今日から1月23日まで、特別展「三井家伝世の至宝」が開催中です。初日ですがほどよい人出で見やすかったと思います。

《行った場所》
三井記念美術館
 今回の特別展では、他の施設が現在所蔵しているものも展示していましたが、刀剣に関しては現在三井記念美術館が所持しているもののみでした。今回展示していた刀剣の多くは、紀州徳川家から購入したものだそうです。以前、なぜ紀州徳川家には現在美術館などが設立されていないのか調べたことがありましたが、財政難で多くを売りに出したからだそうですね。各地の歴史博物館を見ると、どこの藩主もお金に苦労していましたし、現在も博物館の存続に当主は苦労されていることがわかります。しかし、御三家でもそこまで財政難になるというのには驚きました。
 美術館はビルの中にあり、ワンフロアに収まっていますが意外と広さがあります。展示品はそこまで多くないのでのんびり見て1時間ぐらいでした。茶道具が展示されている第一展示室は内装がとてもおしゃれで、部屋の中を見るのも楽しいです。刀剣以外の展示では、絵巻や屏風、切手コレクションなどが好みでした。また、蒔絵が施された水晶台がとても豪華できれいなのですが、三井炭鉱でとれた鉱石が埋め込まれているそうで、事業の手広さを実感しました。

主な刀剣
・短刀 無銘 正宗(名物 日向正宗国宝
・短刀 無銘 貞宗(名物 徳善院貞宗国宝
・太刀 銘 則宗 重要文化財
 とても細身です。幅のある徳善院貞宗の後に見たから余計にそう感じます。
・太刀 銘 助真 重要文化財
・刀 銘 国広(号 加藤国広重要文化財
 刃文が不規則かつ豪快でとても印象的です。鎺に下がり藤が彫られていました。加藤という姓を考えたら不思議ではありませんが、号の由来となった加藤清正自体は、調べたところ使用していたのは下がり藤以外の家紋だったようです。
・薙刀 銘 一 重要文化財


《感想》
 普段見に行く各地の歴史に根付いた博物館とは違い、個人のコレクションで手に入れた品々なので新鮮でした。佐野美術館や根津美術館なども同じ私立の博物館ですが、刀だけで言っても、これだけ文化財登録された個人のコレクションが見られるのはすごいことだと思います。刀剣は文化財登録されていても、比較的個人が持っている割合は高いそうですね。由緒ある刀も売りに出されたりというのは珍しくないですが、当時からの価値などを考えると、すごい財力を持っていたのだなと実感します。刀の持ち主の移り変わりを調べると、時代の流れと栄枯盛衰がうっすらとわかるのがおもしろいなと思います。しっかりと保管と管理できる人の手に渡ったからこそ、今もきれいな状態で見ることができると思うと、由緒ばかりにとらわれて現在の所蔵についてあれこれ考えるのは勿体ないとな感じました。


《今回の一振》
 今回は日向正宗と徳善院貞宗の二振です。正宗と貞宗の刀が並んで展示されるというのはあまりないと思うので、じっくり比べて見てみました。刃文がどちらもくっきりときれいに見られたので比べやすかったです。確かに刃文は貞宗のほうがゆるやかなでしたが、ほぼ梵字の彫物で貞宗と判断するぐらいしかできそうにもありませんでした。貞宗の短刀は彫物がたくさんあるので、にぎやかな印象をうけます。徳善院貞宗はとにかく大きくて驚きました。隣の日向正宗と比べると幅も長さも倍はあるんじゃないかと思うぐらいの大きさです。大きさも刃文も、隣同士で並んでいたおかげで見比べることができたのでよかったです。