刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2016年05月

 黒川古文化研究所で刀剣の展示が行われるのを昨年から待っていたのですが、今回他の旅行の予定もあり行くか迷いました。しかしやはり行かないと後悔するかなと思い、2日前にホテル、前日に新幹線をとり急遽行ってきました。せっかくなので姫路も一緒に行きました。

《行った場所》
○黒川古文化研究所
 新大阪から行きましたが意外と近くて交通の便は良かったです。博物館までは駅前からのシャトルバスを利用させていただきました。とても急な坂道が続き、慣れていないと車の運転も大変そうです。
 受付で単眼鏡を借りてみましたが、倍率が高いのではピントが合わせられないので短いのが使いやすかったです。今回は展示位置が比較的近いので、肉眼でも良く見えるのですが、単眼鏡を使うとさらにきれいに見られてよかったです。展示位置が離れてる展覧会などではぜひ活用したいです。展示については、刃文や造りについての解説があまりなかったので欲しいなと思いました。
 図録の他に美術関係の辞書などもあり、刀剣に関する初めてみる本もありました。合計で2時間ぐらい滞在してゆっくりさせていただきました。
主な刀剣
・刀 無銘 長谷部 金粉銘 国重 重要文化財
 すごくきれいで今まで見た中で一番好みな皆焼でした。
・刀 無銘 金象嵌銘 当麻 本阿弥又三郎磨上之(花押)
 形がとてもきれいでいいなと思いました。
・短刀 銘 来国俊
 幅が広めで短刀はこれぐらいの大きさのものが好みです。鎺がきれいで彫物がおしゃれでした。
・短刀 銘 鎌倉住新籐五国光法名光心 正和二二年□月十日
 単眼鏡で地鉄をじっくり見ましたが、やはり相州の刀は地がかなり好みです。
・短刀 銘 吉光
 細身ですごく吉光らしい短刀だなと感じました。
・脇指 無銘(名物 籠手切郷
 刃文はうっすら見えるという様子だったのですが、刃文が大きめで特に切っ先にいくほどかなり波うっていました。郷の刀はそこまで多く見てないうえに、写真で確認できるのが東京国立博物館で展示していたもののみなのですが、郷を見るときはいつも刃文が見えにくくて郷らしい刃文がまだよくわかっていないです。今回のはどうなのでしょうか。
・短刀 無銘(名物 伏見貞宗国宝
・刀 銘 一ツ葉葵紋 薩州住主水正藤原正清 享保十四年十一月
 どことなく美濃っぽい印象を受けました。


○湊川神社
 三宮周辺で刀を所持している場所を探しているときに見つけました。高速神戸駅の出口を出てすぐ目の前にあります。展示物は少ないですが楠木正成についての展示物がたくさんあり、普段と違う視点で歴史をわかりやすく学べました。
主な刀剣
・太刀 銘 国行
 初代の宮司が奉納したとのことです。刀身は77.6cmで迫力があります。健全できれいに手入れされているなと思いました。
・太刀 銘 於湊川神社 道政 昭和十六年二月吉日
 鎺に楠木正成の家紋の菊水紋が彫られていました。神社にもいたるところにこの紋がありとてもおしゃれだなと思いました。
・刀 銘 昭和十五年十一月吉日 日本製鋼所俊秀勤作 鍛錬湊川神社大前 紀元二千六百年奉祝祭
 こちらも鎺に菊水紋が彫られていました。どちらも現代の刀匠が打ったものですが、これですら70年も前のものと考えると、普段見ている刀がどれだけ昔のものなのかあらためて実感しました。
・脇差 銘 膳所住胤吉 慶応二年寅年四月
 胤吉は月山貞吉の門人だそうです。ものすごく幅広の造りでした。
・短刀 銘 於楠公神前 月山貞一錬之 明治二十八年四月
 冠落としか鵜の首造りのどちらかですが、違いがわかりませんでした。


○姫路城
 初めて行ってきました。朝早い時間だったのでそこまで混雑していませんでしたが、一方通行なので人が多いときは進みが遅くて大変だろうなと思いました。天守内は展示物などは置いてなく、木造の城らしさを感じる内装ですが、石内棚というロフトのような中二階造りになっているのが、他では見ないのでおもしろいと思いました。武具掛けもとてもたくさんありおもしろかったです。
 百間廊下には天守と違い展示がたくさんあり、長い建物なのでこちらのほうが見るのに時間がかかりました。姫路城というと、池田輝政の印象が強いのですが、姫路城はかなり城主がころころ変わっているのがわかりました。瓦には池田家の揚羽蝶の紋が多かったです。岡山城で多かった横向きの蝶よりも、正面を向いているものが多かったと思います。


○射楯兵主神社
 播磨国総社ということで姫路城のすぐ近くにあります。展示物が置いてある総社御門は、自由に入ることができました。刀剣も所持しているようですが、以前に東京国立博物館で展示をしたことがあるようです。ミミズクが神の使いということで、御門の中にいろいろなミミズクの置物が展示されていました。


○兵庫県立博物館
 刀剣の展示はありませんが、いつも各地の博物館を訪れているので、兵庫県の歴史を学ぶためにも行ってみました。企画展で偉人の肖像画など、絵画を中心に古代から順に展示していました。解説も詳しくてかなりわかりやすく歴史のおさらいができました。
 常設展は入館無料で、展示物は少ないですが凝ったものが多かったです。姫路城の紹介とともに他の現存天守の模型が一緒に置かれていましたが、この一年間の間に行ったものもいくつかあり違いがよくわかり楽しかったです。解説のボランティアの方の話をたくさん聞くことができました。
 資料室として各地の博物館の図録などがたくさん置かれていました。あまり珍しいものはありませんでしたが、かなり蔵書量は多いほうだと思います。つい夢中で漁ってしまいました。
 今まで行った博物館の資料室のなかでは、東京国立博物館を除けば大阪歴史博物館が一番図録などが豊富だったかなと思います。埼玉歴史と民族の博物館も古い図録などが読めておもしろかったです。東京国立博物館は平日利用できないので、都内では都立図書館や国立新美術館が図録を探して読むだけなら便利だなと思います。
 


《感想》
 今回は、新大阪→三ノ宮→姫路と兵庫県をほぼ横断するぐらいの距離を移動しましたが、電車でも意外と時間がそこまでかからないので便利だなと思いました。前回数珠丸を見に初めて兵庫県を訪れたときに山と住宅地が長距離間密接に続いていて驚きましたが、今回もその地形の面白さをとても感じました。また、明石城や須磨寺など今回行けなかったところはまだまだあるので、また訪れたいと思います。


《今回の一振》
 今回は伏見貞宗です。 貞宗の中では細身なほうかなと感じました。展示の位置や研ぎで刃文がとてもよく見えました。刃文が規則的でおとなしい印象をうけましたが、上品な感じできれいでよかったです。貞宗というといつもがっちりした印象もつのですが、今回は造りも刃文も全体的に線が細い印象です。単眼鏡で地鉄をじっくり見られたのもよかったです。


 香川県立ミュージアムと岡山県立博物館の展示を合わせて行ってきました。もっと時間があったらいろいろ足をのばしたい場所があったのですが、今回はこの二か所がメインです。

《行った場所》
○香川県立ミュージアム
 香川県は2回目ですが高松は初めてです。今回も岡山から電車でしたが、一本で行けるうえにそこまで時間がかからないのでとても便利だなと思います。高松駅は海沿いにあり、電車から降りた瞬間から潮の香を感じました。今回はちょっと離れたところに行くこともあり、レンタルサイクルを利用しました。6時間100円、それ以上でも200円という安さです。
 県立ミュージアムは思っていたよりも刀剣がたくさん展示されていて、さらに解説がわかりやすくてよかったです。目録兼解説シートもとても充実していてすばらしいと思います。3階にある常設展は、入ってすぐの古代の展示のセットが臨場感ありすぎて驚きました。とてもビルの中とは思えないクオリティです。それ以降の時代の展示や出てからの映像ギャラリーなど、映像作品が多く、すべて見ようと思うとかなりの時間がかかると思いました。
主な刀剣
・脇指 無銘 貞宗(名物 切刃貞宗
 再刃されているので刃文がちょっと違和感を感じますが、貞宗とわかる姿をしていました。
・脇指 無銘 青江(名物 ニッカリ青江重要美術品、丸亀市立資料館蔵(香川)
 見るのは2回目ですがやはり好みな形をしています。前回のときより少し印象が変わったので、やはり展示場所によって大きく変わるなということを感じました。
・刀 無銘 伝郷義弘(号 芦葉江香川県指定有形文化財、高松市歴史資料館蔵(香川)

・刀 無銘 則長
・刀 銘 肥前国住近江大掾藤原忠廣
・脇指 銘 長曾禰興里入道乕徹
 直刃すぎて定規で線を引いたようなまっすぐさだなと思いました。
・太刀 銘 真守造 重要文化財
 平安らしい形をしています。切っ先のほうの刃文がとても派手になっていました。
・刀 無銘 景光
 蛙子丁字の刃文でも、一つ一つが小さいとそこまで派手な印象はうけません。
・刀 銘 一竿子忠綱彫同作
 刃文の動きが彫物と調節されて作られているのが、今まで意識したことがなかったのでおもしろいなあと思いました。
・脇指 銘 加賀守藤原包高
・刀 銘 讃州住盈永 寛政九丁己年二月於高松城西丸鍛之 高松市指定有形文化財
・脇指 銘  讃州住盈永 寛政九丁己年八月鍛之 高松市指定有形文化財
・刀 銘 早勝美濃守藤原盛光 讃州丸亀士慰作


○玉藻公園
 元高松城があった場所で現在は櫓や石垣などが残っています。天守があった場所へは、一つの橋を使わないといけない造りになっていて趣がありました。今後天守が再建されたり展示が増えたりすると楽しめそうだなと思いました。

○平家物語歴史館
 駅から少し離れたところにある博物館ですが、おもしろそうだったので行ってきました。ネットで事前に訪れることを伝えておくと200円値引きしてくれます。3時間前に予約しましたが問題ありませんでした。
 とてもコアな施設で、建物の外観からすでに気軽に入りにくい雰囲気を醸し出しています。日本最大のろう人形館ということで、一階で四国出身の偉人を紹介し、二階で平家物語の流れを展示していました。全体的に不気味な雰囲気なのですが、二階にあがってすぐの一の谷の合戦の再現が、とにかく迫力があってすごいです。これを見ただけで入ってみてよかったと思いました。最後の最後に、怖がらせる目的としか思えないろう人形が置かれていました。正直一人で入っていたらゆっくり見てられなかったと思います。


○備前長船刀剣博物館
 前回岡山を訪れたときは時間がなくて断念したので、今回初めて訪れました。思っていたよりも純粋に観光地としてにぎわっていました。刀工の方による鍛えも見学することができました。今まで博物館の展示で工程は何度も学んできましたが、想像以上に迫力があり手間がかかる作業だというのを感じました。音も火花も実際に近くで見ないとまったく理解できないものです。やはりもっと最初の頃に見ておきたかったなと思いました。
 主な刀剣
・太刀 銘 於富士浅間大社宗景勤作 昭和三年十一月吉日影打 献上官幣大社浅間神社
・小太刀 銘 吉房
・刀 無銘 大宮
・太刀 銘 備州長船盛光 応永十二年十月日
・刀 備州長船忠光 文明二年二月日
 茎が短いのは片手で扱うからとあり、とても納得です。まだ全然知らないことがあるなと思いました。
・刀 備前国住長船清光 永禄十三年二月日
・脇指 銘 備前国住長船七兵衛尉祐定作
 蟹爪風の刃文が本当に蟹の爪そっくりで好みな刃文でした。
・刀 備前長船住横山俊左衛門藤原祐包 天王原八幡宮於神前作之 慶応二年八月日 友成五十八代孫
・刀 無銘 伝長守
・脇指 折返銘 備州長船則光
・刀 銘 越前住日向守藤原貞次
・刀 銘 備前国(以下切れ) (切付銘)立袈裟立胴籠都畄倍 唐竹肩興利腰満傳
 籠都畄倍でカゴから水が流れ落ちるように切れたという意味だそうで、切れ味を表す良い方もたくさんあるんだなと思いました。
・太刀 銘 国吉
・脇指 銘 播磨大掾藤原重高 越前住
・脇指 銘 備州長船忠光 永正五年八月日
・刀 明 鍛同作 大宝子月仙(花押)昭和十七年六月日 於濃州関昭和刀禁鍛 以記念作之
          他多数

○岡山県立博物館
 こちらも今回初めて訪れました。そこそこ広さはありますが、展示数はそこまで多くないので全部じっくり見ても意外と早く見終わりました。目録などの紙の資料がとても多く用意されていて、展示してあるものについても詳しく説明されているので親切な設計だなと思いました。刀剣の展示場所にあった備前・備中・美作の刀工系譜画像もわかりやすくて良いなと思っていたので紙でいただけたのはうれしいです。
主な刀剣
・刀 銘 備州長船祐定作 永正十二年二月日
・太刀 銘 則宗 重要文化財
・太刀 無銘 一文字(名物 山鳥毛国宝、個人蔵
 刃文が摩訶不思議すぎてわけがわからないという印象です。思っていたよりもとっちらかっているような感じはうけず、純粋にきれいだなあと思いました。すごいのは分かるけど、常軌を逸しすぎると言葉にできないというような感じです。
・太刀 銘 長光  重要文化財
 これぐらいのちょっと派手な刃文のほうが好みでした。
・太刀 銘 真守
 幅が広くなり、前の三作と比べると時代が変わったのがよく分かりました。
・刀 無銘 長義 個人蔵
・刀 銘 彦兵衛尉祐定・与三左衛門尉祐定 個人蔵
・刀 三原兵衛尉祐定 永禄十二年二月日


《感想》
 今回もとてもたくさんの刀を見ることができました。たくさん見られるのはとてもうれしいのですが、記録はとても全部書き出せないので複雑です。いつも見て感じたことはメモに残しているのですが、備前長船刀剣博物館では数が多かったためかメモも少なめでした。岡山は次は夏に林原美術館が刀剣展示をするそうですね。せっかくなのでまた周りの県に足をのばせたらなと思います。


《今回の一振》
 今回は迷いましたが香川県立ミュージアムの芦葉郷です。郷の刀はそこまで多く見ているわけではないので、これだけ解説が手元にしっかりあって、さらにじっくり見られるのはとても良かったです。今回の展示は刃文の見方についてもあるため、とても見やすくなっているように感じました。個人的には直刃よりこれぐらいの変化がある刃文が好みです。反りが強いため実際よりも長く感じます。また、かなり幅が広めだなと思いました。これだけでも作られた時代が推察できるので楽しいです。

 今回は初めてぷらっとこだまを利用しました。名古屋だけを見るならこだまでも日帰りできるのですが、ちょっと足をのばしたいとなると、時間が足りないなと感じました。

《行った場所》
○名古屋城
 早い時間に行ったので全然混雑はしていませんでした。久しぶりに行ったので、やはり大きさがすごいなというのと、上からの景色はちょっと物足りというのを感じました。展示を見ていて、焼失前の記録や写真の多さにとても大切にされていたことや真面目さを感じました。刀剣の展示は前回も所蔵が書かれていなかったのですが、今回もすべて個人蔵なのでしょうか。解説はかなり刀剣乱舞を意識した文章になっていました。
主な刀剣
・刀 銘 國廣
 きれいな直刃です。拵の柄糸が水色のきれいな色でめずらしいなと感じました。鎺の近くに護摩箸が彫られているのも大きめな刀ではめずらしいなと思いました。
・刀 無銘 安綱
 刃文が大きく広がりかなり華やかです。
・短刀 銘 兼定
・脇差 銘 桑名住村正
・刀 銘 正真
・太刀 銘 備州長船住兼光
 額銘になっていて、大磨上だそうですが今でもかなりの長さがあります。
・刀 無銘 青江
・太刀 銘 備州国分寺住助国
 折返銘になっているのですが、「分寺住助国作」となっていました。
・刀 無銘 左国弘
 かなり刃文が広がっていて皆焼のようでした。場所によって刃文の様子がかなり違って見応えがあります。
・長巻 銘 五拾本内 大慶直胤


○徳川美術館
 今回も閉館時間を狙って刀剣の展示を見られるように3時半ごろに行きました。行ったときはまだ刀剣を見るための列が伸びていましたが、4時半ごろには待ち時間なしで見られました。GWのひどいときは2時間待ちだったそうです。前回は本当に展示室にだれもいませんでしたが、今回は同じように最後に刀剣を見ている人がたくさんいました。
主な刀剣
・太刀 (菊紋)菊一文字 重要文化財
 菊紋はだいぶ見ずらいですが、刃文がとても一文字らしくて良かったです。
・刀 銘 本作長義…(以下58字略)重要文化財
 去年見たときは、特別展の中で人も多かったためじっくり見られなかったのですが、今回は刃文もよく見ることができました。派手ではないのですがとても特徴的で、一目でそれだとわかるような刃文だなと思いました。
・脇指 無銘 貞宗(名物 物吉貞宗重要文化財
 研ぎの関係か刃文はうっすら見えるといった感じですが、ゆるやかな刃文が貞宗らしいなと思いました。彫物もたくさんあって貞宗らしさが見られて好きです。個人的には、貞宗や正宗は太刀や刀のときと、短刀や脇指などのときで、雰囲気が全然違うと感じるのでおもしろいなと思います。
・脇指 銘 吉光 名物 鯰尾藤四郎
 見るのは三度目になりますが、一番鯰の尾というのが素直に感じることができた気がします。このような造りは冠落としという名称しか覚えていなかったのですべてそうだと思っていたのですが、菖蒲造りや鵜の首造りといった違いがあるのですね。違いがわかるようにしたいです。
・短刀 銘 吉光(名物 後藤藤四郎国宝
 



《感想》
 今回はどこも人が少なめに感じました。GWにみんな出かけて、この土日は遠出して観光する人は少なかったのでしょうか。名古屋城もエレベーターが待ち時間なしというのは今回初めて見ました。
 これで刀剣を見に名古屋へ訪れるのは4回目ですが、また夏に徳川美術館が刀剣の展示を交えた特別展を開催するそうです。図録の予約受付中だったのでさっそくしてきました。かなりの数の刀剣が掲載されて1000円は図録としてかなり安いと思います。昨年の家康の企画展のときは、展示していた刀剣すべてが図録にのっていなかったので、今回の図録発行はとてもうれしいです。7月頃届く予定なので到着したらぜひ展示を見に行きたいです。
 今回は日帰りで名古屋のみでしたが、今後は名古屋から足をのばして伊勢や岐阜のほうなども訪れたいと思います。



《今回の一振》
  今回の旅行のメインでもあり、初めて見た後藤藤四郎です。きれいな直刃が多いイメージの吉光の短刀にしては、かなりのたれが見られました。刃文が見やすかったのもあり、沸が目立ちました。解説に吉光の作品の中では大きめとあり、確かに短刀の小ささに驚くことが何回かあったので後藤藤四郎は大きめだなと思いました。
 

 刀剣めぐりの旅で初めての神奈川県。去年小田原城に行きたいと思ったときにはもう天守の改修工事にはいっていて、5月1日に公開が始まったのでさっそく行ってきました。小田原は初めて行ったけど思ったより遠いなという印象です。でも電車に乗りっぱなしで行けるので都内から行くのはかなり楽でした。
 5月3日から小田原ではお祭りが開催されていました。5日は駅前や少し離れたあらゆる場所で神輿が担がれていました。どういうお祭りなのかちゃんと調べずに行ったので、お神輿がお店をまわって直接店頭で商売繁盛を祈願するという不思議な光景をたくさん見られました。老若男女多くの人が参加していて、特に若い人が多いなという印象です。

《行った場所》
○御幸の浜
 小田原駅から歩いて15分ぐらいの距離にあります。思っていたよりもきれいな海ででした。波が高く砂浜ではなく砂利だったので海水浴には向かなさそうでしたが、とても暑かったこともあり気持ちよかったです。小田原城に登る前に見て知っておいてよかったとも思いました。

○小田原城址公園
 敷地があまり広くないのもあり城らしい雰囲気は少なめですが、市民の広場としてはきれいに整備されていて良いなと思いました。祭りの期間ということで、広場ではジャズコンサートや屋台などが開かれていました。人は多いですが広さのある広場なのであまり混雑は気になりませんでした。近くに子供向けのちいさな遊園地があるというのが、他の場所にはあまりないので面白いと思います。

○小田原城天守閣
 高い石垣の上にある天守閣ですが、入口までがかなり急な直線の階段になっていておどろきました。他の城では見ない不思議な造りです。リニューアルされたばかりとあって、中はとてもきれいです。とくに照明あたりがおしゃれで他の新しめのお城とも違うなと思いました。展示は北条氏が治めていた約100年間にスポットを当てていて、秀吉に負けてからはほどんど書かれていませんでした。展示量はそれほど多くはありませんが、左右や足元など文章量は多く、全部見ていくと意外と時間をかけてじっくり見ることになります。所蔵品の展示は見やすく解説もあり良かったです。
 天守閣の外観、内側は他の城と比べると物足りない感じですが、なんといっても眺めがとてもよかったです。一周ぐるっと回れ、かなり足元も広々しています。安全柵など視界を遮るものがないので、景色がとても良く見えます。天気がよかったのもありますが、海がとてもきれいで、三浦半島や伊豆半島、うっすらとですが伊豆大島も見えました。天守からの眺めでいえば、犬山城や岩国城にならんでかなり好きなお城になりました。
主な刀剣
・刀 相州住康春 小田原市指定文化財
・太刀 銘 相州小田原住義助
・太刀 銘 恒次
これらは写真撮影も可能です。他に撮影不可の短刀が一振展示されていました。

○小田原城情報館
 一階はお土産屋と甲冑や打掛の衣装を貸してくれる施設ですが、二階に少しだけ展示物があります。今は武具・甲冑展をしており、刀も展示されていました。こちらに来る人はあまりいないのか、天守閣のすぐ隣なのに人がとても少なかったです。
主な刀剣
・短刀 銘 奉納吉光  箱根権現施主大久保中興
・脇指 銘 相州住伊勢大掾綱廣
 脇指とありますが、60cmは超えているように見えるので刀ではないのかなと思いました。



《感想》
 あまり刀の展示は期待しないで行ったので、思っていたより良いものをたくさんみられてよかったです。相模の国なだけあって相州伝のものが多かったのですが、やはり歴史的な事情からかもっとあっても良いのにとも思いました。神奈川県内には他にも刀に関する施設があるようなので調べて行ってみたいと思います。


《今回の一振》
 今回は吉光の短刀です。拵えと一緒に展示されていました。最初あまりにポンと展示されていたので偽物かと思いましたが、刃文や銘をみても本物の吉光の短刀のようです。どうせなら天守閣で展示したほうがたくさんの人に見てもらえるのにと思いましたが、天守の工事中から展示していたようなので、こちらに展示してあるのだと思います。
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 昨年に引き続き、今年も土方歳三の和泉守兼定を見に行きました。また、八王子にある東京富士美術館が近い距離にあるので、合わせて行ってきました。東京富士美術館は15日までが前期の展示で、18日からは後期の展示内容になります。


《行った場所》
○土方歳三資料館
 昨年12月の1日限定公開のときに初めて見た和泉守兼定ですが、今年はこのGWの時期に行きました。ひどい混雑はありませんでしたが、ひっきりなしに人が訪れるといった感じでした。前回来たときは刀以外の展示をあまり見られなかったのですが、今回は時間をかけてじっくりと見ることができました。ちょうど刀を見ているときに、解説の時間になったため、目の前で解説を聞くことができました。昨年の展示のときも解説は聞けていたのですが、やはり持ち主の方から直接話を聞くことができるのはとてもありがたいです。
主な刀剣
・刀 銘 和泉守兼定 慶應三年二月日 日野市指定有形文化財
・十文字槍 銘 助宗
・槍 無銘


○東京富士美術館
 八王子の東京富士美術館でザ★刀剣展を開催中です。以前、文化財登録されている刀剣を所持している施設を書き出していたときに知った美術館ですが、常設展での展示がなかったためあまり深く調べていませんでした。今回の展示もかなり貴重な展示のようで、初公開のものがたくさんありました。写真撮影も可能でしたがまさかのカメラを持参するのを忘れてしまいました。同行者に撮ってもらいましたが、そのため今回の記事に写真はありません。今回の特別展は、図録ではなくパンフレットのようなものが販売しており、とても安かったので写真を撮れなかったのもあり買ってきました。
 とてもたくさんの刀が展示されていたので、印象に残ったもののみ記録をしています。
主な刀剣
・刀 無銘 伝正宗(名物 武蔵正宗重要美術品、刀剣博物館蔵(東京)
 昨年4月に初めて刀剣博物館に行ったときに見た正宗の刀です。これが初めて見た正宗の刀で、この後金沢で太郎作正宗を見たことで本格的に正宗の刀や相州の刀に興味をもったので思い出深い一振です。他の正宗の刀をたくさん見たあとでは、刃文が他とは少し違う印象をうけました。
・刀 銘 村正 刀剣博物館蔵
 こちらも昨年4月に武蔵正宗と一緒に展示されていた刀です。

・刀 折返銘 正恒
 平安・鎌倉前期の古い刀工のなかでも、正恒の刀は見る機会が比較的多いです。文化財登録されているものもたくさんありました。以前別の施設でも折返銘の正恒の刀がありましたが、そうまでして残したいという現れでそれほど名刀工だったという証拠だと思います。
・刀 無銘 伝助真
 刃文がとても派手です。刃文が見やすく研がれているというのもあると思いますが、鎬地のほうまで広がっていると一瞬かなり異様に見えます。
・短刀 無銘 行光
・脇指 銘 兼洞 刀剣博物館蔵

・太刀 銘 有綱 重要文化財
 細さや反り方、峰の小ささから一目で平安の刀とわかる見た目をしています。安綱の刀は何度か見ましたが、有綱のほうが珍しい気がします。この時代の刀のわりに銘が読みとれるぐらいに茎がとてもきれいな状態というのがすごいと思います。
・太刀 銘 一 重要文化財
 一文字らしいとても華やかな刃文です。これら重要文化財三振は、押型が表裏のものが展示してあり、この一文字の刀は表裏の刃文の違いがとてもわかりやすく、両方を見比べられておもしろかったです。
・太刀 銘 備前國長船近景 建武二年五月日 重要文化財
 光忠や長光と関連した解説が書かれていましたが、それらとは刃文の雰囲気はだいぶ変わるなと思いました。

・刀 銘 長曽根興里入道乕徹 (金象嵌)寛文五年十二月十六日 山野加右衛門六十八歳永久(花押)四ツ胴截断
 展示は表の銘が見られるほうでしたが、鏡で裏の金象嵌銘も見えるようになっていました。虎徹は刃文というよりいつも銘に注目して見てしまいます。
                               他多数
                                     


《感想》
 東京富士美術館は、交通の便はバスの本数が少なく若干悪いのですが、広い施設にほどほどの人出でとても見やすい展示でした。解説がかなり少ないので各刀についてもう少し詳しく知りたいなと思いました。個人で買い取ったものなのでだれが所持していたなどはわからないのかもしれませんが、著名な刀工の刀もあって趣味で集めた所蔵品としてはかなりすごいと思いました。


《今回の一振》
 今回は良いものがたくさんあったのですが、個人的に行光の短刀がとても印象に残っています。行光の刀は今までほとんど見たことがなくかなり楽しみでした。とても相州らしさを感じ、なんとなく三井記念美術館で見た日向正宗に似た印象をうけました。刃文は帽子のところも特徴的で見ていて飽きないかなり好みな刀でした。



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