刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2017年01月

 戦国時代展に行ってきました。刀剣乱舞との正式コラボではありませんが、グッズもたくさんあり楽しい特別展示でした。

《行った場所》
○江戸東京博物館
主な刀剣
・刀 無銘(名物 義元左文字重要文化財、建勲神社蔵(京都)
 昨年の京都での展示以来久しぶりでした。初めて見たときはとても迫力のある無骨な刀だなと思いましたが、他の相州伝のものをたくさん見てきたからか、以前よりも刃文がとてもおだやかでおとなしい印象を受けました。展示の仕方なども関係しているのかもしれませんが、こうも受ける印象が変わるとおもしろいなと思います。
・大太刀 伝 倫光作 重要文化財、上杉神社蔵(山形)
・太刀 銘 一 重要文化財、厳島神社蔵(広島)
 どちらも行ったことはありますが、そのときは展示をしていなくて初めて見るものでした。倫光の大太刀は日光の二荒山で見たものがとてもすごかったので、こちらの印象としては大太刀としてはきれいな状態で保存されていていいなと感じるものでした。

・刀 無銘(名物 籠手切正宗)東京国立博物館蔵(東京)
 以前東京国立博物館で見たときにとても気に入った刀だったので、今回も見られてとてもうれしいです。厚みと長さがあるので、以前と同じようにとても迫力を感じました。他の正宗の作と比べると磨り上げられたことも考えると長すぎて少し違和感を感じるなと思いました。
・長巻 無銘 伝則包 重要文化財、上杉神社蔵
・短刀 銘 吉光(号 五虎退)個人蔵
・太刀 銘 安綱(号 鬼切重要文化財、北野天満宮蔵(京都) 
 こちらは昨年の京都以来の3回目になります。個人的に平安や鎌倉初期の刀はすごく好みなものはないのですが、安綱の刀の姿は好みな気がします。前回の京都での展示でもそうでしたが、刃文がもう少し見やすくなっているといいなと思いました。


《感想》
 江戸東京博物館は、初めて刀を見に行った思い入れのある場所だったので、また展示があってうれしいです。2回とも開館すぐに刀剣の鑑賞列に並んだのであまり待たずにじっくりとみることができました。 初めて行ってから約2年経っていますが、その間に本当にたくさんの刀剣を見てきたなと感慨深いです。展示の仕方としてはすごく良いわけではないのですが、また機会があったら刀のたくさん出てくる特別展を開催してほしいなと思います。


《今回の一振》 
 今回は、見る機会の少なさで五虎退です。山形の展示とは博物館内の周りの雰囲気が全然違うので、刀に向かう姿勢も違った気がします。姿は思っていたより長さがあり、吉光の短刀の中ではそこまで小ぶりではないのかなと思いました。切っ先がすらっとしているところが吉光らしいのかなと思います。文化財登録はされていませんが、個人蔵なのでこれからどれぐらい見られる機会が増えるか未知数で楽しみです。ぜひまた楽しいコラボ展示などで見られることを期待しています。 

 熱田神宮での次郎太刀の展示と、三島のスタンプラリーを合わせて行ってきました。移動はありましたが、比較的のんびりと旅行を楽しむことができました。

《行った場所》
○熱田神宮
 この日は名古屋ではめずらしい雪がちらついてめずらしい景色を見られました。熱田神宮には早咲きの梅などが咲いていたので雪とのコントラストがよかったです。まだ初詣の名残で人は多くいましたが、天気の影響もあり宝物館もそこまでの混雑はありませんでした。熱田神宮の所蔵刀剣だけでなく、厳島神社の宝物も見られてとてもよかったです。
主な刀剣
・ 太刀 朱銘 千代鶴国安
 めったに見られない次郎太刀の展示ということで、今回の名古屋旅行の目的です。大太刀としては健全な状態できれいだなと思いました。反りが意外と小さいです。神社に奉納されてる大太刀はいくつか見てきましたが、かなり反りが強いものが多かったと思います。刃紋は派手で、樋の朱色と相まってとても華やかでした。
・太刀 銘 友成作 国宝
 先日厳島神社で展示されたときに見たいと思っていましたが見られず、熱田神宮で見ることができるとは思いませんでした。健全さと肌のきれいさがすごいです。細身のバランスもとても良かったです。今まで友成の刀が好みだとは感じなかったので、この刀のきれいさが他の友成の刀よりとても魅力的だということがわかりました。
・太刀 銘 国友 重要文化財
 粟田口らしい肌のきれいさがとてもよかったです。相州物が好みなのでのたれの刃文が多いですが直刃の刃文も好きです。
・太刀 銘 宗吉 重要文化財
・太刀 銘 宗吉 重要文化財
 同じ宗吉の作品ですが直刃と丁子の二種類の作風の作品を、両方を並べて展示するのは違いがわかりやすくてよかったです。
・太刀 銘 真行  重要文化財
・太刀 銘 尾州長船兼光 重要文化財
・太刀 銘 元弘三年六月一日実阿作 重要文化財
・刀 銘 濃州関住兼房作 河村京三郎 愛知県指定文化財
・太刀 銘 文永二年三月清綱 重要文化財
          他多数


○ 楽寿園
 三島に移動して朝から向かいました。動物園もあるのがおもしろいです。楽寿館の見学時間にうまく合わせることができたので館内を見ることができました。障子絵や天井絵などを詳しく解説されながら見ることができ、とてもよかったです。


○三嶋大社
 楽寿園から三嶋大社までの道が、小さな川が流れていたり文学の碑があったりと、楽しみながら行くことができるきれいな道でした。まだ初詣のなごりもあって、人は多かったです。けれど宝物館は人も少なくじっくり見ることができました。
主な刀剣
・大太刀 銘 豆州三嶋住白竜子正長 天保十年巳亥三月三日 願主八谷善五郎
・刀 銘 大和大掾藤原正則 肥後守藤原正勝
・刀 銘 紀伊国當一康廣作
・脇指 銘 肥前国佐嘉住人伊勢大掾藤原吉廣作
・刀 銘 奉納三嶋大明神 天保二年九年吉祥日 荘司筑前大掾藤直胤 川部正次 玉井直邦
・刀 出羽国住人大慶荘司直胤
・刀 無銘 伝村正
・刀 無銘 伝美濃兼友
・太刀 銘 宗忠 重要文化財
・太刀 銘 平安城藤原則定作之他 三嶋大明神御神宝 寛永十四年二月吉日

○佐野美術館
 前回ほどではないですが、今回も人はたくさんいてにぎやかでした。本当に数が多くて贅沢な展示だと思います。次はいつ見ることになるのかわからないので、つい気に入った刀のところを何度も往復してしまいました。
 今回は一部のみ紹介です。寄託は個人蔵としています。
主な刀剣
・太刀 銘 包平 重要美術品
 直刃調の刃文がとてもいいです。
・太刀 銘 行秀 重要美術品、個人蔵
 古備前の刀はどれも細長い印象でしたが、こちらは少し幅が広めで古備前の中でも新しめなのかなと思いました。
・短刀 無銘 吉光 重要美術品、個人蔵
 地鉄の青さがよくわかってとてもきれいでした。粟田口らしい肌のきれいさを実感できます。
・太刀 銘 来国俊
 来派の中では、3字の国俊が一番好きです。
・刀 折返銘 了戒 静岡県指定文化財、個人蔵
 重ねが厚く、なめらかさよりも固さをとても感じる見た目でした。
・短刀 銘 国光 重要文化財
・短刀 無銘 正宗(名物 小松正宗
 沸がとてもついていて、力強さを感じる刃文と姿だと思いました。
・刀 朱銘 義弘 本阿(花押)(名物 松井江
 照明の当たりかたで青い地鉄がわかりやすくてとてもよかったです。
・太刀 銘 一 国宝、個人蔵
 かなり豪壮な姿で派手だなと思いました。
・太刀 銘 吉用 重要美術品、個人蔵
 上の一文字と比べると細身で、こちらのほうが一文字によくある姿な印象です。
・太刀 銘 光忠 重要美術品
 光忠にしては細身でらしくない姿だなと思いました。
・刀 無銘 延寿 重要美術品
 肌がとてもきれいで好きです。全体的なバランスもよくて美しさを感じます。
・脇指 銘 相模国住人広光延文二二年七月日 重要美術品
 焼幅が広めで広光っぽいなと思いました。
・脇指 銘 信国 静岡県指定文化財、個人蔵
 信国は脇指ばかり見かける気がします。彫り物が多いイメージですが、こちらは透かし彫りがされていて、とてもきれいです。
           他多数


《感想》
 スタンプラリーは3か所ですが、一日使ってのんびり楽しむことができました。歩いて行けるほどよい距離だったのもよかったです。コラボのグッズもとてもよかったので、これからもこのようなコラボ企画がたくさんあるといいなと思いました。 
 熱田神宮もこんなに早く次郎太刀がみられるとは思っていませんでした。今後も貴重な刀剣の展示の機会があったら逃さず行きたいなと思います。


《今回の一振》
 今回は新籐五国光の短刀です。肌のきれいさがとてもすごいです。地鉄の青さがよくわかり、直刃も一本細くすっとはいっていてとてもきれいでした。今回の佐野美術館の展示では直刃の刀のきれいさをとても実感しました。また青くすんだ地鉄の魅力もよくわかりました。展示方法でここまで変わるのかという感じです。

 刀剣博物館が移転前最後の展示として、収蔵品展を行っています。今回は収蔵品のみのため写真撮影もOKということで、平日を狙って行ってきました。さすがに今まで見たことがあるものばかりでしたが、写真も撮れるということで今まで見てきたものが記録に残せるというのはとてもうれしいです。最後の展示ということで、とにかく豪華な展示内容でした。3月31日まで行っているのでぜひもう1回ぐらいは行きたいです。

《行った場所》
○刀剣博物館
 ほとんど毎回の展示に行っているため、本当に一度見たことあるものばかりでした。なんとなく見たことあるなと思うものだったり、後から調べて見たことあったのかと驚くようなものなどいろいろありました。
主な刀剣
・太刀 銘 友成作 重要美術品
・太刀 銘 兼永 重要文化財
・短刀 明 相模守藤原政常 重要美術品
・太刀 銘 宗吉 重要美術品
・太刀 銘 真景 重要美術品
・太刀 銘 信房作 重要文化財
・太刀 銘 真則 重要美術品
・刀 無銘 伝長重 重要美術品
・薙刀直し脇指 銘 真利 重要美術品
・刀 無銘 伝正宗(名物 武蔵正宗)重要美術品
・太刀 銘 備前国住人雲次 正和二二年十月日 重要文化財
・太刀 銘 豊後国僧定秀作 重要美術品
・太刀 銘 国安 重要美術品
・太刀 銘 来国俊 元享元年十二月日 重要美術品
・太刀 銘 元真 重要美術品
・太刀 銘 正恒 重要文化財
・太刀 無銘 福岡一文字 重要文化財
・太刀 銘 延吉 国宝
・太刀 銘 国行 国宝
・太刀 銘 国行 国宝
・短刀 銘 清綱 重要文化財
・短刀 銘 兼氏 重要文化財
・刀 銘 村正
・脇指 銘 備前介宗次作之 弘化三年八月日
 


《感想》
 刀剣博物館に初めて行ったのはおととしの9月で、約一年半の間におそらく6回行っていました。毎回とても豪華な展示内容だったので、しばらくの間展示が見られないのは少し残念です。移転先の両国は行きやすさとしてはあまり変わらないので、今後もたくさん見に行けたらいいなと思います。


《今回の一振》
  今回の展示で初めて見た、伝長重作の刀です。今回の展示で初めて見るものは、この刀を入れて3振りでした。長重は長義の弟または兄とされていて相伝備前の作風がやはり好みです。解説にある金筋や砂流しもよく見えました。
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 熱海へ旅行することになったので、合わせて以前知って気になっていた湯河原の木村美術館へ行ってきました。今回はあまり時間がなかったので湯河原の他の施設はみることはできなかったのですが、他にも美術館がたくさんありました。

《行った場所》
○木村美術館
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 個人で運営している美術館で、相州刀美術館という名前でもあります。湯河原の土は鉄が含まれていて、海岸の砂浜も砂鉄を含んで黒くなっています。地名も鍛冶屋という地名で、昔は鍛冶職人がいたのではないかという話です。木村美術館のご主人は、昔からこの場所に住んでいて家に刀があったそうです。今回は奥さんとお話をすることができました。家にある刀をせっかくだから展示してみようということで、30年ほど前に美術館をつくったそうです。ただ、ご夫婦も高齢になり来る人も多くはないので美術館は基本的には閉館しています。町の観光案内マップにも、来館の際には事前に連絡をしてくださいとありました。ホームページやマップに載っている連絡先はご自宅の電話番号ですが、美術館に行くと見える場所に携帯電話の連絡先が書かれていて、そちらに連絡をしたほうが良いとのことです。
 展示室は外階段から入るのですが、ドアが銀行の大きな金庫のような扉で驚きました。展示については、湿度も管理されて手入れもされて良い状態でした。ただ、照明が少なかったり置き方の問題で見ずらいものもあります。展示替えをどの程度しているのかわかりませんが、展示されているもの以外にもたくさんあるそうです。手入れは毎年本阿弥家の方が来ているらしく、11月に磨いたばかりなので今の状態は良いと言っていました。解説はどなたが書かれたのかわかりませんが、今回お話をした奥さんはあまり刀には詳しくないそうです。ご主人が認知症になり代わりをしているようですが、足が悪く三階建ての美術館を経営するのは大変そうでした。とても優しい方でいろいろな話をしてくれました。ご夫婦共に高齢で職員としてご近所の方が来ているようですが、あまり美術館を長く続ける予定がないようで残念です。今まで博物館などで寄贈されて展示していたものは、同じような経緯があって預けられたのかなと思いました。


主な刀剣
・短刀 銘 源正家
 三島に住んでいた江戸時代の刀工だそうです。刃文が富士山と月に見立ててあり、まるで絵画のようになっています。
・脇指 銘 元近作
 小田原相州物とよばれる作者の作品で相州らしい姿の刀です。
・脇指 銘 相州住綱広
 三代綱広の作で、倶利伽羅龍の立派な彫刻があります。
・脇指 銘 相州伊勢大掾源綱広
 同じ綱広でもおそらく五代目の作品です。細身で刃文はおだやかで、上の刀と上下に置かれて展示してありましたがまったく違う印象でした。
・短刀 銘 綱家 重要刀剣
 綱家は北条家のお抱え刀工だったそうです。とても健全な姿で展示位置も良いのでとても輝いてみえました。
・脇指 銘 相州住秋広 貞治三年十二月日(号 日本一秋広神奈川県指定文化財
 黒田家伝来の刀で、拵えには黒田家の藤巴紋が散りばめられています。残念ながら刀身が手前に若干傾いて展示されていて、全体がかなり見ずらくなっていました。平造りで派手な彫り物などはなくシンプルな造りです。

・短刀 無銘 貞宗
 比較的刃文が華やかでどちらかというと正宗作のような印象です。手元にある図録の中では、佐野美術館の小松正宗が一番近い姿かなと思いました。鎺の丸に四つ目菱紋がきれいで、目釘穴が3つあり全体的に特徴的な姿をしています。
・脇指 銘 相州住綱広
 こちらは初代綱広の作で刃文はとても派手です。彫物は草の倶利伽羅がシンプルですがとてもきれいでした。
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・短刀 無銘 国光
 新籐五国光の作で、地鉄のきれいさがとてもわかります。刃文は細直刃でとても国光らしい刀だと思いました。伝来については何も書いてありませんが、鎺には葵の紋が彫られています。
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・刀 無銘 正宗(号 日月正宗
・刀 金象嵌銘 正宗(号 ひぐらし正宗
 ひぐらしの由来は、日ぐらし眺め続けても眺め飽きることがないという意味だそうです。こちらも展示位置が若干悪く照明があまり当たっていなかったのが残念です。しかし解説がかなり詳しく書いてあったので見どころがわかりやすくてよかったです。
・刀 無銘 伝国吉
 粟田口国吉の作とされる刀です。同じ刀の鳴狐とは違い鎬造りなので印象が全然違いますが、とてもきれいな細直刃です。
・短刀 銘 村匡
 刃紋が少しとがったフリルのようでとても華やかでした。
・脇指 銘 相州住綱広
 地鉄きれいで刃紋と彫刻の梵字のバランスが良くなかなか好みなだと思いました。
・脇指 銘 肥前國正廣
・脇指 銘 近江守忠吉
・刀 無銘 伝沼間藤源次助真

・刀 無銘 志津三郎兼氏 重要刀剣
 とてもきれいな直刃で、地鉄もきれいで相州伝に近いのがわかりました。とても健全な姿で鎺にはこちらも四つ目菱紋がみられます。
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《感想》
 照明や展示位置で少し見ずらいところがありますが、展示内容は良いものばかりだと思います。特に相州の刀が好きだととても楽しかったです。今回は展示をしていませんが、文化財登録された行光の短刀も所持しているようです。
あまり積極的に美術館の運営をする予定はないようですが、若い人が来るのはめずらしいということで歓迎していただいたので、ぜひ興味のある方は事前に連絡をして見に行ってほしいなと思います。美術館まわりの雰囲気もよかったのであの空気を味わうだけでも、非日常感があっていいと思いました。


《今回の一振》
 今回は日月正宗といわれる正宗の刀です。大磨上ですが全体的にバランスの良い刀だと思いました。中務正宗に似ている気がします。徳川家伝来ということで、黒漆の拵えも一緒に展示されていました。家康は実用的でシンプルな拵えを好んだという話がありますが、この拵えもまさにそういった装いでした。
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