にっかり青江を見に香川県へ行くついでに、岡山県を回ることにしました。たまたま文化の日の本興寺での数珠丸が展示されるのとかぶっていたのでそちらも寄ることができました。

《行った場所》
○丸亀城・丸亀市資料館
 丸亀駅から商店街を通って丸亀城へ行きました。日曜日だからなのかわかりませんが、商店街はほとんど閉まっていました。比較的きれいな街でお店もあるのに、驚くほど人が少なかったです。閉まったシャッターにきれいな絵を書いてる人は見かけました。まだ一部だけしか描かれていないようだったので、これから増えていくのでしょうか。
 丸亀城は天守に登ってから資料館へ行きました。天守への坂道は急ですが、距離が短いのでまだ楽だと思います。土産物屋にはにっかり青江のグッズが並んでいました。てっきり売り切れた後再販していないと思っていたので、驚きました。天守の中も木造の城らしく急こう配の階段で狭いですが趣があります。にっかりの展示してある資料館は、歴史資料の展示は少なめでしたが、無料で入れるのが良心的でした。展示室は比較的人が多いですが、タイミング良く見ればじっくり見られます。展示の仕方が良いのか、とてもきれいに見えました。
主な刀剣
・脇指 金象嵌銘 羽柴五郎左衛門尉長(名物 ニッカリ青江重要美術品



○備前刀剣博物館
 ずっと気になっていましたが、やっと行くことができました。刀剣の販売がメインで販売しているものは手にとれる場所に置いてあります。10万ぐらいからあり、意外とお手頃価格だなと思いました。買うならこれという気にいったものは、45万ほどの拵つきの刀でした。高価なものなど販売していないものを展示しているようです。展示はメインではないので、見ずらい位置に置いてあったり、解説がないものもありますが、展示数は多かったです。2階では新選組関連の刀を展示していました。店内には大和守安定の刀がいろいろなところに展示されていて多かった気がします。
主な刀剣
・太刀 銘 正恒 重要刀剣
・太刀 銘 国安
・刀 無銘 則重
・刀 無銘 高綱
・脇差 無銘 福岡一文字 重要刀剣
・小太刀 銘 光忠
解説のほとんどが燭台切光忠についてで、隣の写真は生駒光忠だったのでバラバラすぎてちょっと笑ってしまいました。
・短刀 朱銘 行光 本阿弥長織花押
・脇差 銘 津田越前守助広 延宝七年二月日 重要刀剣
・脇差 大和守安定 (金象嵌)万治三年八月五日 弐つ胴切落
          (金象嵌)山野加右衛門尉永久    重要刀剣
・短刀 無銘 左 重要刀剣
・刀 無銘 次吉
              他多数



○後楽園・岡山城
 どちらも行くのは2回目ですが、他の三名園やお城をしっかり見た後では、受けるイメージが変わりました。
 後楽園はそこそこの広さにちょうど良い人出でした。平日だったのもあるのでしょうが、お庭の雰囲気を味わうにはちょうど良かったです。敷地内に田んぼや茶畑があって、妙に生活感があるなと感じました。兼六園はあまり広くないからかいつも人が多いですし、偕楽園はほぼ市民公園と梅林なので他の庭園とは雰囲気が違うと思います。
 岡山城は内部にエレベーターがあり、完全に博物館化していますが、お城の外観がとても好きです。記憶よりも大きくて立派でした。城内の展示量はあまり多くありません。今回行ったときには、企画展で戦国武将の甲冑を展示していました。月見櫓が公開中でしたが、上にあがる階段がとにかく急です。階段というより梯子でした。上は縁側のように張り出していて、昔のままの造りが見られてとてもよかったです。

○備中松山城
 特に予定はしていなかったのですが、月曜日で博物館がまったく開いていないこともあり、観光案内でみかけて行くことにしました。岡山駅から在来線で1時間で行けます。備中松山城は現存する天守があり、現存天守の中で、もっとも標高が高い場所にあります。天空の城として紹介されていて、運が良いと雲海も見られるそうです。今回は時期はちょうど良かったのですが、朝雨が降っていたため、雨が止んで晴れた午後に行きました。岡山駅からの電車の眺めもとても良いです。八合目までは車で行けますが、その先は山登りです。お城までは20分ぐらいですが、かなり足場が悪いので、天気が良いときに行って正解でした。とにかく登っている最中も眺めがよくて気持ちよかったです。天守の中は展示物は少ないですが、当時天守が重要な象徴としての存在だったこと、捨て置かれていたため荒れ果てていたこと、山の上にあるため修復作業がとても大変なことなどがよくわかりました。平成の修復作業については、詳細な映像で学ぶこともできたのでとてもわかりやすかったです。

○倉敷
 刀もゆかりの地としてもあまり関係ありませんが、岡山の観光地といったらはずせない倉敷の美観地区も行ってきました。瓦屋根などをみるのが大好きなので建物を見ているだけで楽しいです。今回は初めて川の船にも乗りました。ゆるい船頭のおじさんの話はおもしろかったです。備前焼も少し興味をもったのでお店に入ってみましたが、思ったより手頃な値段だったのでつい買ってしまいました。

○本興寺
 岡山から新幹線で新神戸まで行き、そこから尼崎まで行き本興寺に行ってきました。事前に調べたところあまり人が多くないとのことでしたが、私が行った夕方は比較的多いときだったのではないかなと思います。宝物殿は小さいですが中はきれいな建物でした。数珠丸が展示されている2階はとてもにぎわっていました。展示は刀が低い位置に置かれていたため、刃文が少し見づらかったのが残念です。手入れもしているというお坊さんの話を聞くことができたのですが、美術品ではなく宗祖の日蓮大聖人の持ち物としての展示なので茎は見せない展示方法だったそうです。最近いろいろな施設から貸出の問い合わせがあるそうですが、神聖なものとして取り扱っているためか、あまり展示に前向きではないようです。正直、展示の仕方で受ける印象が大きく変わるので、もっと良い施設で展示しているのも見たいなと思いました。刀以外の展示では、多くの著名な武将が奉納した禁制が置いてあり興味深かったです。
 お寺の敷地内ではお坊さんをたくさん見かけました。特別な日だからか、みなさんとても親切に声をかけてくださり、展示の説明や道案内をしていただきました。重要文化財の建物である方丈はとてもきれいな襖があり良かったです。お堂からお経をよんでいるのが聞こえてきましたが、聞きなれないお経で不思議なリズムでした。
主な刀剣
・太刀 銘 恒次(号 数珠丸重要文化財
・短刀 無銘(号 長一丸
こちらも日蓮大聖人が所持していたそうです。無銘ですが郷義弘の作ではないかとのこと。切っ先が冠落しだったのと少し長め(29.4cm)だったのでパッと見で脇指かと思いました。


《感想》
 岡山は刀剣関係で行きたい場所が多いのですが、今回月曜日をはさんでいたので、県立博物館や長船刀剣美術館には行けませんでした。林原美術館も刀剣の展示はしていないようだったので、ぜひ機会を見てまた近いうちに岡山の刀剣旅行をしたいです。
 今回の旅行でお城を3つ回ったのですが、調べていてあらためて四国は良いお城が多いなと感じました。今回初めての四国上陸だったので、ぜひ他の3県も行きたいと思います。


《今回の一振》
 今回はにっかり青江です。幅も広くて厚みもあって脇差とは思えない迫力がありました。茎の形や鎺、樋の入り方も好みで、刀剣乱舞に登場したキャラも実物をたくさん見てきましたが、かなり好きな刀だと感じました。銘はものによって銀象嵌銘に見えるものもありますが、きれいな金でした。
 数珠丸は備前作ではないかともいわれていますが、にっかりも倉敷刀剣美術館で見た青江派の刀も直刃の似た雰囲気を感じたのでやっぱり青江派かなと思いました。


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