文化の日に東京都内の気になっていた神社を中心に刀めぐりをしました。銀座の刀剣販売店に用があったので、気づけば府中から銀座まで東京を横断するような行程になりました。初めて訪れる場所ばかりだったので、知らなかった東京の景色が見られてよかったです。


《行った場所》
○大國魂神社
 府中の駅前にある大きな神社です。将軍家も重要視した神社で、神領地五百石は上野東照宮、日枝神社に次いで三番目だったそうです。街並みもどことなくその名残を感じました。奉納刀は号がついた江戸時代の大太刀が3振に、大正・昭和・平成それぞれの時代に奉納されたものと幅広く展示されていました。号がついた由来などは書かれていませんでしたが、解説が多くてよかったです。

主な刀剣
・大太刀 銘 慶長八葵丑年卯月十日鍛冶山本七郎右衛門慰照重作  奉納武州惣社六所大明神御剣  願主當國之住大野八衛門景吉(号 御蛇丸府中市指定文化財
・大太刀 銘 於武州江戸大和守藤原金蔵作之 寛文二王寅年九月吉日(号 烏丸府中市指定文化財
 高力高長が奉納した刀で、厳島神社にあったものと同じように高力氏の丸に鳩紋が鎺に彫られていました。

・大太刀 銘 日本鍛冶宗匠三品伊賀守金道門人明林子長高作  安政六末年二月日  御霊宮武劦多摩郡一ノ宮村 願主杦本万平 小林長三郎 杦田熊造 セハ内中(号 息吹丸
・脇差 銘 武州児玉八幡山住 六代明村子長高 高野政光作
 息吹丸が奉納されて、150年後の平成十三年に、息吹丸をうった長高から6代目の子孫である13代目長高が奉納したとのこと。長い年月を経て伝統を守ることができる刀工がいるのはすごいことだなと思います。

・短刀 大阪住人月山貞藤謹作(花押) 大正十五年三月吉日
 御下賜品で、鎺には御賜と彫られていました。拵も特別なもので一緒に展示されていましたが、とてもきれいでよかったです。
・短刀 銘 御奉献大國魂神社大野利雄 武蔵国府中靖興作 昭和四十九年二月日


○金王八幡宮
 渋谷の駅前からすぐの場所にあります。名前の由来は源頼朝に尽くした金王丸という人物。その金王丸が持っていた刀が、毒蛇長太刀というもので現在でも金王八幡宮に伝わっているそうです。広くはないけれど周辺もとても雰囲気があり、観光で訪れている方も見かけました。


○日枝神社
 徳川家に縁の深い代表的な神社で、刀もたくさん奉納されています。宝物館は入場無料ですが展示内容はとてもすばらしいです。
主な刀剣
・太刀 銘 師景 重要文化財
 丁字の刃文がメラメラと燃えているような姿でした。

・太刀 銘 重久 重要文化財
 初めて見ましたが一文字派の刀工だそうです。太めな姿で刃文もよく見えませんでしたが、反りが小さく不思議な姿をしているなと思いました。

・太刀 銘 守家 重要文化財
 丁子刃文のうち、中心あたりは蛙子丁子も見られました。

・太刀 銘 備州長船住長光 重要文化財
 明治天皇が奉納されたものだそうで姿が細身で美しさを感じました。

・太刀 銘 一
 吉岡一文字派の刀工で、一文字らしい刃文がよく見えました。焼き幅が広くて丁子が鎬まできています。

・刀 銘 武蔵大掾藤原是一
 身幅が広くて反りがなくほぼまっすぐなのでどっしりとした姿をしていますが、刃文は丁子がとても華やかで派手さがあります。



《感想》
 普段各地に遠征はしても、意外と身近なところを調べて見に行くことをしていなかったので、今回東京の神社を見てまわれてよかったです。七五三の時期なのでどこも普段よりも賑わっているようでしたが、刀などが展示してある宝物館などは人が少なくとても静かなのでじっくりと見ることができました。刀以外の展示では、やはり徳川家に関するものが多くありましたが、昭和の戦争資料も多くみられました。東京にある寺社の多くも戦火で焼かれたものが多かったんだなというのを改めて感じました。まだまだ都内には大きな由緒ある寺社がたくさんあるので、ぜひ行きたいと思います。


《今回の一振》
今回は大國魂神社にあった御蛇丸です。
大國魂神社にある号のついた3振の大太刀は、名前の由来などはわかりませんが、特にこの刀は逸話がいろいろ残されています。この刀を奉納した大野八衛門は、現在の群馬県桐生市の街づくりを行った人だそうです。しかし不正の罪で処刑されることに。どうも冤罪だった可能性があるそうですが、その処刑の一年前に奉納したのがこの刀。刀身には6つの銘文が彫られていて、その内容は(処刑されることに対して)もう恨み気持ちはなくなったという内容だそうです。刀の姿も特徴的ですが、その逸話を聞きとても印象的な刀でした。