刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2016年08月

 他の記事と日付が前後してしまいましたが、5月で年間パスポートが切れたためパスポートを更新して行ってきました。

《行った場所》
○東京国立博物館
 行くのが久しぶりだったのと、この日は夜22時まで開いていたので刀剣の場所だけでなくそれ以外のものもじっくり見てきました。2時間半ほどいましたが、それでも最後の方は疲れてしまい結局全部は見られませんでした。観光などで一度しか訪れない人が全部を見ようとすると平均滞在時間はどれぐらいなんでしょうか。
 現在は終了してしまいましたが、細田守監督のときをかける少女に関する展示が行われていて、そちらもおもしろかったです。作品は何度か見たことがありますが、劇中で東京国立博物館がモデルの場面があるとは知りませんでした。当時はほとんど行ったことがなかったので気づきませんでしたが、今見たらわかって面白いだろうなと思います。

主な刀剣
・太刀 銘 大和則長作 重要文化財
・太刀 銘 定吉
・短刀 銘 来国俊 正和五年十一月日 国宝、熱田神宮蔵(愛知)
・太刀 銘 備前国長船住景光 元亨二年五月日(号 小龍景光国宝
・太刀 銘 国宗 備前国住長船正和(以下切)
・短刀 無銘 伝正宗 重要美術品
・刀 無銘 貞宗(名物 切刃貞宗重要文化財
・刀 銘 備前国住長船次郎左衛門尉勝光 子次郎兵衛尉治光一期一腰作之 佐々木伊代守 重要文化財、乃木神社蔵(東京)
・刀 銘 兼元
・太刀 銘 乕徹入道興里 此太刀一代三振之内置者也 寛文四年八月吉(以下切)  切付銘 明和六年五分本揚而追有徹銘 仍所持 三寸六分継平上之 個人蔵


・太刀 無銘 (菊紋)
・太刀 銘 貞真 重要文化財
・短刀 銘 行光 国宝
・薙刀 銘 長光 重要文化財


《感想》
 東博に通うのも2年目になったので今回はいくつか見たことある刀がありました。また、久しぶりに行くと他の施設と比べて、東博は展示位置が高いなと思いました。私は女性の平均身長ですが、写真を撮るとき正面からよりも少し上から撮ったほうが、きれいに写りました。外国人の観光客も多く来るので、客層に合わせて少し高めになっているのかなと思ったんですがどうなんでしょうか。


《今回の一振》
 熱田神宮所蔵の国宝の来国俊の短刀です。一目見てすごく美しい姿だなと思いました。肌も刃文もとてもキメ細かい感じで、ずっと眺めていたいと思いました。そのあと国宝だと知ったり解説を読んだりして、すごい刀なんだと評価されていて直観が当たっていることがうれしかったです。
 たびたび展示されているのかどうかはわかりませんが、熱田神宮では写真が撮れないので、東博で展示していただいたのはとてもよかったなと思いました。
DSCF3586

DSCF3588
DSCF3589
DSCF3591

 川越は関東では鎌倉と日光についで3番目に文化財が多い街だそうです。特に刀の企画展示をしているわけではないのですが、まだ川越の博物館は行ったことがなかったのでどんなものが置いてあるのかと思い行ってきました。

≪行った場所≫
○川越歴史博物館
 重要文化財を多数所持している喜多院のすぐそばにあります。細長い建物で、一見お土産やのような外観です。個人で経営しているようで館長さんおひとりですが、他のお客さんがいないと展示について説明を受けることができました。
 刀や火縄銃、兜などを実際に持たせてもらえます。火縄銃がとても重かったので、そのあとに持った刀が軽く感じました。刀は拵え付きで反りが少ない短めのものだったのですが、刀が好きだと言ったら白鞘のものをもう一振出していただきました。そちらは70cmを超えて幅も広めでかなりずっしりときました。時代の変化による姿の変化、二代目と銘についてなど、おもしろい話をたくさん聞くことができました。
 ほかにも、川越藩は警備の仕事を担うことが多かったため、さすまたや時代劇でよく見る十手がたくさん展示されていました。十手は現在多くは残っていないそうで、確かにほかの施設だとあまり見ないなと思いました。
 展示ケースに入っているものも、見ていたら出して説明していただけました。特に魚の自在置物を持たせてもらったのですが、あまりにもリアルに動くので怖いと思ったぐらいです。なめらかな動きをするのがどういう仕組みかわからないのですが、館長さんも現代では作れない技術だと言っていたので本当に貴重なものなんだなと思いました。
 2・3階は照明が弱く見にくいものもあるのですが、甲冑が多く展示してありました。とくに馬の鎧と面はなかなか見ないものだったので興味深かったです。

 主な刀剣
 見せていただいた刀は誰の作か聞けなかったのですが、室町のものと江戸前期ごろのものだそうです。
・薙刀 銘 英義
 川越藩お抱えの刀工です。今回出ていませんでしたが、葵紋ちらしの拵えがあるそうです。今回拵えの展示が多かったのですが、他にも葵紋の入っているものがたくさんありました。
 


○川越市立博物館
 現在特別展として川越にある指定文化財の展示を行っています。建造物などはパネルで紹介されています。博物館自体の展示スペースはあまり広くないので展示物は多くありませんが、城下町のジオラマや蔵造の街並みの再現など、大きな展示物が多く少し変わった展示内容でした。川越も一度大火で街が燃えてしまった歴史があり、どの博物館に行ってもそうですが、大火事と戦火から復興して近代の街並みが作られたことがわかります。

・十文字槍 銘 大慶荘司直胤作之  応川越藩安井政章需於武陽東叡山辺文化九年仲春 川越市指定文化財



○川越城本丸御殿
 江戸時代に作られた本丸御殿が一部保存されています。装飾は全体的には少な目でシンプルですが、襖の引手が凝ったものでした。また、襖絵も描かれていてきれいです。一番大きな広間には、御手杵の鞘のレプリカ杵黒熊毛槍鞘が置かれていました。春に行われる春祭りで使われるそうですね。


≪感想≫
 今回はいつもと少し違った観光になりました。見たものは少ないですが、貴重なお話を聞くことができて勉強になったと思います。いつも刀を見に遠出をしていますが、行ったことのない身近な施設もたくさんあるので、今回のような博物館めぐりも良いかなと思いました。意外と東京などの身近な神社やお寺は全然行ったことがなかったので、そういった場所を見るのもしたいなと思いました。


≪今回の一振≫
 歴史博物館に、戦時中鉄を提供するためなくなった刀の茎と切っ先が展示されていました。このように一部分だけ残すのもきっとすごく残念だっただろうなというのが感じられます。館長さんとのお話の中で文化財保護の話が出ましたが、良いものほど海外に持っていかれて日本にはほとんど残っていないことを言っていました。展示では戦火で焼けてボロボロになった刀も展示されていました。こういった文化財から見た日本の歴史も、刀に興味を持たなかったらまったく考えることがなかったんだなと考えると、現在の状況にも向き合いたいなと思いました。
DSCF3745
DSCF3746
DSCF3743



 名古屋に2日間滞在するということで、足をのばして刀剣の展示がある伊勢神宮と岐阜市歴史博物館も訪れたいということになったのですが、時間が足りなさそうだったので3日間の旅行になりました。思いがけずたくさんの刀剣に出会うことになったのでよかったです。

《行った場所》
○伊勢神宮・神宮徴古館
 伊勢神宮は初めて訪れました。名古屋からの始発電車で行ったので、そこまで混雑もなく楽しむことができました。式年遷宮があったばかりだったのでまだとてもきれいな状態で、簡素な造りもあいまって他の神社とはまったく異なる雰囲気です。あまり下調べをしないで行ったので、建物の屋根の茅葺がとても厚みがありすごいなと思いました。神明造と言われる高床式の造りもとても興味深いものでした。20年で新しくするというのは、少しもったいないと思っていたのですが貴重な技術を継承しなければいけないということを考えると、それぐらいの頻度は必要だなと思いました。休憩所で見られる式年遷宮のビデオで詳しく解説をしていたのでとても勉強になりました。
 神宮徴古館は、外宮か内宮から歩いて行ける距離なのかなと思っていたら、ちょうど真ん中あたりに位置していてバスで行きました。バスは多くないですが、1時間に3本はくるのでまだ良いかなと思います。バス停から建物が見えないので少し迷いましたが、坂を登ったらすぐ目の前にあります。中はとてもきれいで、思っていたよりも展示物がたくさんありました。式年遷宮についてのこともたくさん展示していますが、休憩所で映像を見て勉強したおかげで頭にすっと入りました。
 刀剣の展示は、位置は少し低めですが展示の仕方がとてもよくて刃文もよく見えました。解説も詳しくて、造りについてイラスト付きで説明されています。他の施設でも同じような解説がほしいぐらいにわかりやすくてよかったです。

主な刀剣
・太刀 銘 吉信 重要文化財
 四代将軍家綱が奉納したもので、一文字派の作品らしくとても豪華な感じでした。長さが83cmあることもあり、とても存在感があります。奉納する刀なだけあって良いものだなと思いました。
・太刀 銘 次家 重要文化財
 五代将軍綱吉が奉納したものです。古青江の特徴で太刀だけれど裏に銘を刻んでいて、刀の置き方で展示しているというのを見てなるほどと思いました。以前どこかでも同じように展示して解説がされている場所があったような気がするのですが、忘れてしまいました。
・太刀 銘 俊忠 重要文化財
 こちらも古青江派の刀工の刀です。あまり聞いたことのない刀工だと思ったら、唯一の現存在銘刀だそうです。奉納されていたために唯一残ったということを想像すると歴史研究としても貴重な存在だなと思いました。
・太刀 (菊花紋)和泉守来金道
 沸出来という解説のとおり、沸がとてもよくわかります。刃文は互の目ですが皆焼も見られました。砂流しの部分もイラストでわかりやすく示されているので勉強になりました。
・太刀 (菊花紋)丹羽守金道
 さきほどのは三代目の作だそうですが、こちらは五代目の金道の作品です。独特の刃文である簾刃についての説明もあってなるほどと思いました。
・太刀 (菊花紋)伊勢守藤原清方
 匂い出来というのがよく分かりました。展示の仕方が良いこともあり、どの刀剣も沸や匂いが本当に見やすくて良いです。
・太刀 (菊花紋)伊豆守源鬼道
 こちらも沸出来です。初めて聞いた名前の刀工ですが、金道と同じ三品派の刀工だそうです。奉納される刀剣は有名な刀工の作品が納められていることもありますが、そうでないもののほうが多い気がします。美術的価値よりも信仰心の問題だからでしょうか。展示されるようなものは有名な刀工のもので、表に出ないだけでそれ以外のものもたくさん所持しているということもある気がします。



○岐阜城
 岐阜市には初めて行きました、街中に山がポンと置いてあるような地形でおもしろいなと思いました。山のぎりぎりまで家が建っていますが山肌にはあまりないのでそのコントラストが天気の良い山の上から見るとよくわかって良かったです。岐阜城は、休日だったこともあるのか親子連れもたくさんいました。ロープウェイを乗ったあとも道は舗装されていて歩きやいですが、意外と段差の高低差があって登りずらいので注意が必要でした。とにかく景色が良いのでおすすめです。
 展示物も刀剣や甲冑などの武器・武具を中心に意外と数多く展示されていました。写真撮影は可能ですが、展示位置がかなり低いのと照明が明るくガラスの反射もするので撮影は難しかったです。
主な刀剣
・脇差 銘 陸奥守藤原 兼信
・脇差 銘 尾州犬山住大蔦道幸作之 慶応三年卯二月吉日
 脇差ですが包丁正宗の写しのようです。刃文がかなりおだやかなので一番ちかいのは徳川美術館の包丁正宗でしょうか。
・脇差 阿州海部住氏吉作
・太刀 銘 國友
 こちらだけ他のものとは明らかに年季が違う姿でした。国友というと粟田口派の刀工で、今まで熱田神宮で重要文化財のものを見たことがありますがどうなんでしょう。
・脇差 銘 兼延
・脇差 銘 備州長船祐定作
                          他多数


○岐阜市歴史博物館
 特別展で徳川美術館のものを多数展示しています。2階の常設展には楽市を再現したスペースがあり親子向けの体験スペースがありました。図録などの書籍も常設展に置かれています。
主な刀剣
・刀 銘 本作長義 以下59字略 重要文化財、徳川美術館蔵(愛知)
・太刀 銘 則宗作 徳川美術館蔵
 まだ見たこのなかった刀です。一文字らしい刃文で、すらっとした姿でした。
・短刀 無銘 正宗(名物 包丁正宗国宝、徳川美術館蔵
 剣が透かし彫りにされているため、ほりぬき正宗とも呼ばれるそうです。沸がよく見える刃文で、かなりどっしりとした存在感があります。
・太刀 銘 光忠 重要文化財、徳川美術館蔵
 初めてみる光忠の刀です。久しぶりにみると、光忠の刀はけっこうどっしりした姿なんだなと思いました。
・短刀 銘 宗近(名物 海老名宗近)徳川美術館蔵
 去年見て、すごく変わった造りの短刀だなと思いましたが、今回はとても大きく見えました。
・短刀 無銘 正宗(名物 若江十河正宗)徳川美術館蔵
 刃文の焼幅が広くて、再刃でも正宗らしさを感じました。

・刀 銘 兼貞
 常設展にも2振展示されていました。造りの解説もあり、こちらは沸がよくついた小乱れの刃文だそうです。
・脇差 銘 駿河守盛道 
 こちらは二代目の盛道の作で、兼房乱れと三本杉がわかりました。


・大垣城
 岐阜駅から近かったのでこちらも寄ることにしました。公園の一角にたたずむようにありますが、周りの石垣などはなかなか趣がありました。中の展示は体験型のものが多く、槍や火縄銃を持つことができます。また、映像の展示が多く、関ヶ原を西軍視点で書かれているものが多いのがおもしろいなと思いました。展示されている刀剣は、おそらく大垣藩主で235年この地を治めた戸田氏の子孫の方から寄贈されたようです。
主な刀剣
・十文字槍 銘 大隈守藤原家信作
・十文字槍 銘 河内守国助作
・片鎌槍 銘 文珠包久作
・槍 銘 関兼定作
・槍 銘 美濃住清里作
・刀 銘 武蔵大掾是一作


・大垣市郷土館
 大垣城の近くにあり、かなりきれいで広々とした施設です。お庭もとても趣があります。大垣城と合わせて150円の入館料はとても安いと思いました。大垣藩の戸田氏について詳しく説明されています。常設展に刀剣が展示されていますが、年間予定を見ると9月17日~11月6日まで刀剣の特集展示を行うそうです。
主な刀剣
・大身槍 銘 助光
・脇差 銘 助宗
・刀 銘 備中国住家次
                   他多数 


《感想》
 3日間とても天気がよく暑い日が続いたのですが、伊勢神宮や岐阜城などですばらしい景色を楽しむことができました。一番暑い時間は博物館の中に避難することでができるので、博物館巡りが中心の観光は良いなと思います。しかし、やっぱり歩き回っていると夜になると疲労がたまるので、刀剣旅行は真夏と真冬は控えめになるなと思いました。
 最近は大きい博物館などを目指して刀を見に行くことが多かったのですが、今回のように予想外の場所で刀が展示されているととてもうれしくなります。このブログも、そういった刀剣を展示している施設や展示している内容をお知らせしたいという意味で作ったものなので、今後もそんな場所をたくさん紹介できたらなと思います。


《今回の一振》
 今回は、岐阜城に展示されていた被災刀です。

DSCF3726

一番上が長光の刀だそうです。写真でわかりずらいですが銘が読み取れます。

DSCF3728


DSCF3729

発掘されたりしてボロボロの原型を留めていない状態の刀はときどき展示されているのをみますが、戦火によってこれだけ傷ついた刀を展示しているのはあまり見ない気がします。特に切っ先のほうはひどい状態でした。
きっと健全な状態だと良い刀だったんだろうなという印象をとてもうけたので、紹介したいと思いました。

 徳川美術館での刀剣展示が、8月9日までと10日からで展示内容が変わるので、両日を合わせて行くことにしました。それに合わせて伊勢神宮や岐阜にも足を延ばしましたが、長くなるので、愛知編と三重・岐阜編に分けます。

《行った場所》
○熱田神宮
 熱田神宮の宝物館は比較的混雑するため、朝の早い時間のほうがじっくり見られます。前回名古屋を訪れたときは特別展開催中で刀剣の展示はありませんでしたが、今回は図録を持って久しぶりに展示を見に行きました。熱田神宮の刀剣図録はとても細かく造りについて書かれているので勉強になります。
主な刀剣
・短刀 銘 備前国住長船祐定 大永二年八月吉日
・短刀 銘 備州長船光長
・短刀 銘 備州長船倫光 永和二年八月日
・短刀 銘 備州長船忠景 貞治亖年三月日
 備前ものの短刀は意外と見ないのですが、今回はたくさん展示してありました。直刃調のものもあって、備前らしさというのがわかりにくく難しいなと思いました。
・短刀 銘 備□国住介成
 初めて見る刀工の作品ですが、草の倶利伽羅龍が彫られていました。厳島神社でも見ましたが、こちらのほうが細かく彫られていてかなりデザインが違います。

・太刀 銘 備前長船守家
・脇指 銘 備州長船盛光 応永廿一年十月日
・脇指 銘 備前国住長船祐定 享徳三円二月吉日
 菖蒲造りになっています。祐定銘の短刀は直刃だったのですが、こちらは変化のある刃文でした。
・脇指 折返銘 備前国住長船助包
・刀 銘 助光
・刀 銘 則光
 大きな互の目乱れでとても華やかな刃文でした。

・太刀 銘 備前長船兼光 重要文化財
 片落ち互の目の刃文で図録の解説には景光風の作品とありました。この刀と以下の2つは展示位置がガラスから近くてとても見やすいです。
・太刀 銘 宗吉作 重要文化財
 こちらも図録に載っています丁字がとてもきれいな姿でした。
・太刀 銘 長光
 長光にしてはあまり派手ではない丁字模様がとてもきれいで良かったです。



○徳川美術館
 徳川美術館では、7月12日~9月11日まで戦国名刀物語として多くの刀剣を展示しています。8月9日までが前期、10日からが後期となっています。特別展も合わせて今までみたことがなかったもの含め、かなりの数を見ることができました。今回は今までよりもかなり刃文が見やすかったように思いました。以前見たことあったものも、新鮮な気持ちで見ることができました。初めて見たものを中心に書いていきます。

主な刀剣
・太刀 銘 国俊(名物 鳥養国俊重要美術品
 以前見たときは刃文がよくわからなかったのですが、腰元の丁字がわかりやすく変化にとんだ刃文でした。
・小太刀 銘 源左衛門尉信国 応永廿一年二月日(名物 松浦信国
 上り龍と下り龍の彫物が他の普通の倶利伽羅龍とは違うデザインでとてもよかったです。
・刀 銘 村正
 刀身が銀色っぽく光っていてきれいなのもあり新刀のようでした。刃文の皆焼きがかなり大きく広がっていて、刃文というより刀身の模様みたいだなと思いました。
・刀 銘 二王清則
 徳川美術館の新しい刀剣図録はかなりの数を網羅しているのですが、こちらは図録に載っていません。二王派は今まで清綱を一振しか見たことがありませんでした。直刃がきれいです。
・短刀 銘 吉光(名物 包丁藤四郎重要美術品
 吉光の短刀の中ではかなり幅広な姿です。刃文もまっすぐな直刃ではなく少しのたれがある感じでした。
・短刀 無銘 則重
・太刀 銘 光忠 守家造
・刀 無銘 一文字(名物 南泉一文字重要文化財
・刀 金象嵌銘 正宗磨上 本阿弥(花押)(名物 池田正宗重要文化財
 正宗らしい幅が広くてどっしりした姿がよかったです。かなり磨りあげられていそうだなと思いました。
・脇指 無銘
 無銘ですが沸がよくついてて貞宗っぽいなと感じました。
・短刀 無銘 正宗(名物 一庵正宗重要文化財
 こちらもかなり好みな姿です。特に腰元あたりの刃文が好きです。
・短刀 銘 相州住正宗 嘉暦三年八月日(名物 大坂長銘正宗
 再刃されたためか、刃文はあまり正宗らしさを感じませんでした。しかし正宗ではめったにない銘が、作刀時期も一緒に刻まれて存在しているというのはロマンを感じます。
・脇指 無銘 貞宗(名物 物吉貞宗重要文化財
・太刀 銘 長光(名物 津田遠江長光国宝


こちらからは10日に見たものです。
・太刀 銘 左(名物 大左文字
 肌は少し荒くなっていて、飛焼がみられます。江雪左文字と若干似た印象を受けました。
・刀 銘 左文字 吉見頼研上之 永禄九年八月吉日(名物 吉見左文字
 こちらは、かなり皆焼のように鎬まで刃文が広がっています。かなり派手ですがとてもきれいで良いなと思いました。解説にもありましたが、こちらのほうが正宗の作風に近い感じがします。
・刀 無銘 貞宗
 貞宗にしては刃文の焼幅がかなり細くて貞宗らしさは薄いですが、大峰で力強い印象をうけます。帽子のあたりが貞宗らしいなと思いました。

・薙刀直し刀 無銘 伝粟田口吉光(名物 骨喰藤四郎重要文化財、豊国神社蔵(京都)
・脇指 銘 吉光(名物 鯰尾藤四郎
 今回おそらく初めて並んで展示をすることになりました。どちらも3回は見ていますが、合わせて見ると同じ刀工の作品だと思わないぐらい似ていないなと思いました。骨喰は伝吉光作という標記になっていました。前回見たとき刃文をよく見ていなかったのですが、直刃で吉光らしさを感じました。また、ちょうど9日と10日で鯰尾と同じような菖蒲造りの刀をいくつか見たあとだったので、鵜の首造りの骨喰とはかなり違うとわかりました。

・短刀 無銘 志津(名物 戸川志津
・太刀 銘 備前国長船住守家(名物 兵庫守家重要文化財
・太刀 無銘 一文字 重要美術品
・小太刀 銘 吉用 重要美術品
・刀 無銘 郷義弘(名物 五月雨郷重要文化財
・短刀 無銘 貞宗(名物 奈良屋貞宗
・短刀 銘 正宗(名物 不動正宗重要文化財
 正宗銘の中でも信ぴょう性の高い作品だそうです。正宗にしては細身だなと感じたり、短刀で細かい彫物がはいるのはめずらしいなどと思いましたが、他の正宗が無銘なことを考えるとこちらが本当の姿なのかなとも思いました。刃文はとても好みな感じです。
・脇指 銘 本明備州長船兼光 天正□年八月吉日日向守上之 犬山城白帝文庫蔵(愛知)
 兼光の作品で本明とついているのは初めて見たのですがどういう意味なのでしょうか。地鉄がとてもきれいでよかったです。白帝文庫の刀剣は城とまちミュージアムでも見ましたが2振しか展示していなかったので、この他にどのぐらい所持しているのか知りたいと思いました。


《感想》
 今回徳川美術館ではまだ見たことのなかった貞宗や正宗の刀をたくさんみることができたのがとてもよかったです。また、左文字もどちらも初めてみるものだったのですが好みな刀でした。今回の展示の目玉であった骨喰や鯰尾もそうですが、同じ刀工の作品でも同じ短刀だったりすればなんとなくわかりますが、短刀と太刀だったり薙刀だったりするとわからないものも多いので、無銘の作品を極める人たちはすごいなと思いました。今回骨喰が伝吉光の表記でしたが、どの刀工の作品か真偽不明でもロマンが感じられるのでいいなと思います。
 

《今回の一振》
 今回は奈良屋貞宗です。すごく貞宗らしい姿でとても好みな短刀でした。大きめのものが多い貞宗の短刀の中でもかなり大きいほうではないでしょうか。29.4cmで若干反りもあるのでほぼ脇指のような姿です。刃文の焼幅が広いですがおだやかな印象で、地鉄も好みな感じでした。とても良いと思うのですが文化財登録はされていないということで、難しいなと思いました。

 ねぶた祭りを見に初めて青森を訪れました。ちょうど県立郷土館で特別展「刀剣魂」を行っている期間だったので、合わせて行くことができました。

《行った場所》
 ○アウガ
 地下に生鮮市場があります。平日の早い時間だったこともあり、たくさんの魚介類が並んでいました。隣にあるりんご箱というお店は、その名のとおり客席がりんごを入れる木の箱を再利用したものになっていました。時間により津軽三味線の演奏があります。三味線は青森駅周辺で何度か聞く機会がありました。

○アスパム
 観光のお土産もの屋が集まっています。最上階には展望台もあって天気がよかったこともあり、山が遠くまで見渡すことができました。側の広場にはねぶたが夜に使用されるまで保管されているラッセランドもあり、明るいうちにねぶたを間近で見ることができます。大きな氷がノコギリで切り取って、それぞれのチームに配られていました。てっきり火消しや打ち水用の水かと思っていたら、祭りの最中にみんな飲んでいて驚きました。

○ねぶた祭り
 名前しか知らない状態で行ったので、それぞれのねぶたが日本や中国の逸話を元にしたものだというのがとても面白かったです。事前に登場するねぶたを調べてから見て良かったと思いました。明るいうちにねぶたが周るルートを一通り歩いてみましたが、予想以上の長さでした。どこも歩道がかなり広々としていて、いたるところでお店が椅子を置いて観客席を用意していました。席は予約していなかったので、夕飯を食べるのも兼ねて居酒屋のお店の前の席で見ました。3列目だったのでかなり間近で見られてよかったです。
 他の地域の大きなお祭りにあまり行ったことがないのでわかりませんが、屋台があまりなく地元のお店が出している出店がほとんどだったり、うちわを大量に配っていてみんな持っていたり、お祭りグッズを歩いて売ってる売り子がたくさんいたりと、普通のお祭りでは見ない景色がたくさんあって面白いと思いました。


○青森県立郷土館
 各地にある県立博物館と同じような類の博物館です。しかし、常設展示は青森県の歴史をただなぞるだけでなく、白神山地をはじめとする自然や民間信仰、近代の青森ゆかりの人物についての展示など、かなり盛りだくさんな内容でした。展示に関するクイズラリーがあったのですが、大人向けのものはかなり考えたり、よく読まないとわからないものがあったりで、満点をとるのが難しかったです。でも展示内容を隅々まで見るきっかけになるのでとても良い企画だなと思いました。
 刀剣展開催中、常設展に刀剣にまつわるクイズがちりばめられていましたが、こちらはかなり簡単な問題になっていました。参加賞として、展示されていた刀 銘 精壮斎宗有のポストカードがもらえます。ゆっくりクイズにも参加しながら博物館全体を見ていたら2時間半も滞在していました。それでも全部見られなかった資料展示などもあるので、かなり楽しめる施設になっていると思います。

 刀剣についてもとても数多く展示されていましたので、見た刀剣の記録は一部になります。展示全体としては解説はちょうど良いボリュームで、造りについての詳しい解説もあります。刀か太刀とは書かずに日本刀と書かれているものが多かったので、ここでは作刀された時代と長さからとりあえず書き換えてあります。もし間違いがあったらご了承ください。また、青森県では県の指定文化財を重宝としているようです。初めて見た言葉だったのでどういったものか一瞬わかりませんでした.

主な刀剣
・太刀 無銘 伝備中青江貞次 県重宝
 一番最初に置いてありこちらだけ写真撮影も可能でした。SNSで拡散してくださいとのことでしたので、後程写真付きで紹介します。

・短刀 銘 波岡森宗 県重宝、個人蔵
・短刀 銘 奥州津軽住国廣 首割土段払 県重宝、弘前市立博物館蔵(青森)
・刀 銘 津軽住安宗 県重宝、個人蔵
・刀 銘 奥観寿藤原吉廣 天保五年八月日 県重宝、個人蔵
・刀 銘 吉次郎紀正賀鋳外濱砂鐵作之 県重宝、個人蔵
・剣 銘 以外濱沙鐵紀正賀謹鍛造 県重宝、個人蔵
・刀 銘 奥州弘前橘繁宗 個人蔵
 これらは主に青森ゆかりの刀工の作品で、個人蔵であまり見る機会がなさそうなものがたくさんありました。多くは江戸時代のものですが、森宗は室町ごろの刀工で舞草派流れを汲んでいるそうです。どの刀剣も津軽の刀工研究のための貴重な作品とのことでした。

・太刀 銘 安清(号 鬼神丸)厳鬼山神社蔵(青森)
 鬼が口から火を吹き歯で噛んで鍛えた十腰のうちの一振で、茎には鬼が握ったあとのへこみがあるという逸話の刀です。この逸話については、十腰内という地名の由来として詳しく読むことができますが、鬼が少しかわいそうだなと思ってしまいました。錆で刃文の様子はよく見えませんでしたが、姿はきれいな形をしていて確かに茎に他の刀でもときどき見かけるようなへこみがありました。

・太刀 銘 備州長船幸光 県重宝、櫛引八幡宮蔵(青森)
・大太刀 銘 相州住綱広 県重宝、岩木山神社蔵(青森)
 1mを超える大太刀としては、かなりきれいな状態のものでした。三代目綱広は1604年から06年まで津軽でたくさんの刀を打ったそうです。どことなく相州らしさがありました。
・大太刀 銘 平安城住藤原國路作 弘前市指定有形文化財、弘前八幡宮蔵(青森)
 こちらもかなりの長さがあり、反りは5cmを超えてアーチ状になっています。
・大太刀 銘 奥州津軽城下弘前住森宗 弘前市指定有形文化財、弘前八幡宮蔵
 この大太刀は長さはそこまででもないのですが、幅がかなりあって不思議な造りでした。大太刀は数が少ない分それぞれの特徴がよく出ていておもしろいなと思います。
・大薙刀 銘 平安城住藤原國路作 弘前市指定有形文化財、弘前八幡宮蔵

・太刀 銘 備州長船勝光 個人蔵
 かなり好みな姿でした。小のたれ互の目で足がついています。沸がよくわかりました。
・太刀 銘 正恒 黒石市指定文化財、黒石神社蔵(青森)
 今回の展示の中では細身なのがこの刀ぐらいだったので目立っていました。
・刀 無銘 伝来国光 重要文化財、個人蔵
・長巻直し 銘 □前国長船住近景 重要刀剣 個人蔵
 鎺には卍の紋が彫られています。長巻を刀に直したものは良いものが多いと聞いたことがありますが、とてもきれいな姿でした。

・刀 無銘 伝助宗 八戸市博物館蔵(青森)
・脇差 無銘 伝貞宗 八戸市博物館蔵
・刀 銘 武州下原住廣重 八戸市博物館蔵
・刀 銘 精壮斎宗有 文久元年八月作之 同年十一月十一日於千住太々土壇拂初代山田源蔵
 クイズラリーでもらえるポストカードの刀です。千住というと少し身近な場所なのですが、昔は小塚原処刑場があって刀の試し切りもよく行われていたそうです。 

・アイヌの腰刀 個人蔵、県有形民族文化財
・山刀 銘 村正
 アイヌの民が使っていた山刀で、村正の銘の真偽は不明とのことです。青森は地理の関係からアイヌとの交流が盛んだったので博物館にもたくさんの品が展示されていました。刃文もよく見えないので確かに村正らしさはあまり感じませんでした。けれどアイヌの中でも、村正の刀は良い刀という認識があったことがわかる資料だということで、ロマンがあるなと思いました。

・太刀 無銘
 南北朝時代の備前長船作といわれている赤羽刀です。青森にも赤羽刀はたくさんあり、県立郷土館には11振あるとのことです。
・脇差 銘 備州長船住盛光 応永十五年二月日
・刀 銘 兼康
・脇差 銘 兼法
・刀 銘 山城守藤原秀辰
・刀 折返し銘 肥前國住近江大掾藤原廣忠
・脇指 銘 相模守藤原國綱 越前住
・刀 銘 備前國長船住祐定
・槍 銘 相模守藤原国吉
・脇差 銘 大和大掾藤原正則
・脇差 銘 丹後守兼道
・脇指 銘 森宗 青森市教育委員会蔵
・刀 銘 津軽大掾橘盛宗 青森市教育委員会蔵
・刀 銘 精壮斎宗有 慶応二年八月日 八戸市博物館蔵
・刀 銘 精光斎宗重 八戸市博物館蔵
 これらもすべて赤羽刀ですが、どれもとてもきれいなものでした。関鍛冶伝承館や備前長船刀剣博物館でみた赤羽刀は出身地の刀工のものがほとんどでしたが、これらの中には青森とあまり関係がないような刀工の作品もあるので、どういう経緯で返還されたのでしょうか。


○八甲田丸
 昔青函連絡船として使われていた船が資料館として保管されていました。かなりの広さがあり、ろう人形なども置かれて昔の様子を展示しています。船や航海に関する専門的な資料が多く内容は難しめだと思いました。航海士が愛読していた本を手に取ることができるのですが、明治や大正時代に発行された本がありそれらも読むことができました。一階部分には電車の車両がそのまま3両ほど収まっていて船の大きさがわかります。



《感想》
 今回県立郷土博物館に行くことができたのはたまたまだったのですが、行ってよかったと思えるとても盛りだくさんな展示内容でした。青森のいろいろな施設の刀が集められていてとても贅沢な特別展です。
 今回初めて青森に行きました。海の側の景色はとても良く、たまたま港には大型の客船ぱしふぃっくびいなすが停泊していました。海のない県に住んでいるのでとても新鮮でその客船がとまっている港の姿がとてもきれいでよかったです。
 ねぶた祭りも思っていたよりも近くで見ることができ、さらに近くに座っていた地元の人達のおかげで、多くのねぶたを正面に寄せてもらうことができ、迫力のあるお祭りを体験できました。


《今回の一振》
 今回は青江派の貞次の刀です。写真撮影可だったのですが、展示位置が低いので正面から撮影しようとすると変な大勢になってしまうため、本当は刃文や切っ先や茎なども撮りたかったのですが、まわりに人がいる状態であまりたくさん撮れませんでした。この写真ではわかりずらいですが刃文もよく見ることができます。どちらかというとにっかりよりも数珠丸に似た印象を受けましたが、もしかしたら数珠丸も低い位置の展示を同じような角度で見たからかもしれません。

 20160804_101818512


20160804_101827696


にっかり
DSCF3134


↑このページのトップヘ