刀剣巡礼覚書

日本刀の鑑賞にはまった審神者が、刀を求めて聖地巡礼をしつつ全国を巡った記録を書き連ねたものです。各地の博物館、美術館の情報は当時のものです。

2015年10月

 鬼切丸が北野天満宮で展示されるのを待っていたのですが、ちょうど琳派展と期間がかぶっていたので行ってきました。京都の刀剣乱舞ゆかりの地は5月におおむね行ってきたので、今回はその他の寺社がメインです。

《行った場所》
○京都国立博物館
 琳派展を開催中でした。土曜日ですが、少しの待ち時間で入ることができました。琳派については詳しく知らなかったので、行くことが決まってから勉強して行きました。予習をしてから行くと展示を見る楽しさがまったく変わります。今回初めて音声ガイドを利用したのですが、詳しく解説してくれるので利用して正解でした。
 刀については、本阿弥光悦つながりで、骨喰藤四郎と本阿弥光徳の刀絵図などが展示されていました。刀絵図は骨喰と、吉光の短刀4振(薬研、新身、親子、小乱)の押型が載ったページでした。刀匠の名前が載った書も展示されていましたが、行平や義弘があったのは読めました。
主な刀剣
・薙刀直シ刀 無銘 吉光(名物 骨喰藤四郎重要文化財、豊国神社蔵(京都)

○常照寺、光悦寺、源光寺
 琳派ゆかりの寺をめぐりました。京都の北の山の本阿弥光悦が住んでいた一帯です。山の中腹にあるため、光悦寺からの眺めがよかったです。時期が紅葉に少し早いぐらいでしたが、一部はすでに色づいていました。紅葉の時期の京都は本当に人がすごいそうなので、源光寺などはかなり混雑しそうです。

○龍安寺
 何度も行ったことがある場所ですが、細川勝元が所有していたと意識すると、刀剣的に見方が少し変わりました。朝早くだと人が少ないので、みんなが静かにじっと庭で座っている空気は心地よかったです。

○等持院
 足利氏にゆかりがあり、歴代将軍と徳川家康の木像を祀っています。小さい子供の姿の像や、成人なのに他と比べてあまりに小さい像など、足利氏に詳しくないので調べたくなりました。敷地はあまり広くないですが、庭園がとにかくきれいで驚きました。刀剣巡りを始めてお庭をたくさん見てきましたが、一・二を争うぐらいのきれいさだと思います。人が少ないのでじっくり見ていられます。

○北野天満宮・宝物殿
 期間限定展示の鬼切丸を見に行きました。宝物殿は普段毎月25日に公開されていますが、今は敷地内にある紅葉園が開園中のため、しばらくの間公開されているようです。25日は縁日が開催されるようで、とても混雑していました。屋台がたくさんでたり、骨董市が開かれていたりしました。刀や刀装具も売られていて見ていておもしろかったです。
主な刀剣
・太刀 銘 国綱(号 鬼切丸重要文化財
・太刀 銘 恒次 重要文化財
 800年祭に加賀前田綱紀が奉納。以後50年ごとに前田家当主が刀を奉納するようになったそうです。
 拵が水色の柄巻に水色の下げ緒で珍しい色だなあと思いました。
・太刀 銘 備州長船師光 慶永九年
 850年祭に前田重熙が奉納。
・太刀 銘 干時慶長十二打十一月日信濃守國廣造
       北野天満宮天神豊臣秀頼公造宮之時
 
○高桐院
 細川忠興が建て、墓が置かれいていあります。門から建物まで竹林の中を歩きますが、まさに幽玄という言葉が似合う雰囲気です。天気が良いはずなのに冷え冷えとしていました。庭もですが、建物の内装もおしゃれで見ていておもしろいです。


《感想》
 今回は刀の鑑賞は少なめでした。しかし本阿弥は刀剣鑑定も行っているし、細川・足利など刀剣の歴史を勉強していると出てくる人々の、ゆかりの地をたくさんめぐることができました。刀剣乱舞を始めるまで日本史を真面目に勉強してこなかったのもあって、歴史にとても疎いのですが、最近は勉強ができてとても良いと思います。細川幽斎や忠興も昔はまったく知らなかったのですが、勉強をすればするほどすごい人だったということがわかります。
 観光地は、よくわからず行くとただ見るだけになってしまいますが、歴史を知って意識しながら見るととても楽しめます。今回の琳派展もかるく勉強してから見てとてもよかったと思います。これからも各地に行くときは、歴史を勉強して予習をしてから行きたいと思います。


《今回の刀剣》
 今回は北野天満宮の鬼切丸です。安綱とあった銘が国綱に変えられたとのことで、確かに国の字がよめました。銘の改ざんは少なくないそうで、刀の伝来が正確に伝わることは、本当に奇跡的なことなのだなと思います。平安時代の刀らしくとても反っていました。刀身は全体的に黒っぽい印象です。









 三重県の桑名市で、之定作の鳴神兼定が展示されるということで行きたいと思っていましたが、名古屋に近かったので徳川美術館に行くのと一緒に訪れました。大阪と同じように名古屋も刀剣乱舞を始めるまで行ったことのない場所でしたが、この半年で早くも3回目になりました。名古屋は日帰りでも行ける距離なので助かります。


《行った場所》
○桑名市立博物館
 企画展、大定信展が11月23日まで開催中です。博物館はこじんまりとしていますが、展示数は多かったです。刀以外にもおもしろい展示がたくさんありました。特に伝統的な折り鶴の様々な折り方を紹介している展示がおもしろかったです。他の市立博物館と違って市の歴史に関する展示が少なかったので、歴史博物館のようなものではなく、どちらかというと美術館のようです。
 壁に今までの企画展のポスターが貼られていて、そこに学芸員さんのコメントが書かれていましたが、なかなかおもしろいです。考えて展示をされているんだなとわかり、博物館を応援したくなりました。刀剣人気のことも把握しているようでしたので、普段は書かないアンケートを書いて出してみました。
主な刀剣
・脇差 銘 来国光 桑名市指定文化財/鎮国守国神社蔵(三重)
・刀 金象嵌銘 和泉守兼定(之定) 金象嵌銘 鳴神(名物 鳴神兼定桑名市指定文化財/鎮国守国神社蔵

○九華公園
 桑名城跡は公園になっていました。海の側の平城なだけあり、水に囲まれていました。当時は船で城から海に出られたそうです。きれいな色をした橋がたくさんかかっていてよかったです。中にある鎮国守国神社に行ってみましたが、工事中のようでお参りは止めておきました。今回博物館で展示されているものが納められる宝物館らしき蔵も見えましたが、毎年5月2・3日に公開されているとのことです。


○熱田神宮
 今回は茶の道具の特別展を開催中だったので刀の展示はありませんでした。熱田神宮は展示品一覧が出ていないので、名古屋に行くときはとりあえず行くことにしていますが、こういったパターンもあるのですね。ちょうど七五三の時期だったので、おめかしをした小さい子がたくさんいてかわいかったです。宝物館も含めて相変わらず人が多い場所でした。

○徳川美術館
 こちらもいつも人が多い場所ですね。企画展は茶の湯の名品展でしたが、書状がたくさん展示されていて、そちらもおもしろかったです。もっと崩し字が読めるようになったら楽しめるだろうなと思いました。徳川美術館は、全部をじっくり見ると、どうも数が多すぎて疲れてしまいます。興味のあるところ以外は軽く見るぐらいがちょうどいいなと思いました。
 遅い時間にいったので、最後に入口付近の刀剣展示をもう一度見に行ったらだれもいませんでした。人が全然いない徳川美術館は土日では難しいと思うので、じっくり見たいなら閉館間際を狙うのも良いなと思います。解説が刀の造りのことについては全然書かれていないので、少しでも書かれているといいなと思いました。
 今回は時間があったのでデジタルライブラリーなども見ました。今までの展示で見たものを映像で見るとすっと頭に入るので、やはり展示会も予習をしてから行くといいのかなと思います。
主な刀剣
・太刀 銘 光忠 国宝
・刀 無銘 郷義弘(名物 五月雨郷重要文化財
・脇指 銘 貞宗 本阿(花押)
・短刀 銘 吉光
・刀 銘 備前国住長船彦左衛門尉祐定 永正二年八月日


《感想》
 桑名駅は名古屋駅から30分ぐらいで行けるのでとても便利でした。三重といったら伊勢神宮がありますが、宝物館の工事もそろそろ終わるようですね。11月に入ったら、奉納されている刀剣を交えての講演があるとのチラシを見ました。講演会の日程は合いませんでしたが、伊勢神宮にはぜひ行ってみたいと思います。
 熱田神宮、徳川美術館でクイズラリーを開催中でしたが、今回は名古屋城に行く時間はなかったので参加はしませんでした。訪れるのがいつになるかわかりませんが、名古屋城は好きなので、行きたいなと思いました。


《今回の一振》
 今回は桑名市博物館の鳴神兼定です。細身で鋭い印象をもちました。金象嵌銘がとてもきれいです。鳴神という金象嵌銘は裏にあるので見えませんが写真が置いてありました。鳴神という名前は目貫に風神雷神が描かれているからだそうですが、今回は展示がありませんでしたし、保管はされているのでしょうか。もともと松平家が持っていたものを酒井家に贈り、ずっと酒井家が所蔵していたそうですが、しばらくしてから松平家が説得して再び手に入れたとありました。何度も詰め寄ったと解説がありおもしろかったです。






 1階の刀剣展示室が厚藤四郎の展示が終わった後行っていなかったので行ってきました。特に下調べをしないで行ったのですが、特集展示の後藤一乗の刀装展示も開催中でとてもよかったです。

《行った場所》
○東京国立博物館
・太刀 銘 備前国友成作 国宝
・短刀 銘 吉光(名物 岡山藤四郎
・太刀 銘 雲生 重要文化財
・太刀 銘 包永 重要文化財/姫路神社蔵(兵庫)
・太刀 銘 長光 国宝 
・太刀 銘 備前国長船長義
・刀 切付銘 朝倉篭平切太刀也 天正三年十二月(以下切) 
        右幕下御摺上大津伝十郎拝(以下切)(名物 籠手切正宗
・太刀 銘 備州長船秀光 承応元年 月日
・短刀 額銘 久国


(○資料館)
 刀剣に関する資料を読みたくて、東京国立博物館内にある資料館を利用しました。平日の9:30~17:00しか開館していないので、なかなか行けなかったのですが、先日休みができたので行ってきました。月曜日だったので西門から入ったのですが、名前、連絡先、入退館時間記入して名札をつけるという徹底ぶりに驚きました。
 5時間ぐらい滞在したのですが、特に気に行った資料が日本刀大百科事典です。消失した名物刀剣の造りが書かれていたり、享保名物帳だけでなく、あらゆる記録に載っている名物刀剣がまとまって書かれています。事典なので「あ」から順番に読んでいたのですが、全然読み終わらず閉館時間を迎えてしまいました。また平日に休みができたときは行きたいと思います。

 地元の図書館で借りられた国宝・重要文化財全集の6巻も、多くの刀剣の写真が見られてよかったです。情報が古いのもありますが、1月に刀剣乱舞がサービス開始してからニュースになった、行方不明の高麗鶴光忠も載っていました。所蔵者の名前まで載っていたのでググってみましたが、ある会社の社長さんがヒットしたのでこの方かなと思いました。ただ現在は行方不明なのでおそらく所有者が変わって以降把握されていないのでしょう。少なくとも平成10年までは把握されていたのにと思うと、とても残念です。高麗鶴光忠は、大百科事典曰く、光忠ではなく守家の作ではないかと書かれていて、本当に刀の存在というのはあやふやだなと思いました。

 他に資料館で見られた図録では、平成8年の秀吉展で展示されていた竹中半兵衛光忠というのが気になりました。こちらも個人蔵だったので現在はどうなっているかわかりませんが、また展示されないかなと思います。



《感想》
 今回は休日でもそこまで混んでいなかったのでじっくり写真も撮れました。ミュージアムショップの刀剣スペースが来るたびに増えていておもしろいです。つい最近開催した他の施設の展覧会の図録も販売されているので、できればもっといろいろな施設のものが増えてくれたらなと思います。
 この記事を書いているときには、獅子王の展示も始まっているので、早く行きたいと思います。


《今回の一振》
 今回は籠手切正宗です。本当に正宗の刀かは微妙なようですが好みでした。樋の入り方や全体のバランスからして、かなり摺り上げられたのかなと思いましたが、調べてみたところ100cmぐらいあったそうです。



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 備前刀剣王国の第二期に行ってきました。第一期も行き、佐野美術館も行く予定なので今回は図録を購入しました。

《行った場所》
○刀剣博物館
主な刀剣
・刀 無銘 (金象嵌銘)波およぎ末代剱兼光也 羽柴岡山中納言秀口所持之(名物 波游兼光) 重要美術品/㈱ブレストシーブ蔵 
・刀 (金象嵌銘)基光 重要美術品/佐野美術館蔵
・太刀 銘 備州長船倫光 特別重要刀剣/個人蔵
・太刀 銘 備州長船住元重 建武元年九月日 特別重要刀剣/個人蔵
・薙刀直し太刀 銘 備前国長船住長義 特別重要刀剣/個人蔵
・小太刀 銘 備州長船家重 応永六年三月日 個人蔵
・太刀 銘 備州長船秀光 永徳□年八月日 重要刀剣 ㈱ブレストシーブ蔵
・小太刀 銘 備州長船自光 永徳二年二月日 重要刀剣/個人蔵
・太刀 銘 備州長船盛光 応永十二年八月日 特別重要刀剣
・刀 銘 備前国住長船与三左衛門尉祐定作 天文ニニ年二月吉日 重要美術品 個人蔵
・刀 銘 備前国住長船五郎左衛門尉清光 天文廿四年八月吉日
                
                      他多数

《感想》
 刀剣博物館は、刀剣を見られる博物館としては、一番好きかもしれません。今回は審神者らしき方は見かけませんでしたが、ほどほどの人出で見やすく、展示の数が多いので何度も足を運びたくなります。目録に刀剣の長さはありますが、反りが書いてないので、展示パネルにでも書いてあるといいなと思いました。
 受付のところに刀剣春秋の紙が置いてありました。以前致道博物館でもいただきましたが、展示情報や鑑定クイズなど読み応えがあるので、定期購読も考えます。最近鑑定も興味があるので、簡単なものだけでもわかるようになりたいなと思いました。


《今回の一振》
 今回は波游兼光です。図録にのっている写真もとてもよかったのですが、やはり実物は迫力がありました。剣に向かって彫られているのを下がり龍というのを初めて知りましたが、龍も細かく、大きく彫られていて良かったです。佐野美術館でも展示されるようなので楽しみです。隣に享保名物帳の波游兼光が載っているページが開いて展示されていたのですが、池田光忠などの刀がいくつか書かれているのが読め、他のページもぜひ読みたいと思いました。


 土浦市立博物館は、刀剣をたくさん所蔵していると5月頃に知り、ずっと行きたかった場所です。毎年この時期に国宝・重要文化財の刀を展示しているとのことなので、行ってきました。

《行った場所》
○土浦市立博物館
 土浦には初めて行きましたが、近いとも遠いとも言えない微妙な距離です。刀剣の展示は毎月変わるらしいですが、そう何度も訪れられる距離ではなさそうなので残念です。ただ、入館料が大人でも105円と今まで行った場所の中でも無料の場所を除けば一番安いです。近くに住んでいたら絶対毎月行っていることでしょう。土浦の人がうらやましくなります。
 その他の展示については、季節ごとに入れ替えているようなので、土浦市の歴史を一度に学べるというわけではないのですが、入館料のわりには、展示数が多く見応えがあります。建物自体あまり広くはないので、小分けにして何度も訪れてもらうような作りになっているのでしょうね。
 資料が置いてある本棚には、刀剣をたくさん所蔵しているだけあって、一般書籍の刀剣の本も置いてあります。別冊 宝島のようなムック本まで置いてあるのは、博物館にしてはめずらしいと思います。おそらく写真の提供をしたためでしょう。この本棚に置いてあった、土屋家の刀剣の図録が、現在は売り切れで販売しておらず、買えなかったのが残念です。今回見た刀も、目録がなかったのでぜひ図録が欲しいと思いました。

主な刀剣
○短刀 銘 筑州住行弘 観應元年八月日 国宝
○太刀 銘 信房作 重要文化財
○太刀 銘 守家造 重要文化財
○太刀 銘 恒次 重要文化財
○短刀 銘 国光 重要文化財
○刀 無銘 来国光 重要美術品
○短刀 銘 来国俊
○刀 銘 (表)金象嵌銘 影法師
     (裏)銀象嵌銘 右衛門尉持之

○亀城公園
 土浦城は亀城と呼ばれているそうです。跡地が公園になっていますが、あまり広さはないです。本丸があった場所が広場になっていて、前日にお祭りか何かあったようで、片付けをしているところでした。門がところどころ残っていたり、隣にある学校の門に名残があって良かったです。城の隣に学校があるところは多いですが、どこも塀が凝っていておもしろいですね。景観を大事にするためでしょうが、そんな学校に通えるのはとてもうらやましいです。


《感想》
 刀剣の展示は数も多く解説も詳しくとてもよかったです。特に造りについての解説が充実しています。展示の仕方が良いのか刀が本当にとてもきれいに見えました。土浦市立博物館が所蔵している土屋家の刀剣一覧のパネルがありましたが、一覧にされるとその多さがわかります。他の刀剣も見たいと思いました。ちなみに今回見た文化財指定の刀剣については、土浦市の公式ホームページで、拵の写真つきで紹介されています。


《今回の一振》
 今回は影法師の銘が入った刀です。作者については、昭和の本阿弥が相州行光と鑑定したそうですが、今は末左でないかと考えられているそうです。刀の鑑定については、難しすぎてまだどこでどう極めることができるのか全然わかりません。作者不明の刀は展示されていることがあまりありませんが、やはり作者がわからないと、文化財指定もされずらいのでしょうか。この影法師については、解説パネルがありましたが、なんでも武田信玄の影武者が、影武者だとわかる目印のためにこんな銘を彫られているとのことでした。真偽のほどはわかりませんが、とてもおもしろい逸話がある刀だと思います。



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