刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2016年11月

 ふくやま美術館の「阿部家ゆかりの日本刀」展に行ってきました。直前になって京都にも行きたいということになったので、今回も広島と京都を移動するという少し強引な行程でした。京都では、大覚寺、京都国立博物館、二条城と今回もたくさんの刀剣に出会う旅になりました。

《行った場所》
○二条城
 とても混雑するので朝一番に行ってきました。思っていたよりは平気でしたが、団体客が多いので全体的に見て回るだけでも進みが遅くなっていました。今まで行ったお城だと団体客はあまり多くないので、やはり京都といった雰囲気でした。昔は京都の観光地だと二条城が好きだったのですが、他のいろいろなお城や御殿を見すぎたせいか、昔より感動が薄くなったのを感じました。ただ、意外と近年修復をあまりしていないのか古くなっている箇所が多いなというのがわかりました。
 刀は京都の不動産会社の社長さんのコレクションだそうで良いものばかりでした。展示場所も二の丸御殿の中ですが思っていたより広々としたスペースで、人の流れを見て空いてるときを狙えばばじっくり観察することもできました。ただ光は弱くて刃文や細かい造りはあまり見えません。銘が読み取れるぐらいですが展示の仕方にあまり期待はしていなかったので思っていたよりは見られるかなという具合です。二条城での刀剣の展示が今まであったのかどうかはわかりませんが、普段刀をあまりみない人の目にもとまるというのは良いのかなと思いました。
主な刀剣
・刀 銘 孫六兼元 金象嵌銘 笹の露 個人蔵
・太刀 金象嵌銘 正宗 本阿弥(花押) 個人蔵
・太刀 銘 来国俊
・刀 銘 長曾根興里入道虎徹 寛文十二年と九月十一日二ツ胴切落 山の勘助十郎久英(花押)
・刀 銘 村正

○大覚寺
 今年一年間度々展示されていた膝丸ですが、しばらく展示されないとのことなので見納めに行ってきました。大覚寺は初めて行きましたが、とても広くで驚きました。紅葉の時期ということで人が多くにぎわっていました。大沢池のところでは紅葉をみながらお茶と和菓子をいただけました。とてもいいい景色が見られてよかったです。
主な刀剣
・太刀 銘 □忠(号 薄緑膝丸))重要文化財

○京都国立博物館
 坂本龍馬展の最後の土日ということもありとても混雑していました。展示品を全部じっくり見ているととても時間がかかるというのはあらかじめ聞いていたので、流すように見ていきました。刀剣の展示場所も最前で見る場合は並びますが、比較的じっくり見られました。
主な刀剣
・短刀 銘 濃州住兼涌 高知県立歴史民俗資料館蔵(高知県)
 武市半平太が佩刀していた刀です。重ねがかなり厚めだなと思いました。
・刀 銘 吉行
 2回目ですが、以前見た時よりも反りのないまっすぐさが強く感じました。
・刀 銘 山城國西陳住埋忠明寿作
 彫物がとてもきれいで明寿らしさを感じました。
・脇差 銘 備前国住長船二郎左衛門尉勝光左京進宗光 永正二年八月吉日 個人蔵
・刀 銘 筑前住源信国重貞 個人蔵
・脇差 銘 備州長船住忠光 個人蔵
・刀 銘 國廣
・刀 銘 兼元 霊明神社蔵(京都)


○ふくやま美術館
 福山に移動して、美術館へは朝の開館時間めがけて行きました。10分前で30人ほど並んでいました。入ってからクリアファイルや図録を並ぶための列に並び、その後入館券を買って見ました。最初は全員順番に並んで見ていくので進みはかなり遅いですが、次の部屋からは自由な順番で見られるのであまり並ばずに時間がかからず見ることができました。展示内容はとにかく豪華で、地域と年代ごとになってるのも違いがわかりやすかったです。図録の写真がかなり大きめで見やすいのも良かったです。
 展示された刀剣の数も多ければどれも指定文化財ばかりという豪華さなので、一度見たことあるもの以外を記録しました。所蔵が書かれていないものはすべてふくやま美術館寄託の小松コレクションです。
主な刀剣
・太刀 銘 久国 国宝、文化庁蔵
・短刀 銘 吉光(名物 岩切長束藤四郎重要文化財、東京国立博物館蔵(東京)
・太刀 銘 定利 国宝、東京国立博物館蔵
・短刀 銘 光包 重要文化財
・太刀 銘 包永 東京国立博物館蔵
・太刀 銘 大和則長作 東京国立博物館蔵
 他の包永の刀と同じように茎の尻ぎりぎりのところに銘がありました。銘が完全になくなるまで磨り上げられるものも多いのに展示で見る包永はぎりぎり残しているものばかりなのはおもしろいなと思いました。
・太刀 銘 正恒 国宝
・太刀 銘 備前国長船住左近将監長光造 正応二年十月日 重要文化財、林原美術館蔵(岡山)
・太刀 銘 備州長船住景光 延慶二年七月日 重要美術品、東京国立博物館蔵
・太刀 銘 備州長船兼光 延文三年二月日 重要文化財
・刀 無銘 伝長義
 全体的にとても好みな姿をしていました。新しく小松コレクションに加えられた刀で、阿部家に渡った経緯も近年わかったようで図録に細かく書かれていました。
・太刀 銘 備前国住長船盛景 重要文化財
・脇指 朱銘貞宗 本阿(花押)(名物 朱判貞宗重要文化財
・刀 無銘 志津(名物 分部志津重要文化財、個人蔵
・短刀 銘 兼友 重要美術品 刀剣博物館蔵(東京)
・刀 銘 和泉守藤原兼定 石破渋谷木工頭明秀 (金象嵌)二胴切落 伊勢山田是作 永正十二二年二 佐野美術館蔵(静岡)
・刀 銘 兼元

○福山城
 新幹線から見えていつも気になっていたのですが、やっと行くことができました。想像以上に近くてびっくりしました。全体的に岡山城に似ているなと思いました。中は展示物があまり多くないのもありとても広々としています。


《感想》
 今回は行く先々で刀剣の展示があってとても濃い旅行になりました。また、それぞれの施設でコラボグッズやポストカードなどいろいろな関連商品を買うことができました。あとから旅行の記録を書いていても、目録や図録があるだけで、そのときの記録の残り方が全然違います。最近は見るのが2回目以上のものが増えてきました。博物館などで気づかずこの記録を書くのに一覧表と照らし合わせているときに気が付くことが多いです。もっと一つ一つを大事に見ていきたいなと思いました。


《今回の一振》
 今回は初めて見た朱判貞宗です。朱判貞宗は幅広で大きな短刀という印象が物吉のような貞宗らしさの刀だなと思いました。どちらかというと短刀に見られる小さめな貞宗の刀のほうが好みですが、刃文はこれぐらいおだやかなものがいいなと感じました。

 三島の佐野美術館で始まった「名刀は語る-磨きの文化-」に行ってきました。合わせて行く場所を考えていたところ、行きたいと思っていた箱根神社が近かったので行ってきました。2日間限定の小夜左文字と愛染国俊を見るのに、土曜日でも行けそうだったのですがとても混雑しているということだったので日曜日に見てきました。


《行った場所》
○箱根神社
 箱根までは、新宿からの高速バスを利用しました。直接行ってくれるので便利なのですが、行楽シーズンということもあり高速道路の渋滞が長く、予定時間よりも一時間ほど時間がかかってしまいました。普段新幹線や電車を使っているのであまり考えていませんでしたが、バスは時間が読めないのが難点なので考慮する必要があります。
 山のホテルというバス停で降り、箱根神社までは歩いて行きます。宝物館は新しく、常設展では各地の博物館のような映像資料もありました。企画展では曽我物語について詳しく展示があり、物語の流れを読んでから展示物を見るとさらに楽しめました。
主な刀剣
・太刀 無銘 伝長船長円(号 微塵丸
 木曽義仲が箱根権現に奉納したもので、曽我物語の中では兄の十郎祐成が佩刀した刀です。かなり長くて80cmはありそうでした。(調べたところ100cmちかくあるそうですがそこまでの長さがあるとは思いませんでした)
 刀は寝かせて置いてあるため、刃文は見えませんが重ねは厚く樋も大きくはいっていてあまり平安ごろの古い刀には見えませんでした。反りはあるけれど、どちらかというと南北朝の作というほうがあってるような気がします。鎺近くには大きな刃こぼれがありました。

・太刀 無銘 伝三条宗近(号 薄緑丸
 源義経が奉納した刀で、曽我物語では弟の五郎時政が佩刀していました。仇討ちを果たした後は源頼朝から返納されたそうです。細身ですがかなり反りが小さく、こちらもあまり平安らしさは感じませんでした。微塵丸と並べて置いてあるので比べてみると同じような時代に造られた刀だとしても全然姿が違うのがわかります。ただどちらの刀も小峰なのですっとした尖った印象を受けました。刀を見るという目的では物足りない展示方法なのですが、壮大な逸話をもつ刀という展示としては十分楽しむことができました。


○佐野美術館
 箱根芦ノ湖から三島まではバスで行きました。途中三島大橋や山中城跡を通っていき、景色を見るだけでもなかなかおもしろいです。小田原や熱海行のバスは混んでいましたが、三島行はとても空いていました。
 三島で一泊して、佐野美術館は9時の開館ちょうどをめがけて行きました。だいたい館内に入るのに1時間半、小夜と愛染が展示されているブレストシーブのスペースまでで30分、その他の展示も列に並びながら見て1時間半といった感じでした。ブレストシーブのところは1分間だけだったので、見たことのない愛染国俊をじっくり見ようと思って他はあまり見られませんでした。それ以外の展示は、列の進みが遅かったのもありかなりじっくりと見ることができました。
 スタンプラリーが始まってからも行く予定ですが、前期と後期でほぼすべて展示替えになるためどれも真剣に見る必要があり大変でした。見た刀についてですが、多すぎてとても書ききれないほどなので文化財指定を受けているものだけ書き出します。それでもかなりの数があり、本当にすごい展示だというのがわかります。寄託のものは目録には名前も書いてありますが個人蔵としています。
 
主な刀剣
・短刀 銘 国俊(名物 愛染国俊重要文化財、㈱ブレストシーブ蔵
 初めてみるので、茎の愛染明王を探したのですがうまく見えませんでした。全体的にすらっとしていて、下にあった小夜が小さいため比べるととても長いように見えました。彫り物が刀身のわりに大きくて全体的に好みな姿です。
・短刀 銘 左(名物 小夜左文字重要文化財、㈱ブレストシーブ蔵
 今回は見られる時間が短かったので、去年中鉢美術館でじっくりと見られてよかったです。今回は愛染と並べての展示だったので、小ささが強調されていました。表面がなめらかでつるっとした印象です。

・太刀 銘 利恒 重要美術品
 展示は古い時代から順に置かれています。これは平安のものですが、備前らしい姿だなと思いました。鎌倉時代のよく見られる備前刀に近い気がします。銘が大きく古いものにしては読みやすく残っているのがよかったです。
・太刀 銘 行秀 重要文化財 個人蔵
 行秀も古備前の刀工ですが、こちらはあまり備前っぽくないなと思いました。備前の刀は作者によって受ける印象がかなり変わるのでおもしろいです。古備前の刀は見る機会が多くないので特に毎回新鮮に見えます。
・太刀 銘 国行 重要美術品 
 切っ先が太く力強い印象を受けました。来派の刀は特に地鉄が好みです。
・刀 無銘 当麻 重要美術品
・刀 無銘 正宗 重要文化財
 反りが強く、他の正宗から感じる大磨上の形跡をあまり感じない姿でした。峰も大峰ではなく少し控えめな印象です。刃文がポコポコっとふくらんでいるようすがいいなと思いました。照明の当たり方で沸がとてもよく見えました。
・太刀 銘 長光 重要美術品
 長光らしい姿で肌がとてもきれいです。刃文がよく見ると派手でそこもらしさを感じました。
・薙刀 銘 備前国長船住人長光造 国宝
 厚みがありとても重そうだと思いました。薙刀は展示があまりなかったり、展示位置が少し高めに置かれたりしていることが多く、刀と同じように見るのは意外と少ない気がします。
・太刀 銘 長元 重要文化財
 初めて見る刀工です。姿は平安ぽさを感じる細身で、刃文がちょこちょこっとはいっているのが上品だなと思いました。
・太刀 銘 真長 重要文化財、個人蔵
 鎬が低くてぱっと見平造りかと思うような姿で、磨り上げられてそうなアンバランスさを感じました。刃文はフリルのように華やかで、刀身にある梵字や剣の彫り物が好みです。鎺には本田家の家紋が入っていました。
・太刀 銘 国宗 重要美術品、個人蔵
 刃文がメラメラと燃えているようで、山鳥毛一文字のような印象を受けました。
・太刀 銘 雲生 重要美術品
 とても肌がきれいで、刃文も上品な直刃でよかったです。
・太刀 銘 俊次 重要美術品
・太刀 銘 為次 重要美術品
・太刀 銘 清綱 重要美術品
・脇指 銘 相模国住人広光 康安二年十月日(号 火車切重要美術品
 刃文の焼き幅が広くとても派手な印象です。あまり厚みがなく地鉄も正宗や貞宗とはちょっと違うなというのがわかりました。
・刀 金象嵌銘 備前国兼光 本阿弥(花押)(名物 大兼光) 重要文化財
 長くて幅も広いため、とても迫力がありました。刀は80cmを超えるとすごく大きいなという印象を受けます。刃文ものたれがとても派手な印象ですが、正宗などののたれの感じとはやっぱり違うなという感じです。
・刀 金象嵌銘 基光 重要美術品
 片落ち互の目がとてもわかりやすく、全体的にその刃文なのでトゲトゲしさを感じました。けれど肌がきれいで好みな姿です。
・刀 銘 津田越前守助広 延宝二年二月日 静岡県指定文化財、個人蔵

・短刀 無銘 貞宗(号 太鼓鐘貞宗重要文化財、個人蔵
・太刀 銘 景則 静岡県指定文化財、個人蔵
・大笹穂槍 銘 藤原正真作(号 蜻蛉切静岡県指定文化財、個人蔵
                  他多数


《感想》
 限定公開の2日目に行ったのでそこまで混乱もなく見ることができましたが、やはり館内はとても混んでいました。けれど全体的にじっくり見ることができて、講演も聞くことができたので大満足な展示でした。澤口さんの講演を聞くのは3度目でしたが、自分の刀を手に入れた後なので今までとは違い話す内容に同感することが多かったです。持ち主がいなくなり手入れがされないもったいない刀がなくなるために、若い人に刀の所持者になってほしいという考えがあることを、話を聞いていて感じました。まだ今は刀を実際に購入した人は少ないと思いますが、今興味を持っている人は本当にたくさんいると思うので、私が買ったようにこれから10年もしたら刀を持つ人がかなり増えているのではないかなと思います。


《今回の一振》
 今回はずっと見たかった太鼓鐘貞宗です。個人蔵で今までの展示の経歴からいったら佐野美術館で展示する可能性は高いだろうなと思っていましたが、こんなに早くみられるとは思っていませんでした。姿は貞宗らしさは薄く思っていた以上に小さかったです。肌はきれいで刃文ののたれが好みな感じでした。貞宗も正宗も銘がないため今まで真偽不明なものはたくさん見ましたがどれも魅力がある刀だと思います。実物ではなく図録でしか見ていない刀は所持者の来歴などを中心に見てしまいますが、実物を見るとその刀の造りを中心に図録を見られるようになる気がします。以前開催された「名物刀剣-宝物の日本刀-」の展示会の図録に太鼓鐘貞宗がのっていますが、実物を見る前と後で写真から感じられる印象がかなり変わった気がします。

 茨城県の古河市にある古河歴史博物館に行ってきました。11月27日まで「赤羽刀」と日本刀名品展を開催中です。古河駅は初めて訪れましたが、博物館の周辺はきれいに整備されていて、昔は城がそこにあったことを連想させる趣のある街並みがつくられていました。都内からも訪れやすく展示もすばらしいものばかりだったので、ぜひ期間中に見てもらいたいです。

《行った場所》
○古河歴史博物館
古河歴史博物館は、平成11年に赤羽刀を譲渡されてから何度か刀剣展を開催しているそうです。そのため、刀の展示専用ではない施設でも、見やすくなるように工夫がされていました。また、解説がとても多く見どころなどがわかりやすくてよかったです。個人蔵のものが多く、なかなか見る機会がないと思うので今回の展示を見に行ってよかったです。
主な刀剣
・刀 無銘 伝来国行 重要美術品、個人蔵
 大磨上げでも傷ひとつないような健全な姿でとてもきれいです。地鉄がよくつんでいるという解説のとおり美しさを感じました。
・太刀 銘 国俊 重要刀剣、個人蔵
 細い直刃がすっとはいっていて繊細な印象の刃文でした。長い刀だなと思ったら75cmありましたが、迫力がある長さというよりも長くてもバランスの良さを感じました。
・短刀 銘 来国光 観応二年六月 重要刀剣、個人蔵
 すこし長めな短刀で、こちらは刃文が広い直刃でした。以前刀剣博物館で来派の刀を並べて見たときも思いましたが、来国光からは相州っぽさを感じます。

・短刀 銘 村正 重要刀剣、個人蔵
 大互の目と大のたれでとても迫力のある刃文でした。身幅も広いところも迫力を感じます。
・短刀 銘 環 赤岩住 個人蔵
 環というのは源清磨のことでめずらしい銘だそうです。短刀の形はしていますが9.6cmととても小さく、刀とは思えないような小ささです。

・刀 無銘 長義 重要刀剣、個人蔵
・刀 金象嵌銘 義光 本阿(花押) 重要刀剣、個人蔵
 隣の長義と比べるとだいぶ細身に感じます。刃文の互の目が規則的にはいっていて備前らしくていいなと思いました。
・刀 金象嵌銘 長守 本阿(花押)重要刀剣、個人蔵
・脇指 銘 常州東条高田住英定作 天正十年八月日 古河市指定文化財、三和資料館蔵
 平造りの脇指ですが、42cmもありかなり変わった姿をしています。

・刀 銘 備前介藤原宗次 嘉永六年八月日
 こちらが古河歴史博物館が所蔵する赤羽刀です。大きな互の目乱れが派手で、全体的には固い印象をうけました。
・刀 銘 水心子正秀 天明五年二月日 彫同作 特別保存刀剣、個人蔵
 大きく倶利伽羅龍が彫られています。刃文の大互の目が彫り物のある場所は小さく、切っ先のほうは大きく焼かれていてよく計算されてつくられているなと感じました。
・刀 銘 葵崩紋 個人蔵
 烈公こと水戸藩主徳川斉昭が作刀したものです。意外とみる機会が多く、これで四振り目ぐらいな気がします。解説に烈公の特徴の八雲肌とありましたが、確かに雲のような肌がよく見えました。

・刀 銘 以南蛮鉄 於武州江戸 越前康継 重要刀剣、個人蔵
・薙刀 銘 大和国藤原包宗 個人蔵
・短刀 國廣 重要刀剣、個人蔵
 表に梵字、裏に大黒天が彫られていて、展示は表でしたが写真で裏の大黒天も見せてくれる親切な気配りがされていました。
・刀 銘 日州古屋住国広作 天正十四年八月朔日 豊田安宗刀 重要刀剣、個人蔵
 彫り物の真の倶利伽羅龍がとてもかっこよかったです。
・脇指 銘 長曾祢興里入道乕徹 重要刀剣、個人蔵
 すごく肌がきれいで目をひかれました。
・刀 銘 陸奥大掾三善長道 延宝五丁巳八月日(号 池田長道重要刀剣、個人蔵
 解説によると、池田屋事件の功績により松平容保から近藤勇に贈られた刀とのこと。作者の三善長道は会津虎徹と言われるほどの刀工だそうです。他にも調べていたら以前は靖国神社の遊就館にあったという話も見ました。逸話が多くておもしろい刀だと思います。


《感想》
 思っていたよりもずっと満足する展示内容でした。展示位置が低めなのはしょうがないとしても十分見やすく展示されているし、解説の多さは今まで見た施設の中でも上位だと思います。刀工、造り、来歴等についてたくさん書かれていてとても全部は記録できませんでした。あまり人が多くないのでゆっくりじっくりと見られたのもよかったです。
 最初古河の名前を聞いたときに何県かわからなかったのですが、本当に埼玉と栃木に接して3県にまたがるような位置にあり、常設展での地域の歴史も見ていておもしろいなと思いました。古河駅は茨城県なのに川の対岸にある新古河駅は埼玉県というのもおもしろいです。ぜひまた刀剣の特別展を開催したら訪れたいです。


《今回の一振》
 今回は備前長義作の刀です。どっしりとした大峰の刀で、とても南北朝期らしさを感じました。解説に、長義は備前ばなれしている刀工と書かれていましたが、今まで見た長義の刀の中でもより相州に近い作品だと思いました。

 文化の日に東京都内の気になっていた神社を中心に刀めぐりをしました。銀座の刀剣販売店に用があったので、気づけば府中から銀座まで東京を横断するような行程になりました。初めて訪れる場所ばかりだったので、知らなかった東京の景色が見られてよかったです。


《行った場所》
○大國魂神社
 府中の駅前にある大きな神社です。将軍家も重要視した神社で、神領地五百石は上野東照宮、日枝神社に次いで三番目だったそうです。街並みもどことなくその名残を感じました。奉納刀は号がついた江戸時代の大太刀が3振に、大正・昭和・平成それぞれの時代に奉納されたものと幅広く展示されていました。号がついた由来などは書かれていませんでしたが、解説が多くてよかったです。

主な刀剣
・大太刀 銘 慶長八葵丑年卯月十日鍛冶山本七郎右衛門慰照重作  奉納武州惣社六所大明神御剣  願主當國之住大野八衛門景吉(号 御蛇丸府中市指定文化財
・大太刀 銘 於武州江戸大和守藤原金蔵作之 寛文二王寅年九月吉日(号 烏丸府中市指定文化財
 高力高長が奉納した刀で、厳島神社にあったものと同じように高力氏の丸に鳩紋が鎺に彫られていました。

・大太刀 銘 日本鍛冶宗匠三品伊賀守金道門人明林子長高作  安政六末年二月日  御霊宮武劦多摩郡一ノ宮村 願主杦本万平 小林長三郎 杦田熊造 セハ内中(号 息吹丸
・脇差 銘 武州児玉八幡山住 六代明村子長高 高野政光作
 息吹丸が奉納されて、150年後の平成十三年に、息吹丸をうった長高から6代目の子孫である13代目長高が奉納したとのこと。長い年月を経て伝統を守ることができる刀工がいるのはすごいことだなと思います。

・短刀 大阪住人月山貞藤謹作(花押) 大正十五年三月吉日
 御下賜品で、鎺には御賜と彫られていました。拵も特別なもので一緒に展示されていましたが、とてもきれいでよかったです。
・短刀 銘 御奉献大國魂神社大野利雄 武蔵国府中靖興作 昭和四十九年二月日


○金王八幡宮
 渋谷の駅前からすぐの場所にあります。名前の由来は源頼朝に尽くした金王丸という人物。その金王丸が持っていた刀が、毒蛇長太刀というもので現在でも金王八幡宮に伝わっているそうです。広くはないけれど周辺もとても雰囲気があり、観光で訪れている方も見かけました。


○日枝神社
 徳川家に縁の深い代表的な神社で、刀もたくさん奉納されています。宝物館は入場無料ですが展示内容はとてもすばらしいです。
主な刀剣
・太刀 銘 師景 重要文化財
 丁字の刃文がメラメラと燃えているような姿でした。

・太刀 銘 重久 重要文化財
 初めて見ましたが一文字派の刀工だそうです。太めな姿で刃文もよく見えませんでしたが、反りが小さく不思議な姿をしているなと思いました。

・太刀 銘 守家 重要文化財
 丁子刃文のうち、中心あたりは蛙子丁子も見られました。

・太刀 銘 備州長船住長光 重要文化財
 明治天皇が奉納されたものだそうで姿が細身で美しさを感じました。

・太刀 銘 一
 吉岡一文字派の刀工で、一文字らしい刃文がよく見えました。焼き幅が広くて丁子が鎬まできています。

・刀 銘 武蔵大掾藤原是一
 身幅が広くて反りがなくほぼまっすぐなのでどっしりとした姿をしていますが、刃文は丁子がとても華やかで派手さがあります。



《感想》
 普段各地に遠征はしても、意外と身近なところを調べて見に行くことをしていなかったので、今回東京の神社を見てまわれてよかったです。七五三の時期なのでどこも普段よりも賑わっているようでしたが、刀などが展示してある宝物館などは人が少なくとても静かなのでじっくりと見ることができました。刀以外の展示では、やはり徳川家に関するものが多くありましたが、昭和の戦争資料も多くみられました。東京にある寺社の多くも戦火で焼かれたものが多かったんだなというのを改めて感じました。まだまだ都内には大きな由緒ある寺社がたくさんあるので、ぜひ行きたいと思います。


《今回の一振》
今回は大國魂神社にあった御蛇丸です。
大國魂神社にある号のついた3振の大太刀は、名前の由来などはわかりませんが、特にこの刀は逸話がいろいろ残されています。この刀を奉納した大野八衛門は、現在の群馬県桐生市の街づくりを行った人だそうです。しかし不正の罪で処刑されることに。どうも冤罪だった可能性があるそうですが、その処刑の一年前に奉納したのがこの刀。刀身には6つの銘文が彫られていて、その内容は(処刑されることに対して)もう恨み気持ちはなくなったという内容だそうです。刀の姿も特徴的ですが、その逸話を聞きとても印象的な刀でした。


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