刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2016年07月

 平日の閉館前に2度目の永青文庫に行ってきました。15時頃に着いてほぼ閉館までいましたが、平日でも思っていたより来館者は多い印象です。
 また、先月秋葉原に新しくできた、刀剣を見ながら食事ができるお店に行ってきました。特に行く予定はなかったのですが、たまたま空いているとの情報を見たので急きょ行ってきました。思っていたよりも本格的に展示がしてありとてもよかったです。博物館や神社ではありませんが、刀を見ることができる施設ということで記録したいと思います。

《行った場所》
○永青文庫
 2回目になるので刀剣ひとつひとつについての記録はしませんが、何度も展示を見ていると印象が変わった気がします。特に歌仙兼定は前回よりも今回のほうがより楽しめました。じっくり見ることができたからというのもありますが、造りに派手さがない分、何度も見ることでちょっとしたおもしろさに気づくことができるのかなと思います。今回は特に、実践に使いやすそうな刀だなということをとても感じました。また、作られた時代を考えると茎がとてもな状態だと思いました。磨りあげがなければきれいに残るものなのでしょうか。どちらかというと新刀のような茎だなという印象です。
 前回とても大きく感じられた生駒光忠は、今回そこまでのインパクトはうけませんでした。しかしやはり刃文がどこをみても楽しく、ずっと見ていても飽きのこない良さを感じます。前回ほど長いという印象を受けなかったせいか、特に腰元のほうの幅の広さが気になりました。
 古今伝授の太刀も、前回ほどとても細いという印象はそこまで受けなかったのがおもしろいなと思います。なんでもそうですが、初めて見たときに受けた印象は二度と味わえないものなので、大切にしていきたいなと思いました。

○刀剣茶寮
 秋葉原の駅近くにできた刀剣を見ながら食事ができるお店です。あまり詳しく調べないで向かったので、立地の良さにおどろきました。秋葉原に行くといつも通る身近な場所なので、今後も席が空いて居たらふらっと立ち寄るのもありかなと思いました。食事はそこまで多くないのでお腹はあまりたまりませんが、お店も食事も雰囲気がとても良いのでそれだけでお腹が満たされていく感じです。料理もテンポよく出てきてくれるのであまり待つことはありませんでした。
 刀剣の展示は最初の注文をした後に撮りにいきましたが、食事の最中や他の人が食べているかもしれない終わってからよりは写真も撮りやすくてよかったです。
主な展示
・短刀 銘 吉光 (号 秋葉原藤四郎
・脇差 銘 國廣
 ガラスから近い位置に展示してあり、かなり見やすい展示方法です。前の席にだれも座っていなかったのでとても近距離で見ることができました。近すぎて、まるで自分で手に持っているような錯覚をおこすほどです。
・短刀 無銘 安吉
 こちらもかなり距離が近いです。のたれの刃文の感じや素剣と梵字の彫物から貞宗っぽいなと思いました。他の左の刀剣を見てもよく正宗貞宗っぽいという印象を受けるので、ぜひ隣同士並んでいるのを比べて見てみたいなと思いました。9寸2分半ということなので脇差に近い大きさです。全体的に好みな造りでした。
・刀 銘 和泉守兼定
 11代目の会津兼定の作です。テーブル席の上で、若干位置が高めなので一番見ずらい場所だと思います。75cmほどあり峰も大きく新刀としては変わった姿をしているなという印象です。


《感想》
 永青文庫は、平日の夕方だと常に人はいても展示の前で長く見られるというぐらいの人出でした。少なすぎず展示もよく見られるちょうどよい感じだと思います。刀剣茶寮も平日だからかそこまで人も多くなく混雑はありませんでした。席が全部埋まっているとちょっと撮影が大変だったりしそうだなと思いました。展示してあるものも展示の仕方も博物館などと全然劣っていないので、刀が好きならばぜひ行ってほしいと思いました。ふらっと気軽に入れるようになったら観光客の外国人も多くなりそうです。


《今回の一振》
 今回は秋葉原藤四郎です。細身でも長めですらっとした印象をうけました。刃文が切っ先から鎺までとてもきれいな直刃で、樋がまっすぐはいっているのも好みな造りでした。銘もかなり読みやすく、吉光の文字がよくわかります。今までみた吉光のなかでは、信濃や五虎退、小田原にあった吉光に似た印象でしょうか。かなり細長いほうだと思いました。
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 今日から歌仙兼定をはじめ刀剣の展示が始まった永青文庫に行ってきました。展示替えが年数回しかないので、いつ展示されるのかあまり期待はしていなかったのですが、こんなに早く特集展示をしてくれると思いませんでした。今回のための図録も大満足なもので、すばらしい展示でした。

《行った場所》
○永青文庫
 今回初めて訪れました。目白駅からバスに乗り、特に迷うことなく到着すると待機列が少しできていました。期間が長いこともあってそこまでの混雑はないかなと思い初日に行きましたが、雨にもかかわらず列は開館時間までにどんどんのびていました。
 受付で入館券と一緒に図録や季刊誌を買い、寄付をして刀剣シールもいただきました。一連の流れを行うので窓口は大変そうです。受付にこういった寄付の箱があるとお金を払ったついでに気軽にさっと寄付できるので良いと思いました。
 展示室は4階から順番に見ていきますが、とにかく内装がどこもおしゃれでアンティークな造りでした。展示ケースも博物館の見やすさ重視の明るい照明だけではなく、雰囲気重視な落ち着いた明るさの場所もありました。全体的に解説が多く、詳しくなくても楽しめるようになっていると思います。刀の展示は若干位置が高くなっています。そのためかどの刀剣も数字より長く大きく感じました。太刀も刀の展示方法をとりつつ、銘は全て見えるように展示されていました。肥後拵を中心とした拵もいろいろ展示してありましたが、全体的に落ち着いた色合いでわびさびを感じました。

主な刀剣
・刀 金象嵌銘 光忠 光徳(花押)生駒讃岐守所持(号 生駒光忠国宝
 ずっと見たかった光忠の刀です。昨年度の備前刀剣王国の図録を持っていたので、事前に見てから行ったのですが、実物は迫力もあり華やかさをとても感じました。意外と長く幅が広い印象をうけ、磨りあげてあるので元々はかなりの長さがあったのかなと思いました。

・太刀 銘 守家造 重要文化財
 蛙子丁字の刃文が腰元で特にわかりやすくはいっていました。銘が小さくきっちりと細い線で刻まれているのが印象的でした。富山の森記念秋水美術館にあったものもそうですが、今まで見た守家の刀は4口すべてが重要文化財に指定されていて、それだけすばらしい刀工なんだなというのがわかりました。

・刀 金象嵌銘 兼光磨上光徳(花押)
 前の2つと比べると刃文が少しわかりずらいのですが、片落ち互の目の典型的な造りだそうです。銘の花押の部分が少し消えているようでしたが、象嵌はどのぐらい維持できるものなのでしょうか。金を埋めるというのは改めて考えるとすごいことをしているなと感じました。

・太刀 銘 備州長船家助
 かなり変則的でバラエティにとんだ刃文です。見る場所によって印象が全然違うのでおもしろいなと思いました。

・脇指 銘 備州長船経家 永享九年二月日
 今までの刀が長く感じられるものばかりだったので、刀身が短めな印象をうけました。かなり変わった刃文をしていて、見ただけではなんという刃文なのかわかりませんでした。

・刀 銘 濃州関住兼定作(号 歌仙兼定
 切っ先にかけて細身になっていき、全体的にも細さを感じました。直刃がきれいで腰元だけ大きく変化しているのがよくわかります。また、刀身や茎の鎬が不思議と目につきました。刃文や造りがシンプルだからなのでしょうか。拵も思っていたよりシンプルな色合いで、解説に渋いとありまさにその通りだなと思いました。

・脇指 銘 信長
 当麻の刀工だということで初めて見ました。すごく細身の脇指で、刀をそのまま縮小したような印象です。細身なのに樋があり、かなり独特な形をしているなと感じました。

・刀 無銘 志津 金象嵌 海賊
 今までのものが備前のものが多く峰も小さめがほとんどで、それが護立氏の好みなのかなと思いましたが、こちらは大峰で他とは印象が違いました。大峰で幅広ですが短めなのでかなり磨りあげられてそうだなと思いました。今回手に入れた図録や冊子の中には、海賊の意味は書いてなかったのですが、どんな経緯で彫られたのでしょうか。

・太刀 銘 豊後国行平作 国宝
 古今伝授の太刀と言われて、こちらもとても見たかったものですが、かなり細身で驚きました。特に茎の細さがすごく印象的です。こちらだけ3階に展示されていて混雑もなくすみずみまでじっくり見ることができたのですが、展示してある場所の照明が暗く、刃文や銘などが若干見づらかったです。真横からも見られたのですが、厚さもかなり薄く、やはり写真からうける印象とはかなり変わるなと思いました。


《感想》
 今回の展示は号のついた3口以外何が展示されているのかわからなかったのですが、とても良い展示内容でした。刀剣以外にも、武具を記録した書物や蒔絵など良いものをたくさん見ることができました。御家名物之大概という本の歌仙兼定がのっているページには、大三原や相州秋廣の刀剣も紹介されていました。永青文庫にあとどれくらい刀剣が保管されているかわかりませんが、国宝の包丁正宗をはじめ他のものもいつか見られたらいいなと思います。
 入口に歌仙兼定が表紙の刀剣春秋6月号が置かれていましたが、出口のあたりには12日から徳川美術館で展示が始まる鳥飼国俊が表紙の7月号も置かれていました。コラムでは骨喰藤四郎についても書かれています。
 今回パネル展示には行きましたが、それ以外の場所は雨も降っていたこともあり隅々までは見なかったので、永青文庫は会期中あと最低でも一回は行きたいのでスタンプラリーが始まったらそれも合わせて楽しみたいなと思います。


《今回の一振》
 今回は永青文庫のアンケートでも書いたのですが、生駒光忠が一番印象に残りました。まさか展示の一番最初に置かれているとは思いませんでした。ずっと見たかったものだけあって見た瞬間とても感動しました。刃文がとにかくよく見えるように展示されていて、沸も板目もよくわかりました。

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