったので今回の展示で行くきっかけになってよかったです。今回は市内のみでしたがとても楽しい旅でした。

《行った場所》
○和歌山城
 和歌山市へは新大阪からの特急で行きました。関西空港からも考えましたが、やはり飛行機は手続きなどで意外と時間がかかるので行けるところは極力新幹線がいいなと思いました。
 和歌山城は思っていたよりとても広く、石垣がかなり迫力がありました。広場になっている場所は遅咲きの桜や藤、牡丹などが咲いていてとてもきれいです。地元の保育園か何かの親子遠足があったのかとてもにぎやかで楽しそうでした。
 天守までは裏手から登ると急な階段になっていて疲れますが趣のある道が続いています。天守は連立式で意外と広く、展示物もたくさんあってよかったです。今まであまり見たことのないタイプのお城な気がします。コンクリート造りでも塗装などがきれいすぎず年季を感じました。敷地内には動物園がありますが、動物もたくさんいて良いなと思いました。和歌山城は全体的に想像以上に広くて見どころがたくさんあって史跡としてだけでなくても楽しめるので、今まで行ったお城の中でもかなり上位に入った気がします。
主な刀剣
展示されていたのは和歌山市所蔵の長刀や十文字槍でした。なぜ和歌山市の所蔵なのかなどの解説はありませんでしたがせっかくなので記録しておきます。
・長刀 銘 国次 山城国藤原菊御紋入 
・長刀 銘 山城国文殊包重
・長刀 銘 水心子正次(花押) 寛政五年八月十四日 
・十文字槍 銘 紀州住尚定
・十文字槍 銘 兼国
・十文字槍 銘 河内守国助
・十文字槍 銘 遠州横須賀住国安作


○和歌山県立博物館
 和歌山城のすぐ近くにある広々とした敷地内にある近代的な博物館です。受付で単眼鏡の貸し出しをしています。常設展は和歌山県の歴史を展示していますが、熊野を中心としていました。統治する武将が現れなかったところからも他の地域とは少し違った歴史の歩み方だったんだなと感じました。今回は行く時間がありませんでしたが、熊野にも行ってみたいなと思いました。
 特別展の解説では子供向けの簡単な説明もあり、受付では単眼鏡だけでなく老眼鏡の貸し出しもあったりと幅広い世代に向けての展示を意識しているがわかりました。2階は書籍コーナーになっていますが仏教についてのものが多くあり、ここにも地域の特色が出ているなと思いました。刀剣の展示は目線をかなり下にして見た状態が一番見やすかったです。紀州東照宮にはまだたくさんの刀があるのでもっと見たくなりました。
主な刀剣
・太刀 銘 安綱 重要文化財
・太刀 銘 伯耆大原真守 重要文化財
 伯耆の刀は反り方と峰が特徴的だなと思います。安綱以外あまり見る機会は多くないですが、展示されているものは文化財登録されているものが多いのでみどころをもっと意識したいです。
・太刀 銘 左近将監景依 重要文化財
 初めて見る名前でしたが古備前の刀工だそうです。小乱れに小丁字、小互の目まじりと派手さはないですがきれいな刃文でした。
・太刀 銘 守家 重要文化財
 守家は縁起の良さからかいろいろな場所で見ますが、紀州徳川家の大事にされてきた守家だと思うと特別なものを感じます。
・太刀 銘 光忠 重要文化財
 光忠の中ではかなり細身な気がします。最近は解説を見る前に姿を見てどの刀工の刀か予測してから見るようにしているのですが、パッとみでは光忠と思いませんでした。単眼鏡でみたときの互の目がきれいです。

○わかやま歴史館
 シアタールームなどがある近代的な展示施設です。和歌山城に行く前に展示を見ると予習になってみどころがわかりますが、行った後に見てもさっき歩いた場所が昔はこんな地形だったというのがわかっておもしろいです。


○紀三井寺
 2日目はいろいろな場所をめぐるのにバスの1日乗車券を使いました。各施設の割引券が付いていたのでかなりお得にまわることができました。
 紀三井寺はあまり下調べをしないで行ったのですが、とても立派な本堂と景色がすごく良い場所でした。ぜひ仏殿の上からの景色を見てほしいです。

○マリーナシティ
 遊園地や海鮮市場などいろいろなものが集まった複合施設ですが、予想以上に雰囲気がよくて楽しめました。テーマパークの混雑もほどほどだと全然ストレスにならないし気軽に行けていいなと思いました。

○観海閣
 満潮ではない時間だったからか周囲は干潟のようになっていました。石橋はあまり近年の手を加えた形跡を感じさせずとても趣きがあります。このあたりの景色もとてもよかったです。天気がよかったのもありますが、とにかく和歌山では景色に魅せられた気がします。

○紀州東照宮
 関西の日光と言われるにふさわしい本殿の彫刻のきれいさでした。有料ですが巫女さんに本殿の解説もしてもらえます。

○和歌浦天満宮
 紀三井寺、紀州東照宮、和歌浦天満宮の三か所はとにかく本堂・本殿までの石段がすごく急で登りずらいです。個人的には和歌浦天満宮が一番石段が不安定に積まれている感じがして短いですがきつかった気がします。和歌山の石段で使われる石は他の場所ではあまり見ない感じの石でした。登るのは大変ですが、高台で海沿いにあるためどこも景色がとてもいいのでぜひ見てほしいなと思います。


《感想》
 今回は刀剣の展示を目当てで和歌山に行きましたが、なかなか行く機会がなく初めての和歌山ということで思いっきり観光をしました。思っていたよりずっと魅力的で良い場所だなというのを感じました。特に和歌山城は天守や石垣の他にその周辺を含めてかなり楽しめました。
 今年は福井から始まりまだ行ったことのない場所への計画がまだまだあるので、観光中心になることも多いと思いますが楽しみたいなと思います。


《今回の一振》
 今回は安綱の太刀です。平安時代の刀の姿はそこまで好みというほどではないのですが、この刀はバランスがとてもよく完璧な太刀の姿という印象を受けました。時代を感じさせない健全な姿なのも魅力的です。大切に扱われてきたのだなというのを感じました。

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