埼玉県にある二振りの国宝の刀剣は、毎年この時期に展示されているそうです。前回特別展を見に行ったときは、レプリカのみの展示だったので、今回は本物を見に行ってきました。

《行った場所》
埼玉県立歴史と民族の博物館
 国宝の刀剣は常設展で展示されています。前回行ったときに、常設展は細かく見ましたが、ところどころ展示替えされていました。国宝展示に合わせてか、企画展示室では、埼玉県の名刀展として他にも刀が展示されていました。資料室の本棚には古い図録がたくさん置いてあります。前回来たときも読み漁ったのですが、今回もいろいろと読んできました。40年ほど前の図録でも、現在とまったく変わらない姿の写真がのっていることが、当たり前なのですが改めてすごいなと感じました。初めて写真に撮られて記録に残ったのは、いつ頃なのでしょうか。白黒の写真のみの図録や書籍も多いですが、やはり刀剣もカラーで見たいなと思いました。

主な刀剣
・短刀 銘 備州長船景光 元享三年三月日(号 謙信景光国宝
・太刀 銘 (表)廣峯山御劔願主武蔵国秩父郡住大河原左衛門尉丹治時基於播磨国完粟郡三方西造進之
      (裏)備前国長船住左兵衛尉景光作者進士三郎景政 嘉暦ニニ年己巳七月日  国宝
いわゆる景光・景政の太刀ですが、銘はすごく長いのですね。きれいな直刃でした。
・太刀 銘 宝寿(写)
前回も展示されていましたが、とにかく大きくて迫力があります。刀身の彫刻が朱色になので、さらに迫力が増します。
・太刀 無銘 伝助真 重要文化財、龍門寺蔵(埼玉)
岩槻藩主大岡忠光の愛刀だそうです。大磨上無銘ですが、確かに一文字らしい刃文でした。
・太刀 銘 備前国住安家作 正和□年二月十八日(号 寒念仏)個人蔵
 寒念仏=寒い時期に山などで念仏を唱える修行 に佩刀していたためこんな名前が付いているそうです。95cmあり、とても長く反りも強いです。光の当たり方のためか、刀身が真っ黒に見えました。
・刀 銘 (巴紋)於東部 藤枝太郎英義作之 
         慶應二寅年八月日
川越藩の刀工の作品です。会心の出来のものに巴紋が彫られたのではないかとのことです。


《感想》
 文化財の国宝指定の基準はよくわかりませんが、今回の刀剣でいえば、人の信仰が現れているところに、価値があるのかなと思いました。展示では、武蔵武士が郷土に寄せる思いがわかる物という紹介でした。伝来についても、一応判明はしていますが特に派手でもありません。造りにその刀工の特徴がよく現れていて、年代まで刻まれているというのが価値のあるものなのかなとも思います。
 文化財登録は、されているものは良いものなのだとわかるし、国宝指定されていたら、あまり興味のないものでも見ておきたいという気になります。そればかりに注目してみるのはもったいない気がしますが、登録されているおかげで展示を見る機会に恵まれているというのはあると思います。最近は見ることができるだけで幸せなのだととても感じるので、このように毎年定期的に展示してくれるというのはうれしいです。


《今回の一振》
 今回は短刀の謙信景光です。号のとおり上杉謙信が所持していたものです。拵えは以前の展示で見ていましたが、そちらもきれいでした。今回は展示されていないようです。刀身は表に秩父大菩薩が、裏には阿弥陀如来の梵字が彫られているそうです。刃文はとてもくっきりとしていて、見やすかったです。全体的に迫力よりもきれいさが際立って感じられました。鎺にも梵字が彫られていました。刀剣には梵字が多く使われているので、有名なものだけでも覚えたいなと思いました。